~パイミオのサナトリウム編~
ご無沙汰して申し訳ありません。北欧視察旅行記・vol2アップさせていただきます<(_ _)>
アルヴァ・アアルトがデザインした、フィンランドのパイミオ市にあるサナトリウム(結核患者の療養所)を視察してきました!

郊外に位置するサナトリウムは、深い森林に囲まれ、閑静な場所でとても心地のよい環境でした。ここは1933年に流行した結核患者さんの療養所として患者の事を第一に考えた設計となっているそうです。
屋上に設けられたバルコニーは太陽に向かうよう設計され、お天気の良い日には患者が寝椅子に寝たまま日光浴が出来るようになっていて、少しでも体力がつくように工夫されています!眺めの良い森林を見渡せるようにもなっていて、アアルトの患者さんへの優しさが伝わってきます。



さらに、代表作であるパイミオチェアは座ると呼吸が楽になるように設計され、曲木(※1)を用いた肘掛けも、丸みを帯び暖かさのあるデザインになっています!
インテリアとして目にしてきたチェアですが、今回初めてデザインの背景を知り、アアルトのファンになってしまいました♡
他にも、ドアの取手が白衣に引っかからないようになっていたり、病室内の天井が鏡面仕上げになっていて床に写った光が天井に反射しさらに室内を明るく照らされるよう工夫されていたり、蹴上げが低く上りやすい階段だったり、窓の開口が大きく陽射しをいくらでも多く取り入れるべく設計がされていたり。。。




本当に患者さんを想って作られているのが、よくわかりました。長期間入院をしなければならなくなったら、滅入ってしまいますもんね。
当時から多少手は加えられているものの、ほとんどオリジナルのまま残っているようで、それもすごいなと感心したのですが、結核患者が減りその後は総合病院として利用され、さらに現在は障害児用の施設として使われていました!
カラフルで優しいデザインは子供たちの心を癒してくれているはず。





ちなみに白衣の引っかからないドアノブなど、一部のアイディアは奥様のアイノ・アアルトが考案したものでもあったようです。
女性ならではの細やかさがあったのでしょうね。素敵な共同作業!!
デザインの奥深さに感慨深い視察となりました。 報告:9号
※1・・・曲木とは木材を機械で熱して塑性を増大させ、型に入れるなどして曲げる事。
19世紀半ばに、ミハエル・トーネットにより完成された技法だったが、アアルトはこれをさらに追及し、地元産のバーチ材を使用した長板を木目が同じ方向になるように重ね合わせ加熱して曲げる方法を確立した。金属ではなく曲木を使う技法は当時珍しいものだったが、木の温もりを残しつつ、強度と耐久性の高い製品を作る事が可能になった
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