UA値0.24の賃貸アパートは、こう建てる。断熱・防水工事の現場から【盛岡・第2弾】

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UA値0.24、断熱等級6。

前回紹介した、盛岡で建設中の賃貸アパートの性能値です。なぜ賃貸にこの数字なのか、という話は第1弾に書きました(→【第1弾|盛岡の高断熱賃貸住宅】)。

今回は、現場の見えなくなる断熱等についてです。

上棟が終わり、外壁と内壁が閉じる前のいまだけ、壁の裏側が見えている状況を。UA値0.24という数字を実際に成り立たせている断熱・防水の8工程を、施工の順路どおりに写真で残しておきます。入居してからでは、二度と見えない領域ですから。

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外張り断熱。建物を外からすっぽり包む

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壁の断熱には、大きく2つの入れ方があります。柱と柱の間、壁の中に入れる充填断熱と、柱の外側にボード状の断熱材を張る外張り断熱。この建物は両方でやっています。

まず外側から。構造材の外にボード状の断熱材を目地をテーピングしながら隙間なく張っていくと、柱や梁が丸ごと断熱層の内側に入ります。木材は断熱材と比べれば熱を通しやすいので、その骨組みである柱の外側を覆ってしまえば、柱を伝って逃げる熱を減らせるのです。魔法瓶の外側をもう一枚くるむような施工だとイメージしていただけるとよいかと思います。

断熱材はネオマフォーム50mm厚。第1弾でお見せした基礎・土台まわりの断熱補強と同じ材料で、基礎から壁まで同じ考え方でつながっています。賃貸アパートでここまでやる現場は、盛岡ではまだ少ないか、まったくないか、のどちらかのはずです。

透湿防水シートは、ドイツ・ウルト社

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外張り断熱の上に張っている黒いシート3mタイプ。ドイツのウルト(WURTH)社の透湿防水シートです。

役割は一方通行の門番。外からの雨水は通さず、壁の中の湿気は外へ逃がす。壁体内に湿気がこもると木材が傷むので、この「出ることしかしない」性質が建物の寿命を支えます。

国産の透湿防水シート1mタイプもあります。それでもドイツ製を使うのは、窓も、テープも、シートも、同じ思想でつくられた国の部材で揃えると、取り合いの納まりで迷いがないからです。足場の外から建物が黒く見えるのは、このシート自体の色になります。

窓はドイツのトリプルガラス

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窓はドイツGEALANの樹脂サッシ、3枚重ねのトリプルガラス。注文住宅の標準と同じ窓です。なぜ賃貸にこの窓なのかという話は第1弾のQ&Aに書きましたので、ここでは現物と取り付けの話を。

現場で見てほしいのは、サッシが壁の奥まった位置に付いている点。外張り断熱の厚みの内側に窓を引き込み、枠のまわりを断熱材で覆う。第1弾で書いた特許の熱橋対策が、まさにこの位置関係で効いてきます。ドイツやアメリカでは計算されるのに、日本には基準がないので、図面のUA値には出にくい部分ですが、わたしは冬の窓際の体感はここで決まると考えています。

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開き方はドレーキップです。ハンドルの操作ひとつで、内側に倒して上部で換気、内側に開いて全開、と切り替わるドイツ式。内倒しの状態なら、雨の日でも、留守中の防犯面でも、安心して換気を続けられるのがいい。

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住宅の経年の中で、窓まわりの雨漏りで一番怪しいのは下枠です。サッシの下に防水部材をしっかりと仕込み、万一水が回り込んでも外へ抜ける道を先に作っておいています。写真の黒い部分がそれです。

仕上がってしまえば誰の目にも触れない場所ですが、だからこそ写真に残します。壁の中の仕事は、隠れる前しか証明できないので。

室内側にも断熱を充填。それと、賃貸ならではの界壁

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外張りだけでは終わりません。柱と柱の間にも高性能グラスウールをきっちり充填しています。外張りと充填、二段構えのダブルの断熱です。

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それから、賃貸ならではの一手間が界壁です。隣の住戸と接する壁には吸音材をたっぷり入れました。高断熱の家は外の音が入りにくい静かな家になるぶん、内側の音が気になりやすい。隣人の生活音は、賃貸の住み心地と退去理由に直結します。断熱と同じ熱量で、音にも配慮しました。

調湿気密シート。季節で性質が変わる膜

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室内側の壁面には、同じくウルト社の調湿気密シートを張っています。ただの気密シートではありません。周囲の湿度に応じて、湿気の通しやすさそのものが変わる可変透湿タイプです。

冬は湿気を通しにくくなり、室内の水蒸気を壁の中へ入れない。夏は通しやすくなり、壁の中にたまった湿気を室内側へ放出させる。岩手の壁の中では、冬と夏で湿気の流れる向きが逆転します。その逆転に、シートの側が追従してくれる。壁体内を乾いた状態に保つための保険です。

2階の床まわり、熱橋の補強

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断熱補強はネオマフォーム50mm厚。

2階の床を受ける梁まわりは、壁のように柱と柱の間のように充填断熱を入れることのできない場所です。構造上どうしても木材が集中し、断熱材の入る余地が細切れになる。放っておくと、2階の床まわりがうっすら冷える建物になります。

この現場では、床枠まわりに断熱補強を入れて、その弱点を先に潰しています。窓まわりの熱橋(第1弾参照)と考え方は同じです。性能は、カタログ値ではなく、こういう抜け道をひとつずつ塞ぐ作業の合計で決まるのです。

構造用合板の下地は、入居者の味方になる

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壁の下地に構造用合板を張った部屋があります。目的は建物の南面と北面の補強ですが、暮らしの側に嬉しい副産物がひとつ。

合板下地の壁は、どこにビスを打っても効きます。石膏ボードだけの壁と違い、下地の位置を探さなくても、棚もフックも時計も掛けられる。賃貸の定番の不満に「壁に何も付けられない」がありますが、下地が全面にあれば話が変わってくるのではないでしょうか。

まとめ。注文住宅の仕様を、賃貸だからと省かない

外張り断熱、ドイツの透湿防水シート、トリプルガラスのドイツの窓、下枠の防水、充填断熱、界壁の吸音、調湿気密シート、床枠の熱橋補強。今回お見せした8つの工事は、どれも仕上がれば見えなくなります。

見えなくなる部分にどれだけ手をかけたかが、盛岡の冬の朝、入居者の足元の温度になって返ってくるはず。貸家づくりも、注文住宅と同じだと思うのです。

次回の第3弾は、この賃貸アパートに入れる温水床暖房の話です。一部世帯ではありますが、賃貸に床暖房、しかも温水式。なぜそこまでやるのか、設備の中身と一緒に書きます。

完成後の内覧・入居のお問い合わせは【盛岡市の高断熱賃貸住宅「プレア」】からどうぞ。

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