岩手でUA値0.2に達するための、窓の断熱要素ランキング

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家づくりにおいて窓の断熱を考えるとき、

 アルミにするか樹脂にするか

という素材選びの言葉を見かけますが、断熱で考えるならもはや議論の余地のない前提でしかないかもしれません。

寒い岩手の冬を本当に心地いい、UA値0.2を切るような超高性能な住まいにしようと思えば、ただ最高級のフレームを選ぶだけでは、理想の暖かさにするにはー決定的な何かーが足りないのです。

私たちは30年以上前から、理想の窓を求めて試行錯誤を繰り返してきました。アメリカ・カナダ製の木製トリプルサッシに始まり、15年前にはドイツからの直輸入を開始。11年前からは、それを標準仕様として使い続けています。

長年「窓」と向き合い、現場で格闘し続けてきたからこそ断言できる、カタログの数値を眺めているだけでは決して見えてこない断熱の本質について、今日は窓の持つ性能要素を分解しながら深掘りしてみたいと思います。

窓の断熱性能を決める5つの要素ランキング

窓が大切とは誰もが言いますが、具体的にどこにコストをかけ、何をチェックすべきでしょうか。私たちが考える重要度順にランキングとしてお伝えします。

№1.ガラス仕様(Ug値):岩手なら迷わずトリプルガラス一択。
№2.フレーム構造(Uf値):アルミ樹脂複合ではなく「オール樹脂」であるべき理由。
№3.取付部の熱損失(ψinstall):ここが大共ホームの独自性。
    断熱を最重視する私たちが窓をどう扱い施工するか
№4.ガラス縁の処理(ψg):意外と見落とされるガラススペーサーは結露対策に有効。
№5. 開閉方式と気密性:引き違い窓を減らし、気密性の高い「ドレーキップ窓」を推奨。

以下に、なぜそうなのかについて解説します。

1. ガラス仕様(Ug値):岩手なら迷わずトリプルガラス一択

窓の面積の約80%を占めるのはガラスです。この部分の断熱性能(Ug値)が低いままでは、他のどんな要素を頑張っても窓全体の性能は上がりません。岩手のような極寒地では、ペアガラス(2枚)ではなく、トリプルガラス(3枚)が必須です。

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なぜ「トリプル」でなければならないのか

ペアガラスの場合、中空層(ガラスの間の空間)は1つですが、トリプルガラスにすることでこれが2つになり、層は2倍となります。断熱の基本は、動かない空気の層を作ること。この層が2つあることで、室内の熱が外へ逃げるスピードを劇的に遅らせることができます。

さらに、ただガラスを3枚重ねれば良いわけではありません。

Low-E膜の位置と枚数: 特殊な金属膜(Low-E膜)をどこに配置するかで、日射熱を取り入れるか、遮るかが決まります。

封入ガスの種類: 中空層には空気よりも熱を伝えにくいアルゴンガスや、さらに高性能なクリプトンガスを封入します。

※クリプトンガスは国内では高コストなため、コスパは良くないのが現状。

日本にLow-Eガラスもアルゴンガスはまだ無く、アメリカ、カナダからペアLow-Eガラス、トリプルガラスサッシを輸入し、家を建てる方へお勧めし始めたのは30年ほど前、
他社さんは皆揃って、

 Low-ガラスなんて、網走でもないのだから岩手では必要ない!

 トリプルガラスなんて、お金持ちの単なる贅沢品ですよ!

などと言われ、多数決みたいに採用されなかった方もいて、納得させられなかった自分たちを情けなく感じた時期もありましたから。今では普通ですので、ぜひとも採用してしてください。

岩手の冬の夜間、外気温が氷点下10度を下回る際、ペアガラスの室内側表面温度は10度近くまで下がることがありますが、高性能トリプルガラスであれば15度以上をキープできます。この数度の差が、室内側ガラス面で発生するコールドドラフト(冷気)を防ぎ、格段の快適さをもたらします。

2. フレーム構造(Uf値):アルミ樹脂複合ではなくオール樹脂であるべき理由

日本の住宅で長年使われてきたアルミサッシ。その流れを汲むアルミ樹脂複合サッシが今も多く流通してると言いますし、実際の工事現場でも見かけることがあります。UA値0.2を目指す超高性能住宅においては、外側にアルミが露出していること自体が大きなリスクになってしまいます。

アルミは樹脂の1000倍熱を通す

アルミニウムという素材は非常に熱伝導率が高く、樹脂(プラスチック)と比較すると、なんと約1000倍も熱を通しやすい性質を持っています。いくら樹脂との組み合わせで外側がアルミのサッシだとしても、冬の寒さを室内に引き込む巨大なヒートシンクを壁に埋め込んでいるようなものです。

過去に実際にあった話として、準防火地域で樹脂サッシが一斉に使えなくなった時期があります。当時、準防火認定品サッシの選択肢は樹脂複合タイプしかなかったわけですが、実際採用した家がどうだったのか。サッシのひどい結露はもちろん、それだけなら良いのですが、外気温が‐6℃以下だった朝は、結露が凍るという状況まであったほどでした。現在は、準防火でも樹脂を選択できますのでご安心を。

オール樹脂サッシの「マルチチャンバー」構造

私たちが採用しているドイツ製の高性能オール樹脂サッシは、フレームの内部が小さな部屋(チャンバー)に細かく分かれています。

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左:ドイツの樹脂サッシ枠  右:国産樹脂サッシ枠

私の記憶では、2010年以前なら国産で主流のペアガラス樹脂枠は一層構造でした。それ以降、高断熱化しトリプルガラスの樹脂枠が多層化が進むこととなりました。

多層構造の効果: このマルチチャンバーが、フレーム内部での対流を防ぎ、フレーム自体の断熱性能(Uf値)を極限まで高めます。

結露の根絶: アルミが一切露出しないことで、フレーム部分での不快な結露を物理的にシャットアウトします。

もう少し細かく知るなら、下のように書き加えたほうがわかりやすいかもしれません。
もし、反ってこんがらかったとしたらごめんなさい!です。

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チャンバー:ドイツサッシ6層、国産サッシ3層(建具枠5層だけど下部外気接触2層)
ガスケットゴム(ピンク):ドイツ3カ所、国産2カ所
その他:ドイツ鉄芯あり、国産無し
    上下でも小さな層を構成しているドイツサッシの意図など想像してみてください。

3. 取付部の熱損失(ψinstall):窓をどう扱い施工するか

ここが、日本ではほとんど話題にもならず、窓先進国であるドイツでは重視されている最も強調したい、かつ一般のカタログには決して載っていない真実です。どれほど高性能な世界一のサッシを取り寄せても、取り付け方が悪ければその性能は半分も発揮されません。

ψinstall(プサイ・インストール)と壁

専門用語で 取付部熱損失量と呼びます。これは、窓のフレームと壁の境界線から逃げる熱を指します。日本の通常の施工では、サッシのフレームは外壁面の外側に露出した状態で取り付けられます。しかし、外気に触れる面積が大きいほど、そこから熱が逃げていきます。

例えば、私が初めてこの問題に遭遇したのが2012年。

サッシ枠が外壁より出ない内付け施工なのに、まるでサッシ周りに隙間でもあるかのように冷えているのですから、頭が混乱したものです。

窓周囲熱橋対策施工(フレームイン工法)の衝撃

大共ホームが標準としているのは、サッシのフレームまで外張り断熱材で包み隠す窓周囲熱橋対策施工(フレームイン工法)です。

イメージしてみてください。どれほど厚手の高性能ダウンジャケットを着ていても、首元がスカスカなら体温は一気に奪われますよね。窓にとっての首元に断熱材を巻いてあげるのがこの施工になります。

効果: フレームを断熱材の中に埋め込むことで、取付部の熱損失をゼロにし、同時にフレームの断熱性を向上させています。

これは、冷凍庫(-16℃)での比較です。サッシ単体の性能は同レベルですが、施工によりここまで違うのがわかってもらえるでしょうか。

結果:
窓際の表面温度が劇的に改善されます。通常の施工では窓際のフレーム温度が12℃〜14℃まで下がるのに対し、この対策を施すと18℃〜19℃を維持します。これこそが、本当の窓際の暖かさの正体です。

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4. ガラス縁の処理(ψg):意外と見落とされるガラススペーサー

トリプルガラスであっても、ガラスとガラスを繋ぎ止めている「縁(ふち)」の部分に注目してください。ここに使われる部材を「スペーサー」と呼びます。

アルミスペーサーは「結露の導火線」

安価なサッシの多くは、このスペーサーにアルミを使っています。ガラスの中央部は断熱されていても、縁の部分がアルミだと、そこから熱がバイパスされて逃げてしまいます。冬場、窓の四隅だけが結露しているのを見たことはありませんか?それはスペーサーが原因の可能性は高いです。

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これがアルミスペーサー。

 ※準防火認定された樹脂サッシに関して現在もアルミスペーサーになっています。

樹脂スペーサー(ウォームエッジ)の採用

私たちはここにも、熱を通しにくい脂製スペーサー(ウォームエッジ)を標準採用しています。

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これが樹脂スペーサー。
一般に黒みがかっているので先ほどのアルミスペーサーと見比べて見てください。

線熱貫流率(ψg)の改善: わずか数ミリの部材ですが、ここを樹脂にするだけでガラス縁の表面温度が数度上がり、カビの原因となる結露を抑制します。

ヨーロッパでは、もっと断熱性能の高いスイススペーサー、スーパースペーサーなどが存在しています。

5. 開閉方式と気密性:引き違い窓を減らしドレーキップ窓を

最後に、窓の「形」と「閉まり方」についてです。日本で一般的な「引き違い窓」は、実は断熱・気密の観点からは非常に不利な構造をしています。

「隙間」との戦い

引き違い窓は、2枚の障子がスライドするために、どうしても上下左右にわずかな隙間が必要です。どんなに高性能なパッキンを使っても、風が吹けばその隙間から冷気が侵入(漏気)し、暖房効率を下げてしまいます。

ドレーキップ(内倒し内開き)窓の優位性

私たちが推奨しているのは、ヨーロッパ、特にサッシ先進国ドイツで主流のドレーキップ窓です。

マルチポイントロック: ハンドルを回すと、窓の周囲にある複数の金具がフレームにガッチリと食い込み、ゴムパッキンを強力に押し潰します。

冷蔵庫のような気密性: イメージとしては冷蔵庫のドアです。面で密着するため、引き違い窓のような隙間風が一切入りません。

掃除のしやすさ: 内側に開くため、岩手の雪の日でも室内から安全にガラスを拭くことができます。

【まとめ】UA値0.2の真の価値を生むために

今の時代、計算上のUA値を良くすることは、厚い断熱材を入れれば誰でも可能です。しかし、スペック表の数値を眺めているだけでは、岩手の冬を本当に快適にする真の断熱には辿り着けません。

大切なのは、カタログスペックに踊らされず、窓という製品を

  どう扱い、どう施工し、どう熱橋を塞ぐか

という、現場の品質までしっかりと見ることです。

30年前にアメリカとカナダの木製サッシから始まった私たちの探求は、いま、ドイツの最新技術と、この熱の隙間を許さない精密な施工の融合にたどり着きました。

「素材」は当然の前提。
「施工(窓周囲熱橋対策施工)」こそが決定打。

この積み重ねこそが、UA値0.2という数字に、本当の窓際の暖かさという魂を吹き込むのです。大共ホームの展示場では、この理論を実際に体感できる仕掛けを用意しています。外気温が低い暖房期こそ、私たちの窓際の温度を確かめにいらしてください。

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