先日、当社ではフレーミング時既に工場でサッシが取り付けられていることへの是非についてのコメントを紹介しました。
今日は古い話になりますが当社がパネル化と同時に壁パネルにサッシを取付けたいと願い続けてきたことの古い話を紹介しますね。
ヨーロッパの住宅のパネル化と普及度
始めて海外の住宅現場を観たのがアメリカ、そしてカナダでした。
アメリカの現場で衝撃を受け、既にパネル化していたものを北米型モジュールに切り替えしたほどです。その後カナダで壁パネルに断熱材を入れられ構造用面材で挟み込んだ壁パネルを製作している工場を見学した時は、
やがて日本もこういう時代になるのかも
と感じたものです。
最初のきっかけはパネル化されたスウェーデンの住宅
その後始めてのヨーロッパ、スウェーデンを訪問した際に観たその住宅は、壁パネルに断熱材が入った上にサッシまで取り付けられたものでした。その上壁パネルには内部の石膏ボードまで貼られているのですから何とも凄い!と感動しないわけがありません。当時のスウェーデンの年間の住宅着工数は4千戸ほどだったと記憶しています。築30年ほどで建て替える日本の住宅に対し、住宅寿命が100年以上は当たり前の国では当然着工数は少なくなるわけです。築40年以下での解体は許可が必要だったはずです。
この時25年程前で当時の写真はネガフォルムでしたからね、どこかに隠れているか・・あるいはもうないかもしれません(笑
ドイツの木造住宅のパネル化と加工率
ドイツでも住宅のパネル化が非常に進んでいたことに驚かされたのが20年ほど前の2006年になります。

偶々偶然にこの組み立て現場に遭遇できたのは幸運だったと思います。
壁パネルには既にサッシが組み込まれています。そしてこの建築システムの特筆すべきは、
外付け壁パネル
外張り断熱、付加断熱でもなく、外付け壁パネルだということです。
そして写真をズームして、窓ガラス越しに見える室内側の壁をチェックしてください。
解りますが?
内装仕上げの下処理まで工場で行われていたのです。
ドイツだって、住宅寿命は100年位は当たり前と考えている国です。そう簡単に工事現場を見つけることは困難です。そう、住宅寿命が長く着工数が少ないからです。

現場ではこのように、この後工程で使われるだろうEPS断熱材も山積み。
住宅寿命が長寿で成熟した国は、きっとこのような建築システムに集約されていくのだろう。
そう私が思ったとしても不思議なことでも何でもないと思いませんか。
この状況だと、あとは設備機器類、照明等の取り付けと最終仕上げということになり、現場での作業時間は大幅に短縮されます。
パネル化率の高いドイツの木造住宅
ドイツでは住宅の約70%以上が何らかの形でパネル化されているとのこと。壁や床、屋根などが工場で精密に加工され、現場で組み立てられるので品質が安定し、施工ミスが減少すること。また作業者の技術差リスクも小さくできます。
日本でもプレカット技術が普及し木材の加工精度が向上していますが、現場での大工仕事が多い点がドイツとの大きな違いです。現場での柔軟な対応が可能な分、カスタマイズ性が高いのが日本の住宅の良いところではありますが。
パネル化率ダントツの北欧住宅
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの北欧諸国では、ドイツのさらに上で木造住宅の約80〜90%がパネル化されていると言います。このパネル化率は世界でもトップクラスとのこと。
この理由は、当社がパネル化するきっかけとなったユーザーメリットとして雨に濡らさない、施工者側のメリットは天候に左右されず工場で加工ができるのと近い事情によるものではないかと思います。
岩手と同じで寒冷な気候への対応
工場内で精密にパネルを加工し、高い断熱性能や気密性を実現しやすいこと。
施工の迅速化
短い夏、長い冬を考えると、現場作業を最小限に抑えた方が良い。
コスト削減
工場での加工生産により、建材の無駄が少なく、コスト効率が高い。
加工率の高さは驚くばかり
北欧の住宅建築では、工場での加工率が非常に高い過ぎて当社では追い付きるような気がしません。壁、床、屋根などの主要構造部材はほぼ完全に工場で組み立てられ、現場では組み立てのみを行うことが多いようですので。
この加工率の高い大型パネル化には課題もあって、地域や現場の条件に応じた柔軟な対応が難しいという面があります。ここが建築地の狭い日本の現場環境では大型化は難しい面もあるわけです。
私がどうせパネル化するなら、サッシまでは取付けしたいと願い続けたのがわかっていただけるでしょうか。
このドイツで観た現場から、当社がサッシを壁パネルに取り付けを標準にできるようになったのはこの9年後です。
北欧・ドイツと比較したら、悲しいけれど30年以上、もしく40年くらい遅れをとっているかもしれません。
今でも壁が出来るのに時間かかってるな~って素人ながら思う建物あります!
うちでも1時間ずれただけで、今日は時間かかってるなあと思うことありますもの。