外が31℃を超えているのに、室内の壁を触ったら24.8℃だった。
エアコンを使っていない。換気だけ。
「断熱性能が高い家は冬に暖かい」というのは、もう多くの方にご存知のことだと思います。でも「夏は逆に暑かったりしないの?」という質問をよくいただきます。外の熱が入ってきにくい家、室内がじわじわ温まらない家これが夏の断熱の本質なのですが、どうも実感しにくいんですよね。
私は、住宅展示場でずっと温度湿度データを取り続けています。
今日は岩手の6月としては珍しいくらいの暑さで、外気温は昼前に31.3℃まで上がりました。湿度30%。数字だけ見ると、かなり厳しいコンディションです。
そんな状況でも、室内は25.2℃。内壁面を非接触温度計で測ったら、24.8℃でした。
「数字を見てもよくわからない」という方のために、少し補足します。
部屋の涼しさって、空気の温度だけで決まらないんです。壁・床・天井の表面温度が高いと、そこから輻射熱が出て「なんか暑い」と感じます。逆に、表面温度が低ければ、空気温度が同じでも体感的には涼しく感じるのです。
これを体感温度(MRT:平均放射温度)と言いますが、難しい話は置いておいて。
壁を触ってひんやりする家は、夏に快適。これが実感です。
今日のデータで言うと、外気31.3℃に対して内壁面24.8℃。約6℃以上の差が断熱層でカットされていたことになります。
もう少し温度推移グラフを見てみると、面白いことがわかります。
昨夜18時台から24時間分の記録を観ると、深夜3時〜4時台に外気が15℃台まで冷え込みました。岩手の6月ならではの夜の冷え込みです。でも室内(ピンクの線)はほぼ25℃前後をキープしたまま。
そして今朝から外気音が急上昇して、10時過ぎには30℃を超えた。
それでも室内はじわじわとしか上がらない。
これが高断熱・高気密住宅の「熱容量」の話につながります。外の温度変化を、家全体で受け止めて、ゆっくりと変化させる。急激な温度変化が入ってこない。
夕方17時40分に測った値では、室温26.5℃、内壁面26.0℃でした。外が31℃を超えていた時間帯の蓄熱がじわじわ伝わってきてはいますが、それでも室内は26℃台。エアコンなしで、です。
冬の「暖かさ」とは少し違う話ですが、夏の「涼しさ」も断熱で作れる。
今日はそれを改めて数字で確認できた一日でした。
ここで、少し踏み込んだ話をしますね。
断熱のことをある程度知っている方ほど、こういうイメージを持ちがちです。「外の熱が、外壁→断熱材→室内へと順番に伝わってくる」と。
それ自体は間違っていないんですが、今日のデータを見るとちょっと面白いことに気づきます。
昼間のピーク時、室温は25.2℃。でも内壁面は24.8℃でした。
室温より、壁の表面の方が低い。
これ、逆じゃないか?と思いませんか。
外から熱が入ってくるなら、壁の表面が先に温まって、そのあと室温が上がる。そういう順番をイメージする方が多いです。でも実際には、壁の内部がまだ熱を吸収している「途中」なんですね。
壁の中には断熱材があって、その外側にはネオマフォームや外装材がある。外気の熱はまずそこに当たって、少しずつじわじわと内側へ移動しようとする。でもその移動が遅い。壁全体が「熱の移動を遅らせるバッファ」として機能しているので、室内側の壁面温度はまだ室温に追いついていない状態になります。
夕方17時40分の計測では、室温26.5℃、内壁面26.0℃。昼間より差は縮まっていますが、それでも壁の方が低い。外が一番熱かった時間帯から数時間経っても、まだ壁が熱を食い止めていることがわかると思います。
「断熱材が厚いほど、この遅延が長くなる」と理解していただくと、なんとなくイメージしやすいかもしれません。薄いラップより、厚いタオルの方が氷が溶けにくいのと、ちょっと似た話です。
一方向に順番に影響を受けるのではなく、壁全体が「熱の緩衝地帯」になっている。
そう考えると、断熱の意味がまた少し違って見えてくるのではないでしょうか。
それから、温度とは違う話ですが、もうひとつ共有したい話があります。
2026年6月15日付けの北海道住宅新聞に、こんな見出しが出ていました。
「住設建材の安定供給、徐々に改善か」
中東情勢の悪化による、いわゆる「ナフサショック」のその後の動向についての記事です。
ナフサショック以降続く断熱材・塗料などの価格高騰と納入遅延。断熱材が約40%増、塗料が80%増という状況が業界を直撃していましたが、記事によると供給面では少しずつ改善の兆しが見えてきているとのことでした。
ただ、正直にいうと「改善か」という見出しの「か」が大事です。まだ断定できる状況ではない。石油由来の原材料に依存している住設建材は、中東の情勢次第でいつでも揺り戻しが起きうる構造なので、楽観はできませんけどね。
私たちとしては、引き続き資材調達の状況をウォッチしながら、お客さまへの影響を最小限にできるよう動いています。気になる方はご相談の際にお気軽に聞いてください。
今日のような夏日に、展示場に足を運んでいただくと
「あ、涼しいな」が体でわかりますよ。
数字ではなく、足の裏の感触で、壁に手を当てた瞬間に。
ぜひ一度体験してみてください。

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