昨日は岩手県盛岡市、事務所から5分ほどの現場にて一日フレーミング。
ご存じの通り、カンカン照りの炎天下のなかでの作業でした。
そこで、展示場の温度を時系列と一緒に、動画に入れ込んでみたのが昨日投稿したX動画です。
今日は盛岡市内で一日フレーミング。事務所から5分の現場。
7 : 50、23.2℃・湿度80%
15 : 10、31.9℃・湿度57%
ただしこれは日陰の温度。実際は朝から夕方まで、直射と照り返しの中にいる。合板の上は、この数字よりずっと熱い。16 : 00、一日フレーミング終了。… pic.twitter.com/8LqozOSI47
— 親方|岩手の高断熱住宅 (@ooyakata11) August 6, 2026
最高気温32℃まで上昇。
そして今日、フレーミングを終えた現場で同じような外気温状況で、屋根温度はどのくらいなのか、気になりチェックしてみました。
今日の11時30分、施工済みのルーフィング面をサーモカメラで撮ったら、64.3℃。
同じ現場の、日陰の外気温は32.9℃。
30℃以上の差です。屋根の上だけ、まったく別世界だということ。
うちのフレーミングスタッフたちも、今日の屋根屋さんも、炎天下の日は、上からは60℃になる日射を、下からは60℃の輻射熱を、浴びている過酷な環境での作業だということがわかります。
この環境の中で働いてくれる職人さんたちにはほんと頭が下がります。
なぜ屋根だけ64.3℃まで上がるのか?
理由はシンプルで、夏の太陽がほぼ真上にあるからです。
盛岡市の緯度は北緯およそ39.7度。夏至前後の南中時、太陽高度は70度を超えます。ほぼ頭上。
つまり、夏の日射を一番まともに浴びるのは、南の壁ではなく屋根なんです。
そこにアスファルト系のルーフィングという、灰色の材料が敷かれている。日射を吸って、熱を溜めて、表面温度が跳ね上がる。64.3℃という数字は、特別な条件で撮ったものではありません。おそらく今日の午後2時以降なら70℃前後になっていたかもしれませんね。60℃という温度は、夏の晴天日なら、ごく普通に出る値です。
そして大事なのはここから。
室内への熱の侵入量は、温度差に比例して大きくなります。外気32.9℃に対して屋根面64.3℃ということは、屋根の下にある断熱層は、壁の断熱層よりもずっと厳しい温度差を受け止めている、ということ。
夏の家の勝負どころが屋根にある、というのはそういう意味です。
平屋は、この熱をどれだけ多く受けるのか?
ここ数年、岩手でも平屋のご相談が増えました。土地に余裕を持たせやすい、階段がない、年を重ねてからの暮らしが読みやすい。
理由はいろいろですが、選ぶ理由としてはとても納得できるものばかりです。
ただ、夏の熱という一点だけで見ると、平屋には構造上の課題があります。
同じ延床面積なら、平屋の屋根面積は総2階建てのおよそ2倍になる。
30坪の家を2階建てで建てれば屋根の投影面積はおよそ15坪分。平屋なら30坪分。日射を受ける面が、そのまま2倍になります。
しかも平屋には、もうひとつ。
2階建てなら、1階の上には2階の床がある。日射熱は2階でいったん受け止められ、生活の中心である1階に届くまでにワンクッション入ります。平屋にはそれがない。屋根の下が、すぐ居室です。
だから平屋では、こういう症状が出やすくなります。
・昼過ぎから夕方にかけて、天井付近だけモワッと暑くなる
・エアコンを入れているのに、部屋の上下で温度差が抜けない
・日が落ちてしばらく経っても、室温が下がりきらない
最後のひとつは、屋根に溜まった熱が夜になって室内側へ放出されているサインである場合があります。
誤解のないように書いておくと、平屋が夏に弱い家だ、という話ではありません。屋根の設計を、2階建てと同じ感覚でやると夏は厳しかもしれないという話です。
「なんとなく2階が暑い」を、うまく言葉にできない
打ち合わせの場で、こういう言い方をされる方がとても多いです。
「前の家、夏の2階がとにかく暑くて。でも、なんでかは分からないんですけど」
分からなくて当然だと思います。屋根の中は、ほとんどの方は二度と見ることはないのではないでしょうか。
壁の断熱材の厚さは、カタログにも仕様書にも書いてある。窓の性能も比較しやすい。でも屋根の断熱厚と屋根通気の取り方を、建てる前に説明された記憶がある方は、そんなに多くないのではないかと。
正直にいうと、私たちも昔は壁の断熱の話はしても、屋根の対策を後回しにしていた時期があります。窓と壁の話で打ち合わせの時間が埋まってしまう。屋根はの断熱は何センチで通り過ぎてしまう。
でも実際に温度を測るようになって、順番が変わりました。
夏に関していえば、屋根が主役です。
屋根から入る熱を止める、3つの層
私たちが屋根で見ているのは、大きく3つです。
1. 棟換気 ― 熱を溜めずに逃がす
外壁通気層と軒先から入った空気を棟から抜く。64.3℃まで上がった熱を、断熱材に届く前に上へ流してしまう考え方です。
平屋のように屋根面積が大きい家ほど、屋根裏の体積が大きくなります。入口と出口の経路をきちんと確保できているかどうかで、効き方がかなり変わってきます。
2. 断熱層の厚さ ― 温度差に見合う厚みを持たせる
壁と屋根では、受けている温度差そのものが違います。壁基準の厚みをそのまま屋根に持ってくると、計算上は全体として足りていたとしても、夏の体感では物足りなくなるはずです。
3. 気密層 ― 熱と一緒に動く空気を止める
断熱材があっても、天井裏へ室内空気の通り道が残っていれば、そこを熱気が動きます。特に平屋は屋根と居室が近いぶん、この抜けが体感に直結しやすいわけです。
そしてもうひとつ、忘れがちなのが、冬です。
屋根面積が大きいということは、夏に熱が入りやすいだけでなく、冬は熱が逃げやすいということでもあります。岩手の冬を考えれば、屋根の断熱は夏冬どちらにとっても投資対効果の高い場所だと、私たちは考えています。
実際、どこまで下がるのか
参考までに、現場測定の20分後、滝沢にある当社モデルハウスの実測値を。
東面の壁で計測したデータですが、外気33.7℃・湿度57%の環境で、壁体内を外側から順に、32.5℃ → 31.1℃ → 26.0℃ → 24.5℃と下がり、室内は24.2℃・湿度59%でした。
外と室内で、およそ9.5℃の差。
これは屋根ではなく壁の断面なので、そのまま屋根の性能として読まないでください。ただ、「外の熱がどこで、どれくらい落ちていくのか」という現象そのものは、屋根でも同じ理屈で起きています。
数字を並べるより、実際に手を当ててもらうほうが早いのですけどね。
屋根は、完成したら見えなくなる
昨日フレーミングを終えて、今日にはルーフィングまで進んだ現場。この状態を見られるのは、ほんの一日です。
私たちは構造パネルを自社工場で先につくり、建て方を一日で終える工法を30年以上続けています。理由のひとつは、屋根を早く閉じるため。岩手の夏は、晴れれば64℃の屋根になり、雨が降れば構造材が濡れる。屋根を開けている時間は短いほどいいからです。
そして、閉じたあとの中身は写真と記録でしか残りません。だから施工中の記録を残す体制も整えています。
家の性能は、スペック表を眺めるより、夏の昼間に部屋に立ってみるほうがずっと早く分かります。
滝沢のモデルハウスは、今日も外33.7℃・室内24.2℃で動いています。

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