朝6時。せっかく開けたカーテンを、もう一度閉める。夏のこの時期、リビングでそんな朝を迎えているのは、私だけでしょうか。「南に軒を出したから夏は大丈夫」と聞いて建てた家なのに、なぜか朝と夕方が暑い。実はそれ、家の欠陥ではありません。太陽の”角度”の問題です。
先日、視察した新潟のパッシブタウンの写真を参考にお伝えします。
なぜ朝6時の日差しは庇で防げないの?
日本の家づくりでは昔から「夏の日射対策=南面の軒・庇」と語られてきました。それ自体は正しいです。ただ、南面”だけ”では足りない。
盛岡(北緯39.7度)の夏至の頃、太陽の動きを追ってみます。
- 日の出は4時すぎ。真東よりかなり北寄りから昇ります
- 朝6時の太陽は高度約19度。ほぼ真横から東の窓を直撃
- お昼(南中)には高度約74度まで駆け上がる
高度19度というのは、地面すれすれの角度です。奥行き90cmの立派な庇があっても、影が落ちるのは庇の下わずか30cmほど。窓のほとんどはむき出しのまま。朝の日差しが部屋の奥まで届いてしまうのは、こういう理屈です。
夕方の西日も同じ。室温は同じく一定温度に保たれていても、体感的には陽ざしが一番こたえます。
南面の庇はどのくらい出せば効くの?
逆に、お昼の高度74度の日差しに対しては、庇がしっかり効きます。tan74度は約3.4。つまり庇の出の3.4倍の影が壁に落ちる計算です。
窓の高さ2mなら、出65〜90cmほどの庇で夏の日中の直射はおおむねカットできます。昔から言われる「窓の高さ×0.3」という目安の根拠が、まさにこの角度ですね。
そして冬。盛岡の冬至の太陽は高度27度しかありませんから、同じ庇でも日差しは部屋の奥までたっぷり入ります。南の庇は「夏を切って、冬を通す」季節のフィルター。暖房費のかさむ岩手では、冬の日射というタダの暖房を殺さないことがとても大切です。

東西の窓には何が有効?—答えは「窓の外側」
では東西の低い日差しはどう防ぐか。ポイントは、ガラスの内側か外側かです。
- 室内カーテンやブラインド:日射カットは実質4〜5割程度にとどまる傾向
- 外付けスクリーンや外付けブラインド:8〜9割カットが期待できる
カーテンが効きにくいのは、ガラスを通過した時点で熱が室内に入ってしまい、カーテン自体が温まって放熱するから。窓の外側で止められるかどうかで、同じ「布1枚」でも効果が倍近く変わります。
冷房負荷への寄与度で言うと、立地にもよりますが、
東西窓の外部遮蔽のほうが南面の庇より削減効果が大きいケースも多い
というのが私の実感です。なのに日本の住宅設計では「南面の軒」ばかりが語られ、東西の窓は放置されがち。コストパフォーマンスを考えるなら、ここは検討する価値が十分あるのではと思っています。
上の写真は、視察先で見かけた日よけの実例です。よく見ると、高い日差しには水平の庇やルーバー、横から差す日差しには縦格子や可動スクリーンと、方角によって遮り方の”向き”を変えているのがわかります。
外付けスクリーンとドレーキップ窓、相性はいいの?
「外にスクリーンを下ろしたら、窓が開けられなくなるのでは?」
そう思いますよね。
ここで相性がいいのが、欧州で主流のドレーキップ窓です。ハンドル操作ひとつで、窓の上部だけを内側に倒して換気できる「内倒し」モードがあり、外付けスクリーンを下ろしたまま換気ができます。日差しは外で遮りつつ、風だけ取り込む。夏の朝にちょうどいい使い方です。
実際の動きは、住宅展示場で撮影したこちらの動画をご覧ください。
軒先の出や庇では解消できない陽射しがある。
じぶん家の今なら、朝6時以降と日没前の横から入る陽射しがきつい。これはカーテンやスクリーンで体感的には凌げるけど、理想は外での日除け。… pic.twitter.com/TpVHiiFqCH
— 親方 (@ooyakata11) July 22, 2026
まとめ:方角ごとに「遮り方」を変えるのが本流
- 南の窓:出65〜90cm程度の庇や軒で、夏を切って冬を通す
- 東西の窓:庇はほぼ効かないので、窓の外側で遮る(外付けスクリーン・すだれ等)
- 換気との両立には、内倒しできるドレーキップ窓が好相性
理屈はここまで。
あとは、スクリーン越しの光のやわらかさや、内倒し換気の風の抜け方を、実物で確かめてもらうのが早いと思います。滝沢市の住宅展示場では、外付けスクリーンとドレーキップ窓の組み合わせを実際に操作していただけますので、お気軽にお越しください。





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