20年以上前になるでしょうか。当社が室内仕上げをビニールクロスから塗り壁に変えたのは。
きっかけは冬の過乾燥で、お子さんたちが粘膜をやられて鼻血が出たとかの話を耳にした時からです。
当初は珪藻土系のものでしたが、その後探し続けて行き着いたのが現在採用しているスペイン漆喰になります。
漆喰を採用することでいろんなメリットがありますが、今日はそのなかのひとつ「蓄熱性」のみに焦点を絞ってお伝えします。
正直、蓄熱性があるのは感覚的にわかっていても、目に見えるのものでもなく、生活している中で実感できることも少ないのが現実です。ですが、静かに、人知れず私たちの生活を下支えしてくれているってことを、知って貰えたらうれしいかな。
ここからはAIディープリサーチがまとめてくれたレポートを元に作成したスライドを紹介しながら進めます。
当社は現在、内部漆喰仕上げの厚さは3mmほどです。
その厚みを5mmにすると、漆喰の蓄熱による省エネ性は2倍以上になるというのです。それは妥当な手段だと思います。
当社には以前、「+ECOシリーズ」というものがありました。それは、断熱性能を基本として、さらに光熱費を削減する省エネ性に寄与するアイテムたちをまとめたものでした。それを今、改めて拾い上げてみる必要性があるのではないか、わたしたちは今、そう感じ始めています。
そこで今日は、+ECOシリーズの候補のその一つである漆喰の蓄熱性能について、私たちが見落としていたものも含め、改めてまとめてみなければと考えた次第です。
「漆喰=冷たい・寒そう」は、もう古い
岩手で漆喰の話をすると、こんな反応が返ってくることがあります。
「土壁みたいで、冬は寒いんじゃない?」 「お寺や蔵のイメージで、住宅には合わなそう」
正直、わかります。私たちも以前はそう思いながらも、冬の過乾燥対策のための調湿を目的としてましたから。 でも、漆喰には「蓄熱・蓄冷効果」という、家全体を魔法瓶のように包み込む隠れた力を過小評価していたように思います。意匠性や調湿性で選ばれることが多い素材ですが、実はそれだけじゃない。環境制御の領域まで踏み込める素材なんですね。
ここからが本題。なぜ岩手の家づくりで漆喰の「省エネ性能」に注目しなければならないのか、データを交えて解説します。
なぜ岩手の住宅に「漆喰」を選んだのか?〜熱容量という壁の力〜
漆喰の本当の強みは、熱をたっぷり蓄える性質(高い容積比熱)にあります。
例えば、岩手県滝沢市にある当社住宅展示場の2025年12月4日朝8時の温度を観てください。
外気温 -2.6℃ 室温 18.8℃
外周壁の室内壁表面温度 19.3℃ 0.5℃も高い のです。
断熱壁が外側から順に冷やされて、最終に室温を下げるはずなのに、室温よりなぜか壁の表面温度が高いって不思議だと思いませんか?
温度推移でみると、
外気温が低下し、壁裏温度も室温も下がってるのに、漆喰壁の表面温度は温度を下げまいと頑張ってくれているのがわかります。
イメージとしては、壁そのものが大容量の「サーマルバッテリー(熱の電池)」になる感じ。日中に窓から入る日差しや、暖房から出た熱を壁の内部にためこんで、夜になって外が冷え込んでも、穏やかにじわじわと放出してくれている。 しっくい壁が暖房の働きをアシストしてくれている、と言い換えてもいいかもしれません。

岩手の冬は、放射冷却で朝方外壁面温度はマイナス10℃以下まで冷え込むことは珍しくありません。「放射冷却+外壁面温度」でこのブログ内検索していただければわかります。「外気温低下の影響を軽減し、室温との間で室温低下させないよう頑張ってくれている」この機能が、暮らしの快適さを左右します。 これが、漆喰の蓄熱なんです。
暖かさの鍵は「厚み」にあり。薄塗りの2倍以上の蓄熱性
ここが私が新たに認識したいちばん大事なポイントです。
日本の住宅で一般的に使われる漆喰は、意匠仕上げとしての2〜3mmの薄塗り。当社もご多分にもれず、3mmほどの厚みです。これだと、見た目はきれいでも、蓄熱性能はすぐに飽和してしまうとのこと。熱容量で言うと2.8〜4.2 kJ/(㎡・K)ほど。
ところが、スペイン漆喰などの西洋漆喰を5mmで厚塗りにすると、熱容量は一気に7.0 kJ/(㎡・K)へ。薄塗りの2倍以上に跳ね上がるのだそうです。

「たった2mmの違い?」と思われるかもしれませんが、これは性能上の境界線です。 意匠としての仕上げ材から、動的な断熱材(環境制御ツール)へ。壁の役割そのものが変わる、と言ったほうが正確かもしれませんね。

夏も冬も。蓄熱と「タイムラグ効果」が一年中効く
5mmの厚塗り漆喰には、外の熱が室内に伝わるのを遅らせる「タイムラグ効果」がある。
夏は、35℃の強い日差しが当たっても、壁の内部に熱がいったん溜まってから、ゆっくりと内側に伝わる。日中の急激な室温上昇を抑え、エアコンのピーク負荷を減らせます。夜は逆に、壁にためた冷気が室内に放出されるので、寝苦しさがやわらぐ。

冬は、その逆。窓から入る日差しや暖房の熱を5mmの壁がたっぷり蓄えて、夜、暖房を切ったあとも壁から穏やかに熱が放出され続けます。 朝晩の不快な底冷えを防いでくれる——これ、岩手で家を建てる人にはピンとくる話ではないでしょうか。

断熱材63mm追加と同じ。最大16%の省エネ効果も
そして、これが今日いちばん紹介したかった情報です。
AIディープリサーチレポートによると、
ビニールクロス壁を5mm厚塗り漆喰に変えるだけで、冷暖房の総消費電力が最大約16%削減できる可能性もあるとのこと(顕熱+潜熱のダブル効果による)。
室温のピークカットに加えて、漆喰の高い調湿効果で湿度が下がり、体感温度が涼しく(冬は暖かく)感じられることは見学会等の場面で私たちが実感していることです。結果、冷暖房の設定温度を無理に下げ(上げ)なくてよくなる、という仕組みです。
「16%の省エネって、断熱材でいうとどれくらい?」 気になりますよね。AIが試算してくれたところによると、外壁全体に高性能グラスウールを約63mm追加(ダブル断熱化)するのと同等の外皮性能向上に相当するとのこと。 内装を5mmの漆喰にするだけで、それと同じ省エネ効果が得られる、という計算になるようです。

※左イラストは外壁側の漆喰仕上げを示していますが、室内側としてみてください。
なぜここまで効くのかというと、5mmの厚みの中に無数のマイクロエアポケット(空気の静止層)ができるから。これが天然の断熱材として働き、さらに水蒸気の移動経路も確保されるため、調湿効果も最大化するとのこと。

注意!岩手で蓄熱効果を活かすための「高断熱設計」の鉄則
ただ、ここで大事な前提があります。 漆喰の蓄熱は、高気密・高断熱の家とセットでないと、効果を発揮しません。
中途半端な断熱性能の家に5mm漆喰を塗っても、せっかく壁に蓄えた熱が外に逃げてしまう。さらに困るのは、夜だけ暖房をつけて朝消すような間欠運転だと、冷え切った漆喰がかえって室内の熱を奪う「熱慣性ペナルティ」が起きるのです。
岩手で漆喰の省エネ効果を引き出すなら、私たちは以下をセットで考えています。
- HEAT20 G2〜G3レベル以上の当社の高気密・高断熱(UA値で目安0.15〜0.23程度)
- 24時間連続空調による穏やかな室温維持
- 日射取得を計算した窓まわりの設計(南面の取得、北面の損失最小化)
- 熱橋(ヒートブリッジ)を抑える窓まわりの納まり
このあたりは、岩手の冬と夏のヤマセ、両方を見据えた設計が必要なのではないかと考えています。ただ漆喰を塗ればいい、という話ではない。むしろ、構造としての高性能がメインにあってはじめて漆喰が動的な断熱材として機能する、と考えてもらえると分かりやすいかと思います。
だから、+ECOシリーズの候補なわけですけど。
つまり、漆喰の巨大な蓄熱効果を最大化する「正しい住まい方」は、次の3つの組み合わせ。
高気密・高断熱 × 24時間連続空調 ×5mmの漆喰
この3点セットで、最も省エネで快適な空間が完成します。どれかひとつだけ取り入れても効果は限定的。逆に、3つが揃ったときの体感は、岩手の冬を変えてしまうほどの力があります。

メンテナンスも省エネ。世代を超えて住み継ぐ漆喰
冷暖房ランニングコストの面以外でも、漆喰はちょっとうれしい特徴があります。
- 静電気が起きにくく、汚れがつきにくい
- 太陽光で汚れを分解する自浄作用がある
- ひび割れても、上から塗り重ねて部分補修ができる
これらからみても、長期的な「省エネ・省コスト」と言えます。 30年、50年と経つほど、味わいが深まる素材でもある。子どもが独立したあとも、夫婦で「この壁、いいよね」と言える家になるはずです。
まとめ:冷暖房システムに頼りすぎない、心地よい暮らしへ
5mm厚塗り漆喰 × 高気密・高断熱——この組み合わせは、岩手の冬を乗り切るための、ひとつの答えだと私たちは考えています。
- 蓄熱効果で、暖房負荷を軽減しながら朝まで暖かさが続く
- 5mmの漆喰は、断熱材63mm追加と同等
- 調湿効果で、冬の乾燥・夏のジメッとした不快感もやわらぐ
- メンテナンスのしやすさで、長く美しく住み継げる
性能の話は、スペックシートを眺めるよりも、実際に壁に触れてもらうのが早いです。冬の朝、暖房を切ったあとの空気感は、写真や数値では伝わりませんから。
大共ホームでは、5mm厚塗り漆喰を取り入れた「+ECOシリーズ」の完成見学会・モデルハウス見学を随時受け付けています。漆喰の壁の質感、室内の温度のムラの少なさ、冬でも素足で歩ける床の感触、ぜひご自身の感覚で確かめにいらしてください。 見学だけでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。
※AI情報は、断熱レベル、地域も岩手とは異なるはずなので1例に留めてください。
最後に、
6月7日10時~
「家づくり教室」~塗り壁体験会~を開催します。
ご自身でDIY、ほんとはやってみたいけど、なんかまだよくわらないし…
という方のためのワークショップです。気軽にご参加ください。

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