
こんにちは ニシです。
ガラス作家 オカベマキコさんの「シャボンランプ」
今や絶大な人気で、そう簡単に手に入る作品ではないようです。
お施主様が奇跡的に購入することが出来たこの照明は、そのストーリーと共に
住まいを彩り、暮らしを素敵に灯してくれていること思います。
空間を明るくするという本来の目的に加え、暮らしを楽しく豊かにしてくれる照明。
今回は家づくりの『照明計画』についていくつかの視点でご紹介させていただきます。
目次
1暮らしのシーンと照明の関係性
2「明るさの基準」数字で考え体感で腑に落ちる
3テクニック① 体内時計と照明の高さ
4テクニック② コスパ最強!ダウンライトの活用法
5テクニック③ 「メリハリ灯り」と「ほっこり灯り」
6人が幸せになるために『光』が出来ること
1. 暮らしのシーンと照明の関係性。
お施主様とお打合せしている中でリビング照明に調光はマスト、
調色機能はあったらいいなというオプション的な
位置づけになる事が多いように思います。

こちらの施工実例。
LDKの空間に使用されている照明は、間接照明・ダウンライト・スポットライト・
ペンダント照明・ブラケット照明と5タイプになります。
異なる種類の照明を配灯することでご要望を叶えています。
家づくりで「こんな暮らしがしたい」を実現するための一つの要素として
『照明計画』がありその手段としてこの配線計画、照明器具選定と打合せを進めます。
スタートもゴールも「どんな暮らしがしたいか」ということに尽きると思います。
💡例えば生活シーンと求められる機能について考えます。
- くつろぐ時間をよりリラックスできるように
(間接照明を調光)
- 食卓のお料理がさらにおいしく見えるように
(演色性の高い器具や電球を使用)
- グラスのお酒がよりおいしく感じられるように
(グレアレスダウンライトで集光)
- 吹抜けリビングを効果的に照らしたい
(多灯配灯で地明かりと空間の明るさ感)
- 玄関ホールはワンランク上質な雰囲気にしたい
(ニッチや間接照明)
- 食事とリビング学習に適した明るさの使い分けがしたい
(調光またはランプの色温度切替)
- 爪を切る時や細かな作業時はさらに明るくしたい
(照度をUPまたは色温度を変える)
などなど家では日々、様々な暮らしのシーンが展開し適した照明も異なります。
家づくりでは今までの照明に関するお困りごとや不満も解決し、
快適に暮らしたいものです。
心地よい暮らしに不可欠な照明計画ですが、実際は効率的な賃貸のような
1室1灯のシーリングになりがちです。活動・くつろぎ・静寂、全てが同じ明るさでは
少しつまらなくも感じます。ただ複雑になり過ぎたり予算オーバーでは本末転倒ですし
メンテナンス性、機能性も大切です。
そんな時は配線はシンプルにして多機能な器具を選択するのも一つの方法です。

こちらは配線はリビングのセンターにシーリング用の配線のみ。
器具は調光調色はもちろん、上点灯で間接照明のような明るさを作ることも出来ます。
一般的に10年といわれる適正交換時期が来た際、自分で交換できることも
メリットの一つです。
2. 「明るさの基準」数字で考え、体感で腑に落ちる
照明や照度を体感以外で実感することはとてもハードルが高いと思います。
ほぼLEDとなった照明。明るさの単位も60W相当で810ルーメンと変化しました。
灯りは空間の中で灯り床や壁に反射してこそ、明るさとして感じ取ることが
出来るものです。室内を構成する素材の色や反射率、光沢感や素材により
その見え方が変化するので電球のルーメン数だけでは尚更難しいですし、
年齢によっても変化していきます。
私はよくお打合せ中のお施主様を日暮れの時間帯に出来れば、
ご家族の皆様ご一緒に見学会へお誘いします。
見学されているうちに暗くなり夜の照明の体感ができます。
目的は当社の標準仕様であるスペイン漆喰や無垢床の空間で、明るさや
反射率などを体感して頂きたいからです。そしてご家族間での感じ方や好みの違い、
照明計画の優先順位などをその場で声にして、
意思疎通して頂く場になればとの想いからです。
カタログの文字や数字で悶々とイメージするより数段理解が深まります。

当社常設展示場です。こちらはご連絡いただければ夜でもご見学頂けます。⇒ ★
間接照明は電球色2700K・温白色3500K・昼白色5000Kの切替ができますので、
色温度による違いをいつでも体感して頂けます。
3. テクニック① 体内時計と照明の配置
心地よい空間をつくる照明テクニックをご紹介します。
サーカディアンリズムという言葉をご存じでしょうか。
地球上の生き物の生体リズムのことで睡眠と深く関わっているそうです。
太陽でイメージしていただくとよりわかりやすいです。
晴れた日の朝焼けがピンクからオレンジそして黄色に変化し日中はクリアな
光となり夕陽は赤く沈んでいきます。イメージしただけでも癒される気持ちに
なるのは単純すぎでしょうか(笑) これを照明に活かすことで心地よさが得られます。

見学会でのスタイリングです。
キッチン背面のカウンターの上にシンプルな電球色の照明を置きました。
手前にブルーやグリーンのボトルを並べ、光を透過することで間接照明のような効果が
得られます。天井からの照明を消して目線より低いその照明にすることで落ち着いた
雰囲気になりグラスが輝きをましワインがよりおいしく感じられます。(妄想)

こちらは寝室の間接照明です。
ベッドのヘッド側の壁面をカウンターからのアッパーで照らしています。
ご家族で施工したスペイン漆喰のスタンプデザインの陰影がより浮かび上がります。
柔らかな光が傾斜天井にめぐり安眠が得られそうな寝室です。

こちらも寝室の間接照明(建築化照明)です。
手前に低く下がり壁を作り照射する位置を低くすることで寝室としての落ち着きが
生まれます。こちらの方はお布団派でしたのでより低い方が心地よさそうです。

こちらも寝室の照明です。
ペンダントライトのコードを特注で長くしました。
照明の素材は画像では乳白ガラスのミルクシェードのようにみえますがシリコン製!
眩しさがなく安全安心な可愛らしいペンダント照明です。
ちなみに枕元のすぐそばにも三路スイッチがあります。

こちらは番外編。カンボジア旅行で行った首都プノンペンの超高層ビルの最上階。
照明ではないですが灯りという括りで。
飲み屋さんも高級なお店ほど照度が低く灯りの位置が低いように思います。
位置や高さを変えることで実現できるテクニックです。
4. テクニック② コスパ最強!ダウンライトの活用法
「間接照明」は読んで字のごとく壁などを間接的に面で照らして明るさを
採るためシンプルなダウンライト等と比較すると照度を必要とする分、
コストがかなりかかります。
間接照明にはあこがれるけれど、他にもやりたいことがたくさんで照明に
そこまで予算は取れない。という声もよく聞かれます。そんな時は
ダウンライトの位置を壁に寄せることで間接照明のような空間を
作ることが出来ます。

こちらの施工画像で5灯のダウンライトを使用しています。
そのうちの3灯を壁面に寄せ壁面にリズムのある間接照明のような明るさを
作り出しています。さらにその壁面にガラスブロックを入れデザインと奥の
ランドリールームへの採光ともなっています。少し話題が逸れますが手前の
ダイニングテーブル上のペンダント照明も3灯にしてリズム感を出しました!

こちらはダウンライトではないですがスポットライトでうまく演出している寝室です。
天井に1灯とベッドサイドにそれぞれで計3灯の可動出来るスポットライトです。
友人のカンボジアの寝室(承諾を得ています) コスパのいい照明計画と感心しました。
5. テクニック③ 「メリハリ灯り」と「ほっこり灯り」
住宅ではくつろぎ感のある「ほっこり灯り」のご要望が多いように思いますが、
玄関ホールなどでは演出できる「メリハリ灯り」を効果的に使うのも
楽しいかと思います。

人は心理的に空間の奥に明るさがあると安心感がうまれるそうです。
そんなことをイメージしてご提案したのがこちらです。
リビングから吹抜けダイニングの奥のキッチンを見た時、ダイニングが明るい分、
奥のキッチンに暗さを感じるのではと考えキッチンのカップボードの上に乗せるだけの
間接照明を設置しました。
造作の費用はかからない間接照明の「ほっこり灯り」です。

こちらはアトリエのあるお住まいです。玄関ドアを開けると見えるのがこの空間。
造作のガラスの格子窓で開放感がありさらに奥のアトリエの灯りに
いやされる「ほっこり灯り」の一例です。

玄関に人気のニッチ。
こちらは横長のスクエア型のニッチに面照明の間接照明ではなく小さなダウンライトで
漆喰の陰影を照らした「メリハリ灯り」です。
光をあてることでできる影がメリハリのポイントになります。

ユニバーサルダウンライトといって照射位置を変えられる照明で
スタイリッシュでモダンな雰囲気を作り出してくれる「メリハリ灯り」

こちらは当社金ヶ崎の常設展示場のキッチンです。
最近人気のライン照明。細くラインのような照明ですが、
照度が取れ効率のいい照明です。また間接照明のお悩みのホコリがのらない。などの
メリットもあり板張り天井とに組み合わせで最近の注目株「メリハリ灯り」です。

こちらはレトロなインテリアのキッチンカウンター。
ガラス照明のデザインが天井に影を作り出しています。ダイニングテーブルを置かない
スタイルで毎日この「ほっこり灯り」でご家族でお食事していることと思います。

こちらは盛岡市材木町にある素敵なレストラン。
夜の窓越しの照明がミラー効果で倍に。お料理も空間もまさにほっこりでした。

こちらは最近じわじわ人気の「アクア」というブラケット照明です。
ガラスのゆらゆらが壁面に映し出される独特な世界観。
スペイン漆喰との相性も抜群です。3現場連続でご採用頂いています。

こちらはお施主様のご支給照明。楽しいですね!
シーリングでご自身で交換可能なものはご支給いただくことも可能です。
まさに「ほっこり灯り」です。
6. 人が幸せになるために『光』ができること
照明(光)について語ると奥行も巾もあり過ぎてきりがないですね。
しかしながら究極の光といえばそれはお陽様、太陽です。
太陽は私たちが生きて行くうえで欠かすことのできない光と熱を届けてくれます。

これまたカンボジア旅行のアンコールワットの朝日です。
この景色を見るために世界中から多くの人が訪れる聖地です。
朝日で目覚め身体が覚醒し日中の自然光で活動する。夜は安心できる家という
住処で眠りにつく。健康な暮らしに欠かせない存在が光、太陽光。
その生体リズムに沿ったライフスタイルが難しい場合に今ではそれをサポートする光を
照明から得て、コントロールが容易に出来る時代でもあります。
しかしながら、やはり最高の灯りはと考えた時に思い浮かぶのは…

人間が作り出したといわれる「火」。そして「ゆらぎ」ではないかと思います。
炎のゆらぎが照らす空間、このゆらぎを見ているとざわついた心も
穏やかになり時を忘れずっと眺めていることが出来ます。
そしてこれぞ最高に贅沢な灯りではないかと。
『照明計画』とは照明器具を選ぶことだけではありません。
生活シーンに適した心地よい光を『照明計画』によって実現させることができます。
暮らしをイメージし間取りを考えるように、家づくりの『照明計画』を多角的に
捉えそれを活かすとこが出来れば、さらに快適な暮らしを実現することが
出来ると考えます。
その際に我々インテリアコーディネーターがお役に立てればと思っています。
[…] 綴っていますので、ぜひご覧ください!⇒ ★ […]