家の建て替えか断熱リフォームか

既に持ち家の方からの相談は、

建て替えが良いのか、それともリフォームで断熱を強化したらいいのか・・・

というのが意外と多いものです。
この傾向は寒い岩手県だから?なのかもしれませんが。

当社に建て替えでの新築を検討するためにいらっしゃる方でも、
断熱リフォームも兼ねて新築並みに全面的リフォームで一度は見積もってもらった、
という方が殆どかもしれません。

それだけ建て替えでの新築と新築並みの全面リフォームで悩む方が多いのです。
では、どちらがいいのでしょうか?

答えは、どちらとも言えません。

というのは、何を主たる目的とするかで違ってしまいます。

古くなり傷んだり汚れが酷くなった住宅を丸ごと全部きれいにしたいのか、
岩手の寒さをなんとかしたい、新築並みに暖かくしたいのか、
家族構成の変化によって、間取りが不便なので改築したいのか、

要望の全てを家のリフォームでとなれば家の建て替えより工事費はかかる

もちろん、できることなら全部できたらそれに越したことはありません。
ですが、一般的に全部を満たそうとすればコストは建て替えに比べ大きくなってしまいます。
何か特別な思い入れとかこだわる理由がない限りほとんど見られないケースです。
なのでそういう方の多くは建て替えでの新築になってしまいます。

家全体ではなく、屋根の吹き替え、外壁を新しく張り替え、水回りのリフォーム、
内部だけの改装とかの組み合わせでご予算に合わせるというのが、
家のリフォームの一般的な進め方です。

いずれ、室内を全面的にリフォームするにしても、建て替えるにしても、
工事期間は一般的に仮住まいへの転居は避けられまん。

では、家が寒いのが我慢できないから、家をもっと暖かくしたい。

そういう方なら大きく次の二つのパターンになるでしょうか。

①家の中で一番に寒さの原因となっている窓の断熱だけでも何とかしたい!

②家全体の断熱をしっかりして暖かい家にしたい。

どちらにしても、旧来の寒さよりはましになるのは確かかもしれません。
ですが、その工事の結果冬の室温はどうなるのでしょうか。

外気温5℃だった室温が7℃にアップするかもしれません。

いつも居る部屋をガンガン暖めて15℃だった室温が20℃になるかもしれません。

確かに以前の家より暖かくなったのかもしれません。
それで廊下が寒い、寝室が暖まらない、お風呂脱衣は寒いまま、
それで暖房費は以前とさほど変わらない、
となったらどうでしょうか?

費用をかけて建て替えなりリフォームするわけです。

家をどの位の断熱性能にするかを決めることの大切さ

せっかくかけた費用を無駄にしないためにも、
断熱リフォームなり建て替えなりにレベル目標を持つといいです。

それは、

どのくらい暖かい家にしたいのか?ということです。

例えば、

エアコン1台で家全体を温度差なく20℃以上に暖房したいのか、

いつも居るリビングや寝室だけ20℃になればいいのか、

家全体を24時間20℃以上に暖めて、暖房費がいくら位になったらいいのか、

というような具体的な目安があると、住宅のプロでしたら

それならば・・・

外壁の断熱レベルはこの位に、
窓の断熱性能に、床、天井の断熱はこの位までにすると、
断熱性能の指標であるU値でこの位、Q値はこの位になるので、
外気温が‐5℃の場合でも、14畳用のエアコン1台でも
家の中を20℃にキープできそうです。

と具体的に工事内容のレベルを設定し提案できるはずです。
断熱材を入れるとか入れないとか的なお話レベルでは、
きっと問題解決にはなりません。

暖かさを保つ断熱性能をどのレベルにするか、
もしその基準を知らないと言う方は、
教えてくれるような業者に工事をお願いするのが賢明かもしれません。
そうでなければ、自分で基準を持った上で業者探しをすることをぜひお勧めしたいですね。

新築一戸建ての岩手県盛岡市の場合の断熱基準とされるUA値は、0.56(w/㎡・K)です。
この数値以下なら岩手県の現在の断熱基準を満たすことになります。
この基準をやっと満たすレベルですと、私の経験上
家は寒い!結露する!暖房費がかかる!に当てはまってしまいます。

新築でこのレベルですから、断熱リフォームで目指す断熱レベルは、
この断熱基準を大幅に上回ろう!などと考えないのが一般的です。
ですが、それが間違いの元なのです。

新築よりはるかに暖かい超高断熱リフォーム

わかりやすくするために、断熱リフォームした事例で紹介しましょう。

過去の投稿、

「岩手でここまでできる超高断熱リフォーム」

をご確認ください。

20年前、既に現在の岩手県の断熱基準を満たす家を建てたにもかかわらず、

寒い、結露がひどい、を解決したい!!
中途半端な断熱でもう2度と後悔したくない!

という思いから、
新築の家の一般レベルの断熱をはるかに上回る断熱に、
徹底的にこだわった事例です。

一般には外壁の断熱リフォームとなれば仮住まいしなければならないのに、
こちらのお宅ではこれだけの断熱性能の工事を、
住みながら工事したっていうのが大きなポイントかと思います。

建て替えか断熱リフォームかで迷った場合、
お勧めしたいのが、現在の家の傷み具合いや断熱レベルの状況を
確認するための調査です。

いざリフォームで壁を開けてみたら、
結露で柱などの構造が腐っていてその修理に
予想外の費用がかかってしまったということはよくあることだからです。

次に紹介するのは、家を建て替えるために既存の家を解体している写真です。

建替えか、断熱リフォームか1
窓や室内建具を外し、室内の壁を剥がして行きます。

建替えか、断熱リフォームか2内壁を剥がして見ると、中はこんな状況です。

壁体内結露で壁の下半分がすっかり傷んでいるのがわかります。
そして土台に近い方は結露がより酷くなるため、
柱まで腐っているのがわかりますでしょうか。

この状況をリフォームで修復しようとすれば、かなりの大ごとになってしまうわけです。
臭いものに蓋をするように、表だけきれいにしたとしても、
リフォーム後住まい続ける中でずっと気になってしまうのではないでしょうか。

建て替えか、断熱リフォームか、悩んだら次の手順で進めるのがおススメです。

先ず、一部だけ内壁を剥がすなどのプチ調査、

リフォームで行けそうなら断熱等の現状の性能調査、

最後に、今の家を断熱リフォームでどのくらいの断熱レベルを目指すか、

この順番で判断されたら大きな失敗や後悔することはないはずです。

建て替えにしても断熱リフォームにしても、
岩手で寒い家で暮らす人が一人でも減り、
冬の底冷えや結露から解放される方が一人でも増えてくれたらいいですね^^

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