今日は、
えっ?
と思うかもしれない結論から言います。
日本の住宅は「窓そのもの」は欧米に近づいています。
しかし「窓の取り付け性能」はまだ20〜30年遅れています。
その差を生んでいるのが
ψinstall(プサイインストール)
という考え方です。
これは
窓を取り付けた部分に生まれる熱橋(ヒートブリッジ)を評価する指標です。
欧州特にドイツでは1990年代から
北米では最近になって
この評価が行われていたようです。
しかし日本では
まだ制度として評価されていません。
ψinstallとは何か
ここでよく取り上げていますが、まず言葉を整理します。
住宅の窓性能は
本来、大きくは次の3つで決まります。
① ガラス性能
② サッシ枠性能
③ 取付部性能
日本では長い間
①と②だけが評価対象
でした。
つまり
-
Uw(窓の熱貫流率)
だけが評価されてきました。
しかし欧州では
それだけでは足りない
と考えます。
なぜなら
窓は
取り付けた瞬間に性能が変わる
からです。
そこで評価されるのが
ψinstall
です。
これは
窓周囲の線熱貫流率(線熱橋)
を意味します。
つまり
窓枠と壁の接合部から
どれだけ熱が逃げるか。
これを評価する指標です。
欧州では30年前から評価されている
AIで調べてみると、
欧州では次のように
段階的に制度化されてきました。

1995年
EN ISO 10211
熱橋計算の規格誕生
2000年
ISO10077
窓性能計算に導入
2006年
ISO10077改訂
ψinstallが計算に組み込まれる
2017年
ISO10077最新版
欧州全体で実務標準化
つまり欧州では
窓は「取り付けて初めて性能が決まる」
という考え方が
30年前から存在していたのです。
日本の窓性能評価の現状
日本では現在
省エネ基準で評価されるのは
Uw(窓の熱貫流率)
です。

これは
-
ガラス(ガラススペーサー含む)
-
サッシ
の性能です。
しかし
窓の取り付け部分
は評価対象ではありません。
つまり
窓周囲で発生する
-
熱橋
-
表面温度低下
-
結露リスク
は
日本の制度上では評価されないのです。
北米も最近まで同じだった
実はアメリカも
長い間同じ状況だったのです。
北米では
NFRC
などの基準で
窓本体の性能が
中心でした。
しかし最近
ASHRAE 90.1
などの基準で
線熱橋評価が
導入され始めていたのです。
つまり
欧州
→ 30年前から
北米
→ 最近導入
日本
→ 未評価
という状態です。
ドイツの窓設計に見るもの
今日、工場で壁パネルに据えられたドイツの6連窓を眺めながら
あることを思い出しました。

なぜ欧州では
窓を一体構造
にするのか。
理由は単純です。
窓がバラバラになり窓が増えるほど
窓周囲の熱橋が増える
からです。
例えば
単体で、3枚窓を並べる場合
窓周囲は、12辺
になります。
しかし
一体窓なら
4辺
で済みます。
つまり
ψinstallが小さくなる
のです。
写真のように6窓一体であれば、
それでも4辺です。
これは欧州では
当たり前の設計思想です。
日本ではまだ議論が少ない理由
なぜ日本では
この議論が少ない・進んでいないのでしょうか。
理由はいくつかあります。
① 気候の誤解
「日本は欧州ほど寒くない」
② 制度設計
窓取付部が評価対象外
③ 住宅文化
開口部である窓を性能より意匠で考える
しかし実際には
窓周囲の熱橋は
-
冬の体感温度
-
結露
-
カビ
に大きく影響します。
私たちの30年
私は30年前から
アメリカの住宅
欧米の住宅
を見てきました。
Low-Eガラスを
輸入し始めた頃
同業者から
こう言われました。
「ここは網走じゃない」
トリプルガラスを
輸入した時には
「贅沢品だ」
と言われました。
しかし今
Low-Eガラスも、トリプルガラスも、
日本でも珍しいものではありません。
日本の住宅常識は
ゆっくり変わります。
大共ホームの試み
現在
これまで私たちは
窓周囲熱橋対策
の効果検証をしてきました。
例えば
-
窓周囲の断熱被覆
-
外断熱の連続化
-
サッシ枠の熱橋低減
などです。
そして
ψinstall
を数値として、確認できないか
を試みています。
ただ
実証には
-
計算方法
-
実際の試験
-
実験と計算の整合
などの作業が必要になります。
おそらく、1〜2年はかかるでしょう。
それは意味のある挑戦なのか
正直に言うと、時々考えます。
この研究は
意味があるのだろうか。
しかし
欧州は、30年前から
これをやっています。
つまり
私たちがやっていることは
特別な研究ではありません。
ただ
日本ではまだ始まっていないだけ
なのです。
日本の住宅性能の未来
Low-Eガラスも、トリプルガラスも
最初は
「必要ない」
と言われたのです。
しかし今
それは日本では当たり前になりました。
おそらく次に当たり前になるのは
窓周囲の熱橋対策
です。
私たちのミッション
大共ホームのミッションには
こう書いてあります。
「私たちは日本の住宅性能が欧米から20年遅れていることを知っています」
だからこそ
その差を伝え、知ってもらい、変えていく。
それが
私たちの使命です、と。
ドイツの窓を見ながら、今日改めて思い起したのです。
窓は、ただの開口部ではありません。
家の性能を決める要所です。
そして今、日本は
すでにドイツから30年遅れなのですから
日本でもψinstallを考える時代が
もう始まってもよいのかもしれません。













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