Low-Eガラスの歪みとアルゴンガスのガス抜け?

高断熱サッシと言われるペアガラスなりトリプルガラスは、
ガラスとガラスの間を保つためにガラス周囲にスペーサーと呼ばれる部材で、
ガラス間に中空層を持たせている。

この中空層に以前は乾燥空気が、現在ではアルゴンガスやクリプトンガス封入が主流で、これによってより断熱性能を向上させている。

窓の断熱性向上は冷暖房効果を上げ、冷輻射や結露の発生を抑え、
日々の暮らしをより快適なものしてくれます。
ですがそれは、ずっと続くよう思いたくなりますが、
窓の断熱性能がずっと続くと保証されることはありません。

窓の断熱性能が高くなればなるほど、
先日お伝えした(高断熱住宅の窓選び・・・)ように、
このガラススペーサーの役割は大きくなります。

その上、ガラスの断熱性能を上げるために封入された
アルゴンガスやクリプトンガスの充てん率を維持するもしないも
このガラススペーサーだと言っても過言ではないのです。

先日偶然私の視界に入った窓が・・・

断熱サッシのガスが抜けてる?
ガラスの写り込みの歪みが結構激しい状況で、
えっ!?と思い、周囲の家の窓とも何度も見比べて、

これは・・・

もしかしたら、アルゴンガスが抜けている過程の状況なのかも?

と思った次第です。

Low-Eガラス・アルゴンガス入りのペアやトリプルガラスの住宅で、
ガラス面の歪みはよく見かける現象です。

経験的に考えられるとしたら、

①フレームのねじれ

②ガラスの重みによるサッシフレームへの負荷の偏重
 
③温度差によるガス層の加圧と減圧による

④ガスが抜ける

以上の4点ではないかと。
ほかにも要因はあるかもしれませんが。

①フレームのねじれについては、
 サッシ枠が木製の木製サッシでよくある現象でした。

②ガラスの重みによるサッシフレームへの負荷の偏重
 複層ガラス、とりわけトリプルガラスになってガラスの重さが増したこと。
 それと逆行するように、窓全体の断熱性能を上げるために
 窓枠の見付巾が狭くするようになった影響もあるのではないかと。

③温度差によるガス層の加圧と減圧による
 ガス層の膨張と収縮は当然考えられる。

④ガスが抜ける
 ガスが抜ける過程では減圧する。

④のガスが抜けているのではないかと推測したのは、
一般にガスが抜けると同時に外部から空気が流入すると思いがちですが、
以前専門家の方が教えてくれたのが、

ガスが抜ける時って、入ってくるのではなく出る一方通行なんですよ、
ガスが抜け切る頃にはガラススペーサー部から外気が入るようになり歪みは無くなり元に戻ります。
一般に知られてないですが、そういう特性なんです。

とのこと。

とすれば、減圧し続けるということ。
このことと、周囲の樹脂ペアガラスサッシとの比較してみて、
歪が大きいことからそうではないかと感じたのです。

ガラス枠がねじれや変形などの影響だとすれば、歪み方はきれいに揃わないし・・

ちなみに、当社で最近完成した住宅の窓を見てみました。

Low-Eアルゴンガストリプルガラス
トリプルガラスで内と外のガラスがLow-Eガラス、アルゴンガス層16mm×2。
ガス層厚さから考えれば温度の影響を受けた場合、
膨張圧縮時の現象は出やすいかもしれませんが、
ガラスの写り込みにほとんど歪みは見当たりません。

以前は樹脂のトリプルガラスに多少はあったものですが、最近では殆ど見ないって、

なぜだ?

その違いにある、以前と現在にあるサッシに違いがあるとしたら・・・
建具とガラスの間にテープを一つかませていることか・・
それがガラスとフレームを安定化させているかもしれない。
それ以外に思いつかない。

もしそうだとすれば、こちらの思惑とは違った副産物かも。

ガラスエッジにスペーサーを入れる際、
スペーサーとガラスの接着点面に一時シールされ、
スペーサー外側を2次シールされ密閉されているが、
このシールがストレス度合と経年で劣化していくことになる。

(複層ガラスのストレスについては、”高断熱サッシの急所”をチェック。)

ガラススペーサーの耐用年数についてこちらでも後半でぼやいてます。

そしていつの日か、ほんの微量ながらガスは抜け始める。

それだけ、ガラススペーサーにシール材は窓の高断熱性能と維持の要なのです。

考えてみれば、我が家のトリプルガラス窓もしばらくは歪んでいたのに・・・
いつの間にやら気付けばその歪みはなくなっていた
ということは、アルゴンガスが抜けている過程の数年間に歪んでいたわけ?
そして今、その歪みがなくなったということは、

アルゴンガスは残らず抜けきり、その代わりに空気が入ったということ
シールは役目を果たすことなく減圧も加圧もしなくなったということではないか。

20年も経てばガスは抜け切り温度の変化に合わせて呼吸しているわけか?

窓の断熱性能維持、そのためのスペーサーとシール

これからのテーマランク上位になりそうです。

窓ガラスが万華鏡のように歪む状況なら

陽射しチェックと窓ガラスの歪みチェック

もしかしたら、窓周囲のヒートブリッジも影響しているかもしれません。
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2 件のコメント

  • お久しぶりです。
    ガス入りの窓のことがよくわかりました。
    では、スペーシアなどの真空窓の場合はいかがでしょう?
    大共さんではほぼ使われていないので性能的にあまりよくないのでしょうか?

    • こちらこそ、お久しぶりです!
      スペーシアも以前使ったことはありますよ、いいガラスです。
      でも現在では、性能もですが、一番気がかりなのはガラスエッジのスペーサーですね。
      厚みを考えると結露性能は?と疑問に感じます。

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