みなさん、こんにちは。
T監督です。
最近はもう当たり前に耳にするようになった「高気密・高断熱住宅」。
高性能な断熱材を使用したり、内外ダブル断熱施工など様々な製品や工法があります。
その良い性能を最大限に引き出すための最も大事なポイントは「施工方法」にあります。
今回は、その施工方法にスポットを当てていこうと思います。
1.断熱施工の重要性について
高気密高断熱住宅にとって、「断熱施工」は最も重要なポイントの一つです。寒暖差が大きい地域では、室内の温熱環境の快適さだけでなく、健康や住まいの寿命にも大きく関係してきます。
まず、断熱性能の高い住宅は、年間を通して快適な室内温度を維持しやすいのが大きな魅力です。冬の朝に布団から出るのがつらかったり、廊下やトイレが冷え切っているなど、そんな悩みも、高断熱住宅であれば解消できます。断熱性を高めることで、室内の暖かさが外に逃げにくくなり、エアコンや床暖房の効率が大幅にアップします。
次に、光熱費の削減です。岩手のような寒冷地では、冬の暖房費が家計に大きな負担を与えます。しかし、断熱性が高い住宅では冷暖房に使うエネルギーが最小限で済むため、長い目で見れば省エネ=経済的な暮らしを実現できます。「高性能な住宅は初期コストが高い」という印象があるかもしれませんが、光熱費の削減によって10年〜20年スパンで見た場合、むしろお得になるというケースも少なくありません。
そしてもう一つは、住宅の寿命に与える影響です。断熱施工が不十分な住宅では、冬場に外気との温度差が原因で内部結露が発生しやすくなります。これが柱や梁などの構造体を腐らせたり、カビの発生原因となったりすることで、住宅の耐久性を著しく損なう恐れがあります。しっかりと断熱・気密施工された住宅では、結露リスクが大きく低下し、構造体が長持ちしやすくなります。
岩手のように、冬が長く、寒さが厳しい地域でこそ、「高断熱・高気密」という住まいの基本性能が、快適な暮らし・健康的な住環境・住宅の長寿命化・ランニングコストの削減というメリットを生み出します。
2.断熱・気密工事の現場で見るべきチェックポイント
高断熱・高気密住宅において最も重要なのが、「断熱材が正しく施工されているか」「気密処理に漏れがないか」の2点です。どれほど高性能な断熱材を使用しても、現場での施工ミスがあれば、その効果は台無しになってしまいます。断熱・気密性能を落とさないために普段現場でどんなところをチェックしているのかご紹介します。
● 断熱工事のチェックポイント
1.断熱材の隙間がないか
断熱材は柱間に隙間なくピッタリと詰めることが基本です。特に繊維系の断熱材(グラスウール等)は、押し込み過ぎや隙間があると断熱性能が下がります。また、断熱材の連続性を守ることも重要で、建物を断熱材で囲うようなイメージで、構造の切れ目や、開口部などで断熱層が途切れないよう、材料の重ねや密着を確認します。

2.断熱材が湿気を含んでいないか
施工中に断熱材が雨に濡れると、乾燥しにくくカビの原因にもなります。雨天時の施工には要注意し、現場では防水・養生をしっかりと行い、断熱材の湿気を防ぎます。
3.熱橋が生じていないか
柱や梁、金物部材の取り合いなど、熱が逃げやすい部分(熱橋:ヒートブリッジ)への配慮も必要です。これを見落とすと、壁に結露が発生しやすくなります。

● 気密工事のチェックポイント
1.気密シートの重ね幅・テーピングの精度
気密シートの継ぎ目はしっかりと重ね、気密テープで密閉する必要があります。気密シートの重ね代の目安は各会社ありますが、大共ホームでは重要工程ごとに自社検査を実施し、最低100~150mm以上の確保と、たるみがないかの確認をしています。


2.ジョイント部分(サッシや開口部)の一体化
屋根と外壁、基礎と壁、サッシまわりなど構造の接合部は気密ラインが切れやすい箇所で、断熱・気密の両面で要注意ポイントです。高性能サッシを使用するだけでなく、周囲の気密処理が丁寧でなければ性能は活かされません。
3.貫通部(配線、配管)の処理
気密性能を大きく落とすのが、電気配線やダクトが壁を貫通する部分です。小さな穴でも空気漏れの原因になります。ここを丁寧にコーキングや吹付ウレタン、または専用の気密部材で処理してあるかが重要です。



4.施工する業者さんとの連携・意思統一
気密施工は業者さんの協力なくして実現はできません。施工してもらう業者さん全員に気密の意識を共有し、工程ごとに確実な施工を徹底することもまた、一つの重要なポイントです。
3. 気密測定とその意味
気密測定とは、住宅にどれくらいの隙間があるかを定量的に測定する検査のことです。高気密住宅では必須ともいえるこの測定は、岩手のように寒暖差の大きい地域で快適な暮らしを実現するために欠かせません。
●気密測定とは何を測るのか
気密測定では、建物に「送風機」を取り付けて、内部の空気を外に押し出すことでどれだけ空気が漏れるか(漏気量)を計測します。この結果は「C値(隙間相当面積)」という数値で表され、以下のように評価されます。
・C値=2.0㎠/㎡以上 → 気密性が低い(旧基準レベル)
・C値=1.0㎠/㎡以下 → 高気密と呼べるレベル
・C値=0.5㎠/㎡以下 → 超高気密住宅(理想)
C値とは「住宅全体の隙間の大きさを床面積で割った数値」です。たとえばC値1.0であれば、床面積1㎡あたり1㎠の隙間があるということです。
岩手のような寒冷地でこの隙間が多いと、冷たい外気が室内に入り、結露・冷暖房効率の低下・体感温度のムラなど多くの問題を引き起こします。逆に、気密性能が高ければ、熱が逃げずに室内は常に快適で、少ないエネルギーで効率よく冷暖房でき、光熱費の節約にも直結します。
まとめ:岩手で快適な住まいをつくるために
高気密・高断熱住宅は、どの材料を使うかだけでなく、「どう建てるか」で性能が左右される住宅です。岩手のような寒冷地では、小さな施工の差が大きな性能差になります。
今回ご紹介したように、
・適切な断熱施工が快適な室内環境・省エネ・住宅の長寿命に直結している
・現場での施工手順や品質チェックがその性能を支えている
・気密測定によってその性能が「見える化」される
という内容が、高性能な住宅を生み出します。
岩手のような寒冷地で、理想の家を建てたいと考えている方にとって、見た目や間取りと同じくらい重視すべきなのが、住まいの基本性能=断熱・気密性能です。
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