見えない性能こそ、暮らしの質を決めている?
住宅は「暖かい」「便利」「おしゃれ」などで語られがちです。
しかし家に求められる本当の快適さとは、家族が健康に暮らすための目には見えない部分にあるのではないかとずっと思い描き続けています。
・窓の端だけ冷たい
・乾燥して静電気がパチッと起きる
・なんとなく空気が重い、頭が痛い
・暖房しているのに足元だけ寒い
こうした“不快の原因”を取り除ける可能性があるなら、
家づくりのディテールを考えるためにも実測データがほしいと考えます。
私は趣味といえるほど、快適さや楽しい時間を支えるこの「見えない性能」を徹底して測ってきました。
一般の住宅会社はほとんど取り組まない領域で、変態的ですが、
家族が30年以上、安全で健康に暮らすために必須ではないかと考えるからです。
今日紹介するのは、この4つの計測。
① 窓周囲の熱橋チェック(サーモカメラ)
■ なぜ“窓の端”が重要なのか?
高断熱な家でも、窓の取り付け部だけ温度が急に下がることを確認することができます。
これは「熱橋(ヒートブリッジ)」と呼ばれる現象で、以下のような影響があります。
・窓際の“ヒヤッ”とする不快感
・体感温度の低下(同じ室温でも寒く感じる)
・結露やカビの原因
・暖房効率の悪化
つまり、家の快適性を大きく左右する“弱点”が窓の周囲にあることはあまり知られていません。
■ サーモカメラでしかわからない小さな配慮
サーモカメラを使うと、断熱・気密処理の丁寧さが一瞬でわかります。
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施工が甘い家 → 窓周囲が青く(冷たく)映る
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熱橋が少ない家 → 色のグラデーションが滑らか

今回のサーモ画像では、
約23〜24℃の壁面から窓枠へ温度が大きく落ちていない様子が確認できます。
これは、
・外張り断熱+内部断熱の取り合いが適正
・窓枠まで外張り断熱層が連続して届いている
・ψinstall(窓取付熱橋)の抑制ができている
という現場のスタッフさんたちが非常にレベルの高い施工をしてくれていることがわかります。
② 室内電位チェック(空気のマイナスイオン化と壁のプラス電位)
静電気の発生しやすさ、埃の舞いやすさ、肌の乾燥…
これらは 「室内の電位バランス」 と深く関係があります。
そして多くの人が知らないのが、
空気がマイナスイオン化している環境では、壁面はプラス電位になる
という現象です。
昔、イオンカウンターで計測したりもしてたので経験的にもわかります。
■ なぜ壁がプラス電位になるのか?
空気中のマイナスイオンが増えると、
電子を帯びた微粒子が空間に広がります。
その結果、
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空間(空気中) … マイナス電位
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固定された面(壁) … 相対的にプラス電位
という“電位差”でバランスを保つからです。
これはイオンバランスが良い環境の特徴で、埃が壁に吸着しにくいため、部屋全体の空気が軽く感じられるますし、何より滝つぼの新鮮な空気に近いものを室内にという考えからです。
■ 人体の皮膚電位にも影響する
空気がマイナスイオン化すると、
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皮膚表面はプラス側の電位
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体内は相対的に還元方向
という変化が生まれるという報告があります。
これは「体質が劇的に変わる」という話ではないです。
しかし、医学や生体電位の世界では、
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自律神経が整う
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血流がよくなる
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リラックス効果
-
ストレスの軽減
につながる可能性が指摘されており、マイナスイオン環境が“心身に良い影響を与える理由の一つ”とされていますので、私もそれはあるのではないかと思っています。
■ 実測値 +0.03kV は異常レベルの優秀さ
通常の住宅では、特に空気が乾燥気味の冬は、
壁が-0.3〜1.5kV の帯電は当たり前で、コンセントBOXなどは特にです。

しかし今回の測定値は……
+0.03kV(30V)
ほぼ帯電ゼロ。
これは、空気そのものが非常に安定しており、
埃が舞いにくい・静電気が起きにくい・肌に優しい家であることを表しています。
③ 室内空気質(ホルムアルデヒド・TVOC)チェック
家族の健康に直結するのが「空気の質」。
特に新築は化学物質の影響が出やすく、
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ホルムアルデヒド(HCHO)
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総揮発性有機化合物(TVOC)
の対策が必須です。
■ 実測値はかなり良好
厚生労働省の指針値
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HCHO:0.08mg/m³以下
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TVOC:0.4mg/m³以下

今回の測定値
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HCHO:0.004mg/m³(基準の1/20)
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TVOC:0.045mg/m³(基準の1/9)
これは“森の中レベル”といっても過言ではない空気環境です。
昔は使用建材をガスクロ分析までしていましたほどですが、このような簡易測定でも時々家具等による異常値を発見することもありますので意外と侮れないものです。
■ 数値が低い家は、住んだ瞬間から違う
・喉や鼻が痛くなりにくい
・お子さまが敏感に反応しない
・新築の匂いが少ない
・頭痛・倦怠感を訴える人が減る
空気質が良い家は、疲れにくく、深く眠れ、ストレスが減る家になります。
④ コールドドラフト(下降冷気)チェック
冬、足元だけ冷たい家があります。
その多くは「窓断熱」の問題で、ガラス面で冷やされた空気が下へ流れる現象をコールドドラフトと言います。一般には窓ガラスでも高断熱サッシではその泣き所となる壁との取り合い部をチェックしています。
■ 不快感の正体は「わずか0.3m/sの風」
人が“寒い”と感じるのは温度だけではありません。
0.3m/sの下降風でも、体感温度は 2〜3℃低く感じることがあります。
■ 実測値 0.09m/s は“風を感じない”レベル

今回の結果:0.09m/s
これはほぼ無風に近い値です。
窓の断熱性能が高く、熱橋処理も適切で、内外の空気温度差が小さい家だからこそ出る数値です。
つまり…
暖房費が下がる + 足元が暖かい家
という、理想の冬の住環境がつくれているということになります。
まとめ:見えない性能だからこそ、安心したい
家は「住み心地」で評価されるものですが、その住み心地とは健康を支える室内環境があってこそです。
しかしそれらの良さは、図面にもカタログにも書かれませんし、一般には話題にもなりません。
ですが、毎日その空間で過ごすわけです。
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窓の熱橋
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空気の電位
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ホルムアルデヒド/TVOC
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コールドドラフト
これらは 私にとって、測らなければわからない“本当の性能” です。
世の中の多くの住宅は、この4つをチェックしません。
なので、こんなことにだわる住宅会社は、変態なのかもしれません。
家族が30年、40年と暮らす家だからこそ、そして毎日触れる・吸い込む空気たち。
目に見えない他愛のないものかもしれないけれど、丁寧に積み重ねた家に住まい続けてほしいですから。
そんな思いで、私は今日も計測器を片手に、新しい家の「本当の住み心地」を想像しています。
単なるフェチ人間なだけかもしれませんけど。












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