普通な家づくりへ

私がこの仕事に就いた時、和室の壁厚が基準となっていて、
住宅に使用される断熱材の厚さは5センチだった。

その後3年ほどして、和室も断熱厚みを確保するため
洋間と同じように大壁となり、断熱厚さは10センチに。
そんな流れは特別でもなく普通だった?ように記憶している。

それから2年程経ち、断熱は単なる厚みから断熱材の持つ性能へ、
そして丁寧な断熱施工方法と移行して行く。
それと並行するように、単なる断熱材の挿入は壁体内結露を誘発すること、
気密無くして断熱効果は得られないことが伝わり、
防湿気密シートなるものの登場。

この頃からだろう、高気密・高断熱・全館暖房・計画換気
この四つはワンセットである、と言われるようになったのは。
なのにしばらくは、片手落ちの高断熱・高気密だけが一人歩き。
そのツケが室内の空気の汚れや内部結露を生み、
やり玉に挙がった時期もある。

そして、三層ガラス窓の登場。
私が木製の三層ガラス窓を使用したのは22年前。
お施主様からの要望が発端だった。

その後4年程した時の渡米。
そこでサッシには三層ガラスより断熱の優れた
ペアガラス”Low-Eガラス&アルゴンガス入り”があることを知ることに。
当時、アメリカではLow-Eガラスは普通。
日本で調べるとあるにはあったが、特別注文。

アメリカならLow-Eガラスは普通ペアガラスとの差額は3%程。
ところが、日本となると”特別品”だから30数%のアップだと言う。
この開きっていったい何なのだろう?・・・

普通のものとして扱われているアメリカ。
特別のものとしてしか扱えていない日本。

この時が、普通がこんなにも大事なことだなんて・・・と初めて知った時だ。
10年後は必ず日本もそうなる!
そう思うと、この窓を知ってしまった以上、
今家を建てる人の10年後のためにもすぐにでも輸入したくなる。
今思えば輸入することは当たり前な流れだったように思う。
その流れに乗ったお陰で、社内ではLow-Eガラスは普通扱いとなった。

よく「普通、断熱ってどのくらいですか?」と聞かれる。
この時、私は答えに迷う。
一般にこの辺で建てられている住宅の普通のことなのだろうけど、
アメリカの普通?北欧の普通?それとも・・・10年後の普通?
今や断熱の厚さが20センチ30センチは当たり前、
と普通と見る国もあるというのに、
どの地域、国、会社、時間、どこを軸にすればいいものか・・って。

普通に扱う、普通に建てられている。
そう、特別でも何でもない普通の家にすること。
10年後の普通を今の普通にする。

普通であることって・・
とっても大事なことなんだと、改めて思う。

しかし、乗り越えなきゃならんハードルは高い。
でもその前に乗り越えるべきは・・・
意識という厚い壁かもしれない。

岩手の注文住宅なら。

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