住宅のパネル化

今日は2×4住宅の一日フレーミングの日。
天候により本来のフレーミング予定日から二日延ばして今日になった。

今日の住宅パネル (1)
現場は事務所から近いので足を運んでみると、2階の作業がスタートするところで、

2階の壁パネルが宙を舞う。

今日の住宅パネル(2)
墨付けをしてある予定の位置へとゆっくりと落とし込んで行く。
軽く叩いたりしながら微調整をし、釘打ち機械で壁パネルを固定すると、
次の壁パネルの設置へと作業は移行する。

私はこのフレーミング作業を見るのが、どうも好き過ぎる。
社員であるスタッフたちが作業を進めるのを見るのが好きだというのもあるが、
これまでのスタッフの成長と共に進化してきた家づくりを振り返りながら、
これからの進化を創造する時間になっているからかもしれない。

それは当社の家づくりの進化は、いつも彼らと共にあったからだ。

25年前、パネル化すること自体に抵抗のあったスタッフたち。

尺モジュールから北米モジュールへ移行する際もそう、
インチをメートル法で寸法の割付をどう捉えるか、
従来の日本型の尺モジュールだと標準サイズの合板は3×6板(910×1820mm)だったものが、
北米型では4×8板(1220×2440mm)になり、

4×8板てのは、アメリカ人専用のサイズでねえのが。
そんたに大きいんだば、おらだづ日本人だば無理だべ!

との声がスタッフからも現場の大工からも挙がった。
それでも北米型の持つ強度の合理性や誰のためになのかを話し合いながら実行に移し、
回を重ねていると、それはいつしか普通のことになっていた。

住宅の性能面では、工場のパネル製作からこのフレーミング作業までに負うところは大きい。
特に断熱性をアップさせるためのヒートブリッジ対策では
材料と作業は増えるとしても、作業性を上げてコストアップを最小にするには、
ここに至る過程での工夫や配慮は要と言ってもいい。

以前なら輸入サッシをフレーミング後に現場へ運搬し現場で据え付けていた。
それを4年程前からドイツからの輸入サッシに関しては、
工場で壁パネルに据えるのは標準的な工程となった。
運搬やサッシ据え付け時のダメージリスクを無くし、
その上、運搬・据付コストを大幅に抑え、
性能アップの施主負担を減らすことができる。

昨年、耐久性の面で環境の変化に順応すべく、
床パネルのスペックを変えたことで工場での加工作業は増えた。

そして今、このパネルに新たな作業が加わろうとしている。

ここまで来れたのは、
これまで一進一退を繰り返しながらも、
旧来の方法を塗り替える術を持った彼らのお陰だなあと思う。

住宅のパネル化(5)
壁パネルに窓が納まっていると、
組み上げと同時に住宅全体の輪郭と窓による表情も見えてくる。

そして一日フレーミングの完了。

住宅のパネル化(6)

住宅の持つ表情は、自然のリスクから身を守るように、
大きな青いマスクで覆われてしまう。
今日の作業終了時刻は、周囲がまだ薄っすらと明るい午後5時半。
12月のフレーミングより1時間ほど日は延びている。

一番過酷な時期の峠を越えたら、
この先、日に日にフレーミングは軽快になるだけだべ、
そう思うと妙に小躍りしたい気分になるのは私も彼らも一緒、
これからもっと楽しくなる。

今日も一日、
私たちに今日という機会を与えてくれた施主さんに、
そして無事に終えてくれたスタッフに感謝!です。

私が住宅のパネル化で最初に刺激を受けたのはアメリカ。
その時はさすが本場だと感動したものだが、
その後すぐスウェーデンのパネル化を目の当たりにした時は、
それはもう衝撃と言っていいほどで、
現場での大工作業は殆どないのでは?と思えるレベルだった。

パネル化が当たり前どろか、工場生産の加工率が半端じゃない。
当時うちのレベルでは足元にも及ばない。

そして14年前に見ることになったドイツの住宅の新築工事現場。

住宅のパネル化(ドイツ) (1)
ドイツの高い断熱レベルを学ぶ目的が、
とてつもなく高い断熱レベルの住宅であっても、
写真のようにパネル化している現状を見せつけられた。

日本の中の周囲の普通と、
彼らドイツにある普通の断熱性能&加工技術レベルとのギャップに、
打ちのめされた。

住宅のパネル化(ドイツ) (2)
このような構造の床パネルなんて、日本には発想すらないのではないだろうか。
当時は10年もすればこの技術が日本に流れてくるのではないかと想像したものだが、
このレベルの情報には未だ触れてはない。

先日、新建ハウジングという業界紙の表紙を住宅の大型パネルの特集が飾っていた。

住宅のパネル化 (1)
これは在来工法の大型パネル化の特集。
主に業界の問題となっている職人の高齢化、職人不足の解決策として注目されている。
工務店は住宅の大型パネルを外注するため概ね100万円ほどはコストUPするようだが、
品質向上や現場の工期短縮のメリットに加え、
現場作業の重労働となる部分を減らすことで労働環境を改善でき、
若い人たちが入りやすくなるということらしい。

今の業界における工務店にとってのメリットはわかる。
しかし、工務店の将来像を考えた時、
この仕組みでのデメリットはないのだろうかとも思う。

当社の場合のパネル化は、
30年近く前、パネル化への妄想は施主さんの行為、言葉から始まった。
パネル化しなければと思っても、当時は外注先は見当たらなかったし、

自社でパネル工場なんて・・・

そんな大それたことをやる力なんて会社にはなかった。

のはずなのに、
脳裏に残った施主さん夫婦の表情と言葉が、
「自社でやるしかない!」と決意させてくれた。

やると決めてしまえば、人間不思議なもので、やれない理由はなくなり、
力が無いなら無いなりに、あれやこれや工夫するようになるものです。

住宅のパネル化 (2)

目的は何か、ゴールはどこか、のみに焦点を絞り、
その他一切のことは考えないようにしただけだ。

立派な工場が、いい家を創るのではないからと。

住宅業界の大型パネル化は、住宅に対する意識が成熟したアメリカ、
とりわけヨーロッパをずっと見て来て必然なことなのだとずっと感じてた。
ただ、どうしてもっと早くならなかったのだろうかと。

住宅の断熱レベルはヨーロッパから30年遅れ、
パネル化は30年以上、パネル技術は50年以上の遅れになるかもしれないが、
走り出しそうな気配には救われる。

この流れがもう少し進むなら、

当社のスタッフもパネルの進化も速度を早められるかもしれない。

欧米との暮らしのギャップ
断熱技術・レベルのギャップ
住宅に対する意識のギャップ

あり過ぎるけど、一つずつクリアしくしかない。

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