岩手の山菜

夕方、外出先から事務所に戻るとスタッフ用玄関にダンボールが二つ。
見れば、ウド、そして大好きなウルイが。
スタッフに確認したら、「みんなで食べて」と
S大工さんが持ってきてくれたのだとか。

そして、事務所内のテーブルにはまたまたウルイの皿盛り。
これはお隣りのばあちゃんが持ってきてくれたらしい。
キムチとウルイの和えたものだったが、
ちょいつまんでみたら、これがなんともうまい!

うう、幸せだあ♪

初めての食感に、ウルイってキムチと合うんだあ、と感激。
子どもの頃から、ウルイは味噌汁が一番うまいと思ってきたのに・・・
今日から、キムチ和えは上位ランキング入りで決まり^^

山菜の中ではウルイって大好きなんですけどねえ。
だけど子どもの頃、山菜採りではウルイはあまり採らなかった。
ワラビ採りしてるとそこら中にあったのに、
母親はウルイには目もくれず、ワラビだけをせっせと取っていた。

自分は大好きなウルイを採るのだが、
母親からは
そんなに採らなくていい。
食べる分だけでいいんだから。

と言われ、寂しい気分になったのを憶えている。
要はワラビはお金になるが、ウルイはお金にならない。
そういうことだった。

朝、3時に出かけ4時前、闇が白んできた頃から
薄暗い中ワラビを採りはじめ、7時過ぎには家に戻る。
戻るとすぐ、選定して藁で束ねては茎を切り揃え、
終わるとすぐさま公民館前に持っていく。

そこには買い取り業者のおじさんがきていて、
いつも部落の人たちが持ち込んだワラビを天秤棒で測っては
キロいくらという値段で買い取ってくれるのだ。

キロいくらだったかは憶えてないが、
おとなが背負い籠一つに風呂敷一つ積み上げた量で、
4~5千円だったのではないだろうか。
爺さんが子ども用に編んでくれた自分の背負い籠で
たしか・・・2千円ちょっとだったと思うので・・・

子どもごころに、こんなに貰えるんなら
お年玉2年分を一日で稼げる。
こんなんなら毎日でも山菜採りに行きたい!
そう思ったが叶うはずもなく、たまの小遣い稼ぎ止まり。

中学生以降、もう山菜採りなどしたことがない。
転げたら一巻の終わりと必死で山肌に這いつくばるようにして
ワラビを採ったあのしくさ場の急斜面。
いくつも穴が空き、自転車のチューブを貼っては長靴をツギハギだらけに
されたあの切り株だらけのしくさ場。

足を踏み外したり何メートル斜面を滑り落ちたり、
背負い籠の重みで谷底につんのめり落ちそうになったり・・・
傷ついたり死ぬ思いをしたり、今では夢だったような感覚。

自分の子どもたちに、今ならあんなこと絶対させない。
というか、そんな機会もなかったのだが・・・

生活のため、お金になるワラビが採れるところは、
そんな場所にしかなかった。
その時代、その場所では生活していく当たり前なこと。
ただそれだけだったのだ。

今、あの頃とは生活する時代も場所も変わった。
あの頃を懐かしいと思う反面、
あの急斜面を普通なことと思えなくなった寂しい自分がいる。

・・・・ ちょっと複雑。

でも今日は、うまいおかずにありつけやした^^
S大工さん、お隣りのばあちゃん、ありがとう。

岩手の注文住宅なら。

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