日本で探しても、見つかりませんでした。
ドレーキップ窓に合うカーテンやスクリーンの話です。窓そのものはドイツから輸入できる。性能も申し分ない。ところが、その窓に付ける内倒し窓に適した「窓まわりの製品」が、国内のどこにも無かったんです。
だから、作りました。素材を輸入して、自社で。今日はその経緯の話をします。
ドレーキップ窓の弱点は、窓ではなく「窓まわり」だった
ドレーキップ窓は、ハンドルひとつで2通りに開く窓。横に大きく開く内開きと、上部だけ室内側にコトンと倒す内倒し。この内倒しが便利で、雨の日でも、外出中でも、防犯性を保ったまま換気ができます。岩手の短い夏なら、夜の涼しい外気だけ取り込んで眠る、という使い方もできる窓です。ドレーキップ窓の普及率は、業界調査では、ドイツ語圏で販売される窓の約77%、つまり4枚に3枚がドレーキップ式という数字もあります(Interconnection Consulting社・2017年金物出荷データ)。内倒しに障害にならないものが普及しているのも当たり前な話かもしれません。
ただ、日本でこの窓を採用すると、ひとつ困ることが起きます。
窓が「内側に」倒れてくるので、窓の手前に吊るすカーテンやロールスクリーン、ブラインドと、ことごとくぶつかるんです。すると、換気も通りにくくなる。
・カーテンを閉めると、内倒しができない
・内倒しすると、目隠しができない
・結局、内倒し換気かプライバシーか、どちらかを諦める
高性能な窓を入れたのに、カーテンが閉めっぱなし。あるいは、夜は換気を我慢する。調べれば調べるほど窓は良さそうなのに、カーテンの答えだけが見つからない。窓の価格は決して安いものではないのに、機能の半分が眠ったままになってしまう。もったいないと思ってしまいます。
探して、無くて、輸入して作るまで
私たちも最初は、既製品で解決するつもりでした。国内メーカーのカタログを調べ、国内に流通している輸入品も当たってみました。
無いんです。ドレーキップの動きに追従できるスクリーンが。どれも壁に付ける前提の製品ばかりで、内倒しに付いてこられるものが、どうしても見つからなかった。
考えてみれば当然かもしれません。国内でドレーキップ窓を標準採用している会社が少ないのだから、専用の窓まわり製品を作るメーカーも育たない。本場ドイツでは、外付けのブラインドやシャッターが広く使われ、室内側の製品もドレーキップ前提で作られています。窓と窓まわりがセットで進化してきた市場ですから。私たちは、そういうことも知らずに、その片方の窓だけを輸入していたことになります。窓は輸入できても、暮らしの部分は置き去りのままだったわけです。
ないなら、作る。
そう決めて、カーテン・スクリーンの素材を海外から輸入し、自社での製作を始めたのが、2016年。幸い、この窓は長年自分たちで扱ってきたものです。うちにはサッシ枠の見込み寸法、ガラスの位置、金具の納まり。図面も現物も全部手元にあるので、窓に合わせて細かく詰められる。窓を知っている側が窓まわりを作る。これが結果的に、一番の近道だったのかもしれません。
使う人の目線で決めた3つの仕様
作るにあたっては当然不安もあります。ですが、決めたのです。窓の機能をひとつも殺さないこと。カーテン・スクリーンのために窓の使い方を妥協するのでも、窓のためにスクリーンを我慢するのでもなく、両方の機能をそのまま使えること。
そのための仕様はこうなりました。
まず、スクリーンはガラス面に沿って動くタイプ。窓枠の手前ではなく、ドイツのようにガラスのすぐ内側で動くもの。窓を内倒しても内開きにしても、スクリーンは窓と一緒に動くもの。スクリーンを閉めたまま換気もできるし、スクリーンを開ければ窓辺に残る物が何もないので、景色をそのまま楽しめるしね。
次に、ドイツで見たものもそうだったように、上下どちらからでも自在に開け閉めできること。上だけ開けて空を見る、下だけ開けて雨・雪の様子を見る。光の入り方を、時間帯や気分で切り替えられる。私たちは朝モード、夜モードと呼んで使い分けています。朝は下半分だけ閉めて、外からの視線を遮りつつ上から光を入れる。夜は全部閉めて、室内の灯りを外に漏らさない。開けるか閉めるかしかなかった窓辺に、段階という加減が生まれます。
そして、樹脂サッシの枠とガラスの間に収まる納まりにしたこと。窓辺にカーテンのような出っ張りが無いので、見た目がすっきりして部屋が広く感じられるのがいい。
生地は半透明から遮光タイプまでいくつか選べますが、個人的なおすすめは半透明タイプ。閉めていても外の明るさと木々の影がうっすら透けたりで、窓辺の表情から一日中外の気配が感じられます。晴れた日の午後、スクリーン越しに入る明かりが室内に拡散された雰囲気が好きで、この生地にしてよかったと思いました。好みの分かれる部分なので、実物で確かめてほしいところです。
作ってわかった、ふたつの副次効果
狙って作ったスクリーン機能は換気との両立でした。ですが、使ってみて、また採用していただいて気づいた効果が、ふたつあります。
ひとつは冬の窓際。
冬の夜、トリプルガラスでも、ガラスに触れた室内の空気は冷やされて重くなり、足元へすうっと流れ落ちていきます。これがコールドドラフト。高断熱サッシと言えども、外壁面に比べて性能の低い窓面がある限りゼロにはならないのです。それが、スクリーンでガラス面を覆うと、この冷気の流れが室内側へ出にくくなります。サーモグラフィで撮ると、スクリーンの有無で窓まわりの表面温度に差が出ることがわかりました。
岩手の冬でも、トリプルガラスの冷えをさらに和らげる。これは寒冷地で暮らす私たちにとって小さくない話だと思っています。窓際の体感が変わると、窓のそばにソファや机を置く選択肢も広がりますからね。
余談ですが、夏の朝にはこのスクリーンに、外の日差しの影がくっきり映ることがあります。うちはサッシを壁の内側に寄せて取り付けているので、窓の上と左右の壁が小さな庇のように働く。私たちが三方庇効果と呼んでいるものです。スクリーンに落ちた影は、日差しの一部が窓の手前で遮られている証拠でもあって、眺めていても飽きません。
もうひとつは、ガラスの外側に格子が付く窓でも使えること。格子付きの窓は、ただでさえ既製のスクリーン類が合わせにくいものです。ガラス面で動く方式なら干渉しません。トリプルガラスに格子を組み合わせるような、意匠にこだわった窓辺でも窓まわりを諦めずに済みます。ただし格子付きの窓では、窓枠とガラスの中にすっきり収まる納まりにはできず、そこが少し残念な点です。
窓は「窓まわり込み」で設計するもの
私たちの中ではっきりしたことが、ひとつあります。
窓の性能は、窓そのものだけでは完結しない。カーテンをどうするか、日射をどう調整するか、冬の冷気をどう受け止めるか。住んでからの窓辺の使い勝手はどうか、この部分でずいぶん変わってきます。そこまで含めて、窓を考える段階で決めておくものだったのです。
「カーテンは住んでから、カーテン屋さんで」。というのはよくある流れです。ですが、ドレーキップ窓ではそれが通用しませんでした。だから自分たちで作った。窓を選ぶときは、窓を最大限活かすために、窓まわりまで一緒に考えてくれる会社かどうかも、ひとつの判断材料にしてもらえたらと思います。
スクリーンの動き、半透明生地の透け感、内倒し換気の風。ここから先は文章より実体験です。滝沢市の住宅展示場で、実際に操作していただけます。気軽にお越しいただき、直に触れてみてください。
※この記事で紹介しているドレーキップ窓用スクリーンは、大共ホームで設計・自社製作しているオリジナル製品です。「どこで購入できますか」とのお問い合わせをいただくのですが、市販品ではありません。ですが、これまで何度かスクリーンのみお売りしたことはあります。気になる方は一度お問い合わせください。


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