岩手のための高気密高断熱住宅の気密v.s換気

岩手の住宅展示場の高気密・高断熱工事終了!

更なる高気密高断熱を目指す、当社住宅展示場の断熱改修工事は、
概ね断熱と窓周りの気密化までほぼ終了。
新たな試みもあるため、日に何回かチェックするようにしているのですが、

岩手の高気密高断熱住宅

その工事現場を眺めながら初めて高気密を知った頃のことを思い出し、
ちょっとは成長してるべな、とつい一人笑ってしまいました。
そこで今日は、自分の中での整理も含め、
気密性と換気のことを私なりに纏めてみようと思います。

高気密・高断熱住宅への興味の始まり

人が暖かく過ごすために高気密・高断熱住宅が重要なことなのだと、
私が初めて知ることになったきっかけは、
かれこれ・・・34年前のこと。
当時誰もが知る某建材メーカーの課長さんの家を担当できた幸運からです。

施主さん自らが自社で作られた施工マニュアルを提示され、
そのマニュアル通りに指定する資材を使い、マニュアルに沿って施工は進められました。

袋詰めの断熱材しか知らなかった私が驚いたのは、
先ず初めて目にした裸の断熱材。

断熱材って裸のままむき出しで大丈夫なのか?

もっと衝撃だったのは、その裸の断熱材を壁に充填した上に、
家の室内側全体に張り巡らされたアルミシート、
これが俗に言う、気密シートというものでした。

家の周囲を隙間なくシートで覆い尽くすのが高気密か・・
息が詰ったりすねえべか、窒息なんてないんだべか?

と何も知らないので疑問にも思ったものです。
今から思うと笑えますね。

その時に施主さんからお借りしたのが、
北海道で始まっている高断熱住宅に関する本だったり情報誌。
重要な所をコピーし、マーカーしたりしながら、
知れば知る程もっと知りたくなるもので、
情報誌のバックナンバーを取り寄せたりして情報を漁りまくりました。

施主さんとのこの出会いがなければ、
今のような私にはなっていなかったのではないかと。

岩手で高気密住宅への始まり

何年かかけて住宅の高気密化を学ぶ中で一番興味深かったのは、
気密性能(隙間相当面積)と、
その隙間によってどれだけの換気量になるかです。

特に、隙間によって行われる換気量って、隙間量は同じでも、
屋内と室内の温度差で換気量は左右されるというのがツボに入ります。
それは家の内外温度差が大きくなる冬に、より高気密性が重要だということになります。

気密性能は、床面積1㎡当たりの隙間面積㎠で表され、
隙間によっての換気量は、家の容積相当の空気量が何回換気されるかを、
回転数で表します。

①隙間相当面積8㎠/㎡だと、

 内外温度差 20℃で 0.53回  30℃だと0.8回になる。

②気密化された住宅と言われた隙間相当面積5㎠であると、

 内外温度差 20℃で 0.33回  30℃だと0.5回になる。

③仮に現在高気密の境目と言われる隙間相当面積2㎠であると、

 内外温度差 20℃で 0.13回  30℃だと0.2回になる。

④岩手で必要と言われた高気密の目安である思える隙間相当面積1㎠になると、

 内外温度差 20℃で 0.07回  30℃だと0.1回になる。

当時、まったく気密化に配慮されていない住宅だと、
隙間による換気量は1.5回と言われていたような記憶なので
その場合だと、隙間風だけで内外温度差20℃で暖房費は概ね2万円~3万円になる。

もし、気密性能(隙間相当面積)を1㎠まで上げると、
損失は1000円~1500円以下になる。
もちろん気密をもっと上げれば隙間による暖房負担を500円以内も可能に。

暖かい家は断熱化より高気密化が優先される

ここまでできて初めて次は断熱をどうするかの出番になる。
断熱をいくら強化しても隙間が多いと、
穴の開いたバケツに水を入れ続けるのと変わらないですから。

高断熱は絶対必要だけれど、今日は敢えて気密と換気をメインにします。
当時、”高気密・高断熱”住宅だけでは片手落ちで、

「高気密」「高断熱」「計画換気」「全館暖房」

この四つはセットでなければならないと学んだ。

この私も初めて知った時は、「高気密」+「換気」って何?
真逆に思える行為をわざわざ・・・なんでするの?
と思ったものです。

人間が住宅で健康に暮らすために必要な新鮮空気量は0.5回。
ここで見直してほしいのが、②の辺り。
②の隙間相当面積5㎠位からより高気密になると、換気量は0.5回以下になってしまいます。

内外温度差20℃で0.33回の換気量だと私的にはギリギリのライン、
暖房する冬期はいいけど内外温度差が小さくなってくる春夏秋は・・・
隙間による新鮮空気は望めなくなってくる。

このために、高気密にしながらも強制的に24時間の計画換気が必要だよね、
ってことになるわけです。

ところがです、
その後、高気密・高断熱の言葉だけが独り歩きし始めたのではないかと思います。

高気密住宅化とシックハウス問題

建材から放散される化学物質によるシックハウス問題が多発するようになり、
シックハウス症候群や化学物質過敏症などがメディアでもクローズアップされたことから、
この問題をきっかけに、平成15年建材の放散量の規制や24時間換気0.5回以上の装備が、
法律で義務化されることになります。

元々高気密・高断熱住宅は四つでセット、
住宅の気密性能を把握し24時間換気システムを装備していた業者なら、
義務化になっても「何を今更「とは感じていたかもしれません。

高断熱住宅の計画換気と熱交換型換気システム

気密性を高めて隙間風による暖房費を500円/月に抑えたとしても、
24時間機械換気をすると、7千円~1万円/月の暖房費が増えてしまう。
その損失をできるだけ小さくしたいと考えた時に登場するのが
熱交換型の換気システムです。

熱交換率90%となれば、暖房費の換気損失を1/10にできる。

但し、公称値と実使用での交換率は違うことがあることに注意かと。
アバウトに許容値を見ておかられた方が良いと思われます。

それから0.5回という換気量について私が感じることについてぺっこ。

換気の義務付けの動機がシックハウス対策ならば、
自然素材や人体に有害が物質の低放散量である建材が多くなった現在、

暮らし続ける上でずっと?0.5回の換気量は必要か?

以前、ある住宅で新築時から一か月毎に家の中のホルムアルデヒドと
その他にVOC(揮発性有機化合物)の放散量を追跡調査したことがあります。

0.5回の換気している状態で、VOC類の放散量は半年で1/6まで減少、
その後緩やかに減少にしていきます。
ホルムアルデヒドはそれほどではないですが。

実際は、現在の住宅の建材や仕上げ材からの放散量は少なくなっており、
住宅に入居される方が持ち込む家具、衣類、芳香剤や洗剤などの
生活用品からの放散量の方が多いのではないかと思われます。

そのことまで考慮すると、

高気密高断熱住宅入居後の換気に対する配慮

小さなお子さんや敏感な方がいらっしゃるご家族なら、
入居して半年位までを、換気回数を0.7回位に上げてそれ以降
0.5回に絞るように考えてもいいのではとないかと。

身体的に特に不安等ない方なら、0.5回で半年過ごし、
ご家族数と住宅の大きさから実際的な必要換気量を計算しておいて、
半年経過して以降は換気量を絞るのもいいのではなでしょうか。

入居後半年経過したら、

就寝時に必要な換気量は、2/3なので夜は3割絞る。

日中に家族全員不在なら、最小換気量まで絞る。

とか、小まめな換気調整があってもよいのではと感じます。

業界には、通常時でも0.3回位で良いのではないかと言う意見もあります。
考えてみると実際の生活では、
台所、浴室やトイレの換気扇でも日常頻繁に換気は行われているわけで、
その換気量を加味すれば換気システム換気量は0.3回以下でも、
全体の換気量では0.5回位を満たせるのかもしれません。

いずれ、住宅それぞれにご家族の暮らし方があり、考え方があるので
一概には言えない部分もあります。

それでも、
もし、住宅と家族と暮らし方、この三つが最適に交わえるなら、
理想の暮らしに限りなく近づくことはできそうです。

岩手で高気密高断熱住宅のハウスメーカーをお探しなら、お気軽にご相談ください^^

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