漆喰の家は寒い?スペイン漆喰の蓄熱効果とメリット

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日本で漆喰といえば昔のお城や土蔵、
神社などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
伝統的な和風建築に使われる素材の
イメージが強いでしょう。

実はヨーロッパの方が漆喰の歴史としては古く、
古代エジプト時代から使われていたようです。
歴史が長い分、一般住宅として内装や外装に
広く使われ改良が重ねられてきました。

大共ホームでは、スペイン漆喰を自社で直接輸入して、
外壁や内装に活用しています。
さまざまな効果がある漆喰壁ですが、
ここでは漆喰のメリットである断熱性能などについて
詳しくご紹介します。

1.漆喰の特徴と種類

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そもそも漆喰とはどのような素材なのか、
漆喰とほかの左官壁との違い、
スペイン漆喰と日本の漆喰との違いなど
についてご紹介します。

(1)漆喰の種類

漆喰とは、消石灰(水酸化カルシウム)を原料とした素材です。
消石灰は、石灰石を焼いて水を加えたものを指します。
石灰石はサンゴ礁が長い間をかけて堆積し作られたもので、
焼いて消石灰となった原料にのりやすさなどの
つなぎを加えたものが漆喰になります。
天然素材であることや、調湿作用、
耐火性にも優れているのが特徴といえます。
消石灰はグラウンドのライン引きの原料にもなっています。

漆喰には、日本古来の和漆喰と、
ヨーロッパ素材の西洋漆喰に大別されます。
主な和漆喰は、「本漆喰」「土佐漆喰」
「琉球漆喰」「屋根漆喰」などで、
お城に使われることが多かったのは本漆喰です。

西洋漆喰には、「スペイン漆喰」「フランス漆喰」
「スイス漆喰」などがあり、
ヨーロッパでも漆喰は昔からよく使われていた素材です。

(2)日本の漆喰との違い

スペイン漆喰などの西洋漆喰と日本の和漆喰は、
使うときの厚みとつなぎの素材が異なります。
西洋建築では、建物の壁そのものをレンガや石で作るため、
建物が崩壊しないように、漆喰はしっかりと厚みを出して使います。
厚みを出すことが前提となっているため、
大理石やセルロースファイバー、
砂などを混ぜて強度を高くします。

日本建築は、木造の構造体で耐久性が保たれているため、
漆喰は仕上げ材として使われます。
ヨーロッパのように厚塗りする必要がないため、
のりやすさなどの有機物を混ぜて
滑らかに仕上げます。

(3)既調合漆喰とは

既調合漆喰は、その場で水を加えれば
漆喰材が作れるものや、すでに練られていて
ペール缶などに入っているものなどが販売されています。
一般的には、主原料である消石灰が
全重量の50%以上含有されることが必要とされています。

のりやすさなどのつなぎを自分で調合する必要がないため、
施工する際に手間がかからないメリットがあります。
ただし、調合物によっては強度や耐火性が低下したり、
燃焼した場合に有毒ガスが発生したりする可能性があります。

(4)モルタルとの違い

モルタルはセメントに砂と水を加えて
練るもので、漆喰とは原料が異なります。
また、耐用年数はモルタルが30年程度に対し、
漆喰は100年といわれています。
年月が経つほど強度が高くなるのは漆喰の特徴です。

(5)珪藻土との違い

漆喰と比較されることが多いのが珪藻土です。
珪藻土は珪藻という藻類の殻の化石が主原料であり
漆喰と同様に天然素材ですが、
原料そのものは自ら固まる性質がありません。
そのため、壁材として使うためには接着させる必要があります。

一方で漆喰は、自ら固まる性質を持っており、
珪藻土との大きな違いといえます。
また、珪藻土は水に弱いため外壁には
使用することはなく、内装に向いた素材です。

(6)漆喰は寒い?

漆喰壁にすると寒いというイメージを
持っているかもしれませんが、滑らかな表面の質感が
触れるとひんやり感じやすいことから、誤解されがちです。
実際には蓄熱・蓄冷するため、冬は暖かく夏は涼しい、
一年中快適な空間を作り出してくれます。

(7) 外壁にも内装にも使用可能?

城壁にも使われてきていますので、
内装はもちろん外壁にも使用可能です。
ただし、内装向けの漆喰は粒子が微細なものが向いていて、
外壁向けは粒子が大粒の方が向いていますので、
適材適所の使い分けがおすすめです。
加える骨材が大きいと強度が高くなりますので、
粒子が大きい外壁向けの方が、耐久性は高いといえます。

2.スペイン漆喰のメリットとデメリット

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西洋漆喰のひとつであるスペイン漆喰は、
日本国内でも住宅によく使われている素材です。
自然素材ならではの特徴について、
また、内装材として使うときの身近な疑問などについて
ご紹介していきましょう。

(1)蓄熱・蓄冷・防音効果

蓄熱・蓄冷・防音効果は、
スペイン漆喰の大きなメリットのひとつです。
漆喰には多孔質と呼ばれる無数の穴があり、
目には見えない小さな穴が空気層になって
断熱材のような役割を担っているため、
外気温に影響されにくく、夏は室内温度の上昇を抑え、
冬は室内の熱を蓄えて逃がさない効果を発揮します。
空気層による防音効果も期待できます。

(2)調湿・防カビ殺菌・脱臭効果

多孔質の特性は、調湿や防カビ殺菌、
脱臭効果にもつながっています。
湿度の高い季節は余分な湿気を吸収し、
乾燥する季節には湿気を吐き出しますので
防カビ効果を発揮します。
また、タバコやペット臭、アンモニアなど
室内の気になる臭いを吸収してくれる効果もあります。

(3)ほのかな輝き・デザイン性

大共ホームで使用するスペイン漆喰には、
粉状にした大理石が加えられているため、
光の反射などでほのかな輝きが生まれるのが特徴といえます。
素材そのものに厚みのような重量感があり、
外壁に使うとドイツ窓など重厚な輸入窓などとも相性抜群で、
ヨーロピアンな雰囲気づくりにおすすめです。

内装では、モザイクタイルなどデザイン性のある素材とも
バランスがよく、それぞれの質感の相乗効果で
オシャレな雰囲気を演出できます。
しっかりとした重量感はレンガ調の模様を施すことも可能で、
ご家族やペット様の手形・足形を記念に残したりもできます。

(4)耐火性・空気清浄効果

スペイン漆喰は耐火性にも優れています。
自然素材の無機物が主原料であるため、
素材そのものが燃えにくく燃焼にも時間がかかります。
また、燃焼しても有毒ガスなどの有害物質が発生しませんので、
健康被害も避けられます。

空気清浄効果により、ホルムアルデヒドなど
身体に有害なものを吸着し浄化してくれるのもポイントです。
快適な室内環境を提供してくれます。

(5)高い耐久性と自浄作用、メンテナンス性

スペイン漆喰は施工後、空気中の二酸化炭素と
反応しゆっくりと石化していき、長い年月をかけて
もとの原料の石灰石に戻っていくといわれます。
そのため、年月が経つほどに耐久性が高まる素材です。

また、壁の汚れを分解する自浄作用があるため、
一度汚れても次第に目立たなくなるのが特徴です。
将来的なメンテナンスの負担を軽減できるといえるでしょう。

(6)デメリット・汚れやすいのでは?

塗り壁は汚れやすいと思っている方や、
メンテナンスが大変と捉えている方は少なくありませんが、
先述の通り、スペイン漆喰には自浄作用があります。
そもそも化学物質のように静電気が起きにくいため、
ホコリなどもつきにくい素材です。
また、塗り壁は部分的に補修できるなど、
意外と自分でメンテナンスしやすい素材です。

(7) デメリット・高いのでは?

コスト面では、一般的なペイントや
クロス仕上と比較すると約2~3倍程度が目安です。
クロスなどと比べて施工手間がかかることもあり、
費用はかかります。

しかし、畜冷暖効果や消臭、空気清浄効果など
塗り壁ならではの効果や、自浄作用、
補修のしやすさなどを考慮すると、
長い目で見たときにはコスト以上の
メリットを感じられるでしょう。

(8)デメリット・寒いのでは?

蓄冷・蓄熱など断熱効果が期待できるため、
クロス壁と比べて寒くなるということは心配ありません。
むしろ夏は涼しく冬は暖かい室内環境が可能です。

(9)デメリット・技術の差が出やすいのでは?

塗り壁は職人の技術が感じられるのが魅力ですが、
その分職人の技術の差が生まれることはあり得ます。
均一的に製品として完成されたクロスとは異なり、
漆喰仕上は住まいの中で一番の手仕事ともいえます。
仕上がりが気になる方は、塗り壁の施工経験が豊富な
熟練工のいる施工店に依頼するのが安心です。

なお当社では、職人の手から生まれる造形美と
お施主様の手づくりの温かみのある仕上がりと
両方をご提案しております。

(10)デメリット・乾燥や地震などでひびが入るのでは?

塗り壁は素材そのものに水分を含んでいますので、
経年変化で乾燥によるひびが発生する可能性はあります。
また地震などで建物が大きく揺れた場合は、
力が溜まる箇所ではひびが入ることもあります。

地震などの場合は、外壁の素材にかかわらず
ひびが入る可能性はあると思いますが、
ポイントは「補修ができるかどうか」です。
塗り壁は部分的な補修がしやすい素材であり、
将来的にもなくなる可能性は低いです。

しかし、サイディングなどは採用した
デザイン品番がずっと継続されることは非常に少なく、
全体的な張り替え対応を検討しなければならない
可能性もあるでしょう。
塗り壁は状態によっては自分でも直せる可能性があるため、
メンテナンス性として優れているといえます。

(11)デメリット・水に弱いのでは?

経年変化により石灰石に戻るため、
むしろ水にも強い素材です。
吸放湿すること自浄作用があることなどから、
一定のセルフクリーニングが期待できるといえます。

ただし、調湿作用があるとはいえ、
常に水に濡れている状態が望ましいわけではないため、
水回りではタイルやシート仕上げがおすすめです。

3.スペイン漆喰の風合いを活かした施工事例と家づくりのポイント

ここからは、実際にスペイン漆喰を使い素敵な
住空間を手に入れたおすすめ施工事例をご紹介していきます。
ご自身の住まいづくりの参考になる事例を見つけてください。

(1)まるでおとぎの国!スペインの海辺!自由自在に外観にこだわる

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レンガや洋瓦など、ヨーロピアンな雰囲気を
演出する特徴的な素材と、漆喰壁の重厚感ある素材から
醸し出される素朴な雰囲気が素敵な外観。
スペインに建つ住宅のような佇まいと、
自由自在に対応できるデザイン力が魅力です。

(2)カラー漆喰を活かす(外観・内装)

純白の塗り壁がイメージのスペイン漆喰ですが、
さまざまなカラーバリエーションも備えています。

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トリム(※)を付けることで、窓まわりが重厚感溢れる外観になります。

※トリムとは、建物の窓枠を縁取るように
取り付けられる装飾用の板材のこと

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グレー系の外壁と木製サッシの組み合わせは
落ち着きのある雰囲気に。
漆喰の塗りムラに光が反射して自然な印影が素敵です。

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カラー漆喰を内装で活用すれば、
インテリアの雰囲気もガラリと変わります。
部屋の一部をアクセント壁として取り入れたり、
トイレなどの個室に個性的なカラーを
採用したりするのもおすすめです。

(3)漆喰ならではの水回り、美しいモザイクタイルや大理石の活用

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マットで素朴な質感が魅力の漆喰は、
モザイクタイルやカラーレンガ、
タイル、大理石などの素材と相性抜群です。
洗面台のシンクまわりにタイルをあしらったり、
大理石天板と組み合わせたり、
デザイン性のある水回りを演出できます。

(4)消臭殺菌やキャットウォーク、肉球スタンプも!漆喰を活かしてペットと暮らす

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消臭効果があるため、
ペットと暮らすLDK空間にもおすすめです。
殺菌効果も期待できるため、
小さなお子様とペットとの暮らしも快適。

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壁に肉球スタンプを施して、
愛らしいペットとの暮らしが
さらに豊かになるでしょう。

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お客様からは
「大共ホームのイベントで作成したアートボードを、
家づくりの思い出として玄関に飾っています」
と喜びのお声をいただいています。

(5)アールの扉、内窓、階段下書斎、見せる梁など、自由度の高い内装造形

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クロス仕上ではなかなか難しい
アール開口部が可能なのは、漆喰壁ならではです。
リビングとつながる内窓や階段下の書斎スペース、
重厚な梁型など自由度の高い間取りや
内装の空間構成に柔軟に対応できるなど、
自分らしい暮らしが叶います。

(6)家族の手形、お手製レンガ模様でぬくもりのあるオンリーワンの家

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新築やリフォームの記念に
家族の手形を残す方も少なくありません。
建築当時の年齢の手形を残すことで、
家族の暮らしと成長を楽しむことができますね。
レンガ模様をつけて自分たち家族だけの内装を演出
することも可能です。
重量感のある漆喰ならではですね。

(7)漆喰の陰影を楽しむ、照明にこだわる

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職人が手を掛けて施工する漆喰は、
表面に自然な塗りムラができます。
自然な印影が作られることで、
照明の灯りが雰囲気のある空間を
演出してくれます。
自然が作り出すアートといえるでしょう。

4.スペイン漆喰の活用法とメンテナンス方法

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最後に、スペイン漆喰の活用法と
気になるメンテナンス方法についてご紹介します。

(1)現代的な漆喰の活用法

メインの部屋の一部の壁に漆喰壁を
採用するのもおすすめです。
限られた予算の中でも、自然素材や
ヨーロピアンな雰囲気を取り入れたいときに
よいでしょう。

コスト削減のために自分で施工する方法もあります。
大共ホームでは塗り壁教室も開催していますので、
興味のある方はぜひご相談ください。

(2)日常のお手入れ

漆喰壁はご自身でも日常的なお手入れが可能ですが、
外壁、内装壁でそれぞれメンテナンス方法が異なります。
専門業者に依頼せずに対応できますので、
長期間でのメンテナンスコストを削減できます。

(3)外壁の汚れ

外壁の汚れは、専用の洗浄剤を塗るだけで完了です。
一般的な外壁クリーニングは洗浄、
洗い流しと最低でも2つの工程が必要ですが、
漆喰壁は塗るだけでOKです。
ただし、足場なしで高い場所での作業については、
高所用の道具が必要です。

(4)内装の汚れ、シミ

鉛筆の線や軽い手あかであれば、
一般的な消しゴムで落ちます。
シミのようにしみ込んでいるような場合には、
サンドペーパーでやさしくこすったり、
カッターで削ることで解消します。
目立たない汚れは経年とともに自浄作用で
薄くなることがありますので、
様子を見てもよいでしょう。

(5)ひび割れ(クラック)

ひび割れはご自身で対処が可能です。
ひび割れ箇所を囲むように
マスキングテープを貼ります。
粉末状の漆喰に少量の水を混ぜて練ったものを、
定規など平たいもので凹みが隠れる程度に塗り込みます。
塗り込み過ぎないのがポイントです。
あとは自然に乾燥し、馴染むのを待ちましょう。

(6)欠け

固いものをぶつけてしまったときに、
漆喰壁が欠けてしまうことがあります。
欠けた部分もひび割れと同じように漆喰を作り、
補修することが可能です。
漆喰が少ないと剥がれてくる可能性があるため、
少し多めに塗り込みましょう。
完全に乾いてから、ペーパーかカッターで
削ると自然に馴染むでしょう。

5.まとめ

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漆喰壁の特徴やメリットデメリット、
具体的に活用している施工事例や
メンテナンス方法などについてご紹介しました。

単に自然素材を使うという以外にも、
蓄冷・蓄暖効果や調湿作用、耐火性、耐久性に優れるなど、
住環境にとっても優れた素材であることがわかります。

また、漆喰壁ならではの質感は
ほかの素材では得られないものでもあるため、
健やかな暮らし、豊かな暮らしを実現するにも
おすすめ素材です。
自分で施工する方法もご紹介しておりますので、
ぜひご相談ください。