家の換気:熱交換率100%?

住宅に不可欠な換気システム。
換気システムも第一種だとか第三種だとか言われても、
一般の方には解りづらいもの。
大きくは室内の熱を逃がさないように排気熱を回収する熱交換型と
熱回収を行わない単純な換気の排気型の換気システムとに分かれる。

そして、排気型はダクトタイプとノンダクトタイプに分かれ、
熱交換型はこれまた顕熱交換と全熱交換というタイプに分かれる。
 (顕熱とは空気の温度のみ交換、全熱は温度に加え湿気も交換)

これら熱交換型の場合、

  熱交換率90%以上!!!

  熱交換率65%以上!!

との二つの触れ込みがあった場合、
当然「90%以上ってすごい!」と思ってしまう。
でもそれは、「顕熱だ」「全熱だ」、
その違いがわからない人が聞いたときの話。

もし、

  顕熱型熱交換率90%以上(湿気交換0%)

  全熱型熱交換率65%以上(湿気交換50%)

このように一歩踏み込んで表現すると、
冬場の室温20℃前後、湿度50%前後とした場合、
結果、実際は熱エネルギー的には双方に大きな違いはなくなる。

室内空気の湿気に含まれるエネルギー潜熱量は全熱量の半分弱。
顕熱交換とはこの湿気の持つエネルギーを全て捨ててしまう。

あ、ここで、顕熱交換、全熱交換それぞれに言い分も良し悪しもあるけど、
そんな話をするつもりではないんです^^;
多くのメーカーにそれぞれ機種があり、
利用者のねらいで使い分けできればいいのですから。

ただ、熱交換率って、
誤解しやすい表現だよなあ、
といつも思っているわけです。

熱交換率と言わず、「温度交換率」とか「温度のみ効率」とかでも
呼んでくれたら、少しは誤解する人が減るんじゃなかろうか・・・
なんてね。

さて、前置きはこのくらいにして、
この冬の私のお遊び実験の成果?おもしろ?悩み?
のタネだったものをぺっこ紹介。

ブログへ

これ、ある時の計測中の温度。
この二つの温度計、同一の場所を計っている?
のではありません。換気の出と入りの温度です。

室内から出て行く空気の温度と室内に入ってくる温度が同じ。
なんておもしろくないですか^^

最初は、なぜか成績がいい場面があるので、
計測方法を間違えているのでは?とも思い、
ああでもない、こうでもない、とやっていると・・・
こんな理解不能な結果が出たりして^^;;
それはそれでまた悩みだすわけです。
でもね、だんだんに解ってきましたよ。
時間はかけるもんだって、ね^^

全エネルギーにしても、恐ろしいほどおもしろい。
ただし、この結果を活かすには解決しなきゃならん問題も・・
それは住宅自体も考え直す必要がありそうだってこと。

そんなことで、テーマだった窓と換気の軽量化のうち、
換気は大きく前進するヒントができました。

でも最近は、換気をいじり過ぎたのか調子も悪く、
スタッフから苦情もでている始末;;

なので、もうそろそろ・・・
この実験も終いにしなきゃならなそうです^^;

岩手の省エネ住宅メーカーならこちら。

5 件のコメント

  • いつも楽しみに拝見させていただいています。
    古い記事へのコメントで恐縮ですが、以前からずっと疑問に思っていることがありますので、教えていただけたらと思います。
    顕熱交換換気の熱交換効率として、例えば、70%以上とかスペックとして記載されていますが、謎はここです。
    顕熱交換の場合、
    http://www.cbl.or.jp/blsys/blnintei/pdf/tvu-2_05.pdf
    の中の3ページに顕熱交換効率の式がありますが、ここで、有効換気量率と風量比が1ならば、
    顕熱交換効率=(OA[℃]-SA[℃])/(OA[℃]-RA[℃]) x 100[%]
    となりますよね。
    室内と室外の絶対湿度が同じ条件だった場合には、室内20℃、室外0℃なら、最も熱を交換したとして、給気は10℃までしか上がらない(この時排気は10℃まで下がって平衡する)ように思うのですが、この理解で正しいでしょうか?
    (上式より、この湿度条件での熱交換効率としては、最高で50%までしかならないと思うのですが・・)
    先の3ページの条件として、室内20℃相対湿度50%、室外0℃相対湿度50%とあり、絶対湿度でみれば室内の水蒸気の量が格段に多いですが、この室内の水蒸気が持つ熱エネルギー分を給気側に受け渡されることによって、50%を超える熱交換効率となると理解すれば良いのでしょうか?
    このような室内側が高湿度条件のものだとすれば、冬に加湿器などで加湿をしない家の場合には、スペックの熱交換効率に見合うだけの熱損失低減を得られないということになるのでしょうか?・・

  • かず104さん、楽しみにしているなんて言われると
    恐縮してしまいます^^;
    私も自分に必要な分しか知識はありませんが・・・
    顕熱交換率の件をこう考えられたらいかがでしょうか。
    室内側は恒温ですから、常に加熱されて室温20℃に
    維持されて、外気温も維持される。
    なので、ふれあう温度はあくまで20℃と0℃。
    内外温度が維持されていなければ、
    しまいには10℃で平衡する、という風に。

  • 早速のご回答、どうもありがとうございます^^
    何となく分かってきましたが、まだモヤモヤしています・・
    えっと、この記事の写真で排気も給気も同じ23.1℃になっていますけど、
    例えば、排気は相対湿度75%、給気は相対湿度10%といったところで、
    給気の全熱量は、排気の全熱量の半分より小さいという推測は正しいでしょうか?

  • かず104さん、ここの記事で載せている現象は、
    正直原因は未だわかっていません。
    メーカーの技術者も理解できない結果なのだそうで・・・
    ならば、私のような者が時間をかけていては
    いけないような気がして究明は先送りしたままです。
    全熱量は、、、
    ごめんなさい。ちょっと調べたらいいのですが、
    今、頭の中に情報が残っていません。
    でも、感覚的には大きくはずれていないとは思いますが・・・

  • はじめまして。お邪魔します。
    かず104さん、建てた後も研究熱心ですね。
    >室内と室外の絶対湿度が同じ条件だった場合には、室内20℃、室外0℃なら、最も熱を交換したとして、給気は10℃までしか上がらない(この時排気は10℃まで下がって平衡する)ように思うのですが、この理解で正しいでしょうか?
    >(上式より、この湿度条件での熱交換効率としては、最高で50%までしかならないと思うのですが・・)
    顕熱で熱交換効率90%の機械があったとすると、温度分布はこう考えられます。
    室内の空気は、20℃から19℃、18℃、と徐々に冷やされ出口では2℃になります。
    屋外の空気は最初に2℃の空気と触れ合い、次に3℃、4℃、、
    最後に20℃の空気と触れ合い18℃になります。
    全ての段階で、2Kの温度差があることになります。(イメージです)
    ただ、これには充分な熱伝達面積が必要で、当然、空気もゆっくり動かす必要があります。換気風量を多くすれば効率が低くなります。効率と風量はセットで表示されないといけません。
    実際90%の効率を誇るスティベル社の熱交換機は押入れ半分くらいの大きさがあります。

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