困った!から一日フレーミング

昨日は訳も分からん一日上棟なるものを投稿した。
それがどうしたの?パフォーマンス?
という人もいるかも知れないので説明を簡単に。

17年前の創業時、幸運にも何件かの注文を頂けくことができた。
勤めていた住宅会社で付き合いのあった大工さんに頼み、
何とかやってもらうことなった。
ところが、それも最初だけ!


当然、既存のお付き合いのある会社からの仕事が優先されるので
創業間もない会社は後回し。でも、最初はそれでも何とかなった。

2年3年が経ち仕事が少しづつ増えてくると注文は頂けるが、
大工さんが思うようにならない。
ツーバイフォー工法のできる大工さんとなるから余計困難になる。
結果、掛け持ちでもいいからと頭を下げお願いすることに。

掛け持ちとなると現場を都合でしょっちゅう空けられる。
時々空けるようならまだいい。現場入ってくれることが珍しくなってくると悲惨だ。
まったく工程が読めない、完成日も検討もつかなくなる。
工期は半年なんてことはざらになり、施主に何度も何度も頭を下げる。
こんな状況から、当時たくさんの方に迷惑をかけた。

そんな状況を打開するため、大工さんを社員として採用することに。
社員であると施工法に関する技術開発ができることも私にはメリットだった。
一般には現場での構造の組み立て作業は2~3週間。
この間、雨に打たれるとまた工程はまた延びる。
延びればまた雨に打たれるという悪循環。

ある時雨上がりの現場に行くと・・・
施主さん夫婦が床に溜まった雨水を必死でちりとりでかき出していた。
それを見た瞬間、当然怒られると覚悟したが・・・
「自分たちの家だから・・・」
と奥様は眼を潤ませ一言言うとまた作業を続けた。
横から見えるご主人の表情はこわばっているが、私には一言も発しなかった。

このご夫婦の無言であることが、
一緒に水をかき出す私に言いようもないものをこみ上げさせた。
施主はアルミサッシだって雨に打たれていたら辛いのだ。
これがお金もない私に工場でのパネル化を決意させた出来事。

この時は怒られた方が楽だったと思う。
怒られてたら、パネル化への進展はかなり遅くなっていたのではないだろうか。
天候に左右されず、雨に濡らすことなく屋根までかける。
そして、もしそれが一日で屋根までできたら・・・

パネル化への始動は早かった。
でも結局一日で上棟できるようになるまで1年半もかかった。
その理由はまた後で気が向いたときにでも・・・

安定した工期で出来なかったこと
業界の当たり前!という”濡れる”ことと施主の思いとのギャップ
を突きつけられたこと。
この二つに困ったお陰で今の一日フレーミングがある。

施主との間に困ることがあったら、
それ以上にみんなが喜べるメリットにまで変えてしまう。
きっとこれが私の原動力なのだろう。

2 件のコメント

  • 親方様、こんにちは。
    一日上棟にそういう想いがおありだったのですね…。
    ツーバイの場合、雨が降ったら床が濡れて当たり前なのですが、当たり前を改善するのは物凄く難しいことだと思います。色んな意味でいいお施主さんだったのですね。
    今日のエントリーを読んで、昨日の上棟画像を見ると、全く違う重みで受け止められました!

  • たけさん、こんにちは!
    そう言っていただけると解説した甲斐があったということですね。
    ありがとうございます。
    私たち業者が何をすべきかは施主さんに教えられることがほとんど。
    業界人って経験を重ねれば重ねるほど、業界の当たり前にどっぷり
    漬かってしまいます。当たり前を不思議に思える感度、素人の疑問に
    敏感に気付くアンテナはいつも磨いておきたいと思います。
    もし、たけさんから見た業界への疑問や矛盾などありましたら
    教えてください。

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