一個のおにぎり

現在、施設改装中の工事現場。

現場

毎日20人ほどの人間が作業を行っている。
昼時となれば、車の中が彼らの昼飯場所となる。
その光景を見ると、ごく一部のコンビニ弁当を除き皆持参のお弁当だ。

現場では忙しく汗をする彼らだが、この時ばかりは、
奥さんだったっり親だったり、ちょっとだけ家族と繋がる
ほっとする時間なのかもしれない。

私と言えば、3.11以降昼飯はずっとおにぎり。
我が家の食堂が気まぐれ休業した日以外ではあるが。
おにぎりは1個。
おにぎりサイズは1.5倍程の大盛り?サイズ。
それに、これまた気まぐれでゆで卵が付いたり付かなかったり。

そんな感じの昼飯だけど、まったくに不満はない。
まあ、経済のことを考えたら外食すべきなんだけど、
おにぎりの便利さと、楽しみを知ってしまったから、今はそれは困る。
だから経済の埋め合わせは、朝メシと晩酌でとガッツク。

食堂の責任者曰く、
もうそろそろ・・・おにぎりサービスを休止したい、のだとか。
もう以前のような非常時ではないんだから・・・
と言うのが理由らしい。

それは私もそう思う。
しかし、車を走らせながらいつでもどこでも食べられる。
この便利さはそう簡単に手放せるものではない。

責任者は、
弁当つくる方がまだおにぎりより楽なんだけど・・・とぼやく。
私はずっと、おにぎりの方が楽なんだと思っていたらそうではないらしい。
それは私の認識不足だった。

弁当でも、そりゃ構わないが、それだと車を停めての食事となる。
弁当のふたを開け、「今日はどんなかな~」と、
おかずを眺める時の楽しみもわかる。

だけどだ。
おにぎりの中身、おにぎりを食べ始めて初めてわかる具。
具にたどり着いた瞬間は何ともたまらない。
この瞬間のドキドキ感は弁当のそれを数段上回る。

コンビニのおにぎりなら具をわかって買う。
だから具にたどり着いた時の感動はうすい。
そして、おにぎり1個というのがより感動を深くする。
おにぎり1個、そして具も1個1種のみ、
次の、おにぎりも2種目の具もない、一発勝負。
グリコのおまけを開けた時の気分に匹敵するのではなかろうか。

あれれ!? なすて!
今日はなぜに具がないわけ?・・

てなフェイントをくらうこともたまにあるけど、
それもこういう風に楽しんでると、お愛嬌だべ!
と思えるから不思議だ。

そんなことで、
食堂責任者の意に反し、もうしばらくの猶予をとお願いした。

私のこの密かな楽しみを責任者は知らない。
もし、この楽しみを知られ、三色の具でも入れられようものなら、
それは私にとってはカウンターだ。

そしたらきっと・・・
おにぎりの休止提案をすんなり受諾。
なんて、あっけない幕切れシーンが脳裏に浮かぶ。

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