屋根トラスの記憶

フランス滞在期間で、ただ一つ見かけた工事現場。

住宅ではないけれど、住宅で使う屋根トラスを据え付け中の現場。

フランスの屋根トラスの画像

ちょいスズームしてみると・・・
フランスの屋根トラス②の画像

屋根トラスとは、壁より上の部分が一体で組まれた軸パネル?
とでも言ったみたいなもの。
そのトラスを壁に載せていくだけで、屋根の骨組みは出来上がる。

屋根部分の生産性は実に高い合理的な屋根構造で、
北米ではごく当たり前に見かけるシステム。
その屋根トラスがフランスでも使われていた。

現在、当社もだけど、
日本のツーバイフォーのほとんどで屋根タルキ方式。

フレーミングの画像 フレ-ミング②の画像

昨日のフレーミング現場を眺めながら、
フランスのトラスのことを思い出し、
同時にフランスの工事現場を見て思い出したことも浮かんできた。

十数年前のこと。
工法視察に頻繁に行っていた時期がある。
スケール・細部の納め・仕様部材・作業工程・ツールなど、
何度現場に足を運んでも、その都度新たな発見ができた。

一つ一つの現場に隠れている、彼らが積み重ねてきた知恵と工夫。
それを一つでも多く掘り出す!
できるなら根こそぎ日本に持って帰る!そんな勢いだった。

自分たちの現場で即行使えたもの。
思考錯誤しながらアレンジして使えるようになったもの。
思考錯誤したけれども、結局採用しなかったもの。
輸入してみたけど、未だ工場の奥に眠ったままの工作機械。
そんな多くの体験の上に、
その時の発見の多くが当社の現場に反映されている。

北米の現場から学び、当社の住宅に反映された一番大きなものは、
やはり北米型ツーバイフォー工法だろうか。
日本型から北米型への移行。
現場で発見した小さな工夫たちも、
このことがきっかけで、活かされることになったものは多い。

そして、どうせなら・・・
北米でスタンダードな屋根トラスも採用できないか。
そう思い、検討し始めたのがそのあとだった。

たくさんのトラス製作工場を軒並み観てまわった。
トラスシステムは、ジョイントの金具(通称:ギャングネイル)メーカーが
それぞれ独自にシステムの権利を有していること。

屋根形状を読み込み、力学上最適に組み上げられるCAD図。
ジョイント詳細図、金物調書、軸組材のカット調書。
そこから連想するカットソーに、ネイルプレス機。
最小部材で最大強度をつくりだすシステムであることを知った。

しかし、これを日本で製作しようとすれば、
日本の大臣認定を取得し、
その上、認証を受けた工場が製作しなければならないこと。
あるシステムは日本の大手商社が認定取得していることなどが
わかってきた。

認定工法ともなれば、
「こりゃあ、うちのような会社ではとても無理なことだんべ。」
と認識し始めても、それでもなぜかもっとトラスシステムを知りたくて
観て回り続けた。

生産システム、製造設備、それぞれのメーカーに特徴がある。
大きな面積を要し、大量につくることを目的にしたシステム。
大量生産ではないけど、小規模設備で製造できるシステム。
その違いを知るだけでもおもしろかった。

けど、それらシステムも参考になったが工事現場のように、
見た目ではわからない、そこに隠された意味を発見できたら・・・
という想いのほうが強かったように思う。

そして3年ほど、そんな作業を積み重ねたのだが、、
当社で製造するとしても、採算はとても合わせられない。という結論に至った。
それは、見学した工場のほとんどが、トラスを専門につくっていること。
(当社分だけでは、設備&スペースが5日/程度しか稼動しない)
その上、日本の道路事情からくる運搬のリスクがあること。
(大型になるトラスの運搬はトレーラー運搬となる)
未だに日本で普及しないのは、この道路事情に因るのだろうと思う。

当社で製造することは現実的ではない。
道路事情が許す現場環境が少ない。
それはわかっていても、
当社の現場で使用した場合のイメージは既に出来上がっていた。

それらの締めくくりの意味でも、現場で一度でいいから使ってみたい。
そういう想いから、一度だけ現場でトラスを採用したことがある。
現場とはスタッフの家。
当然、トラスは当社で製造できないから商社より購入。

結果は・・・  イメージ通りだった。
屋根工程で45分。
当時、通常3時間はかかっていた時間がだ。
自分の描いてきたイメージは間違っていなかったことを確認できた。

そう、確認できたところで、私のトラスプロジェクトの締め括り。

だからって、捨てたわけじゃない。
私の中の倉庫に眠らせてあるだけ。だからいつでも取り出せる。
取り出すことがあるかはわからないけれど、
ずっととっておきたいものの一つであることは間違いない。

けれど、いつかは、、、
頭の中の棚卸しも必要ありますけどね^^;

よくわからん私の頭の中身などはどうでもいいことで、、、
毎日暑いですからね。
口直しと言うことで、最後に涼しげな写真を一枚。

河に親しむ町の画像

こんな場面をみつけたら・・・

もちろん、私も横に並んで一緒にバチャバチャ(笑)

すっごい気持ち良かったですよv

南欧のような家を建てる岩手の注文住宅なら。

2件のコメント

学ぶ事に終わりはないですね。常に、研究し、学習し、体験し実行しその経験って決して無駄ではないですよね。無駄だと分るのも体験なしでは得る事は出来ないと思いますし…
社長の頭の中は常に住宅の事でいっぱいなような気がします!その色々な積み重ねが今の大共ホームを創り上げているのではないでしょうか?

立花さん、失敗談なら蔵に溢れるくらいあるかも・・;
私の頭の中って、住宅のことしか入らないような構造に
なっているようです(笑)
だから家でも会社でも、ファッション、食べ物、
社会ネタから雑学まで、
いつも怒られながら教えられてはいるんですけどね。。
だからまともに話せるのことって家のことしかないんです^^;

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