もう6年前になるけれど、フィンランドで観た住宅展示場をまだ紹介してない家がいくつかありましたので、今日はその中のひとつを紹介したいと思います。
北欧の住宅展示場15
まずは住宅展示場の外観から。
フィンランドの住宅に採用される外壁材は基本、針葉樹系のウッドサイディングに塗装仕上げ。また奥行きのある窓の取り付け位置から、壁の厚さ・断熱層の厚さが想像できるのではないでしょうか。
右下にアスファルト麺が見えますが、ここが前面道路です。ここで日本との違いに気付くはずです。道路際いっぱいに家を建てることで、塀などを設けることなく、家自体で裏庭のプライバシーを確保しています。
そして、半分見通せる程度でデザインポイントにもなってはいるグレー色の横ルーバーもフィンランドではよく見かけるものの一つかと。
北欧住宅の家づくりが日本でも注目される理由
北欧の家やライフスタイルが日本で人気を集める背景には、馴染みやすい住宅の規模感、シンプルで美しいデザイン、高い断熱性による快適な住環境、そして自然素材を活かした健康的な暮らしへの関心の高まりがあるようです。実際の北欧住宅特徴やライフスタイルなどから、私たち日本の住まいにも応用できるヒントを探ってみるのも楽しい時間になるかもしれまん。
断熱性能に優れた北欧住宅から、日本の寒冷地である特に東北地方や北海道、岩手の家づくりにも参考にできるものを見つけることができます・以下に紹介していきます。
北欧住宅の洗練された実用性と美しさ
機能的で清潔感のあるランドリールーム

右側に洗濯機と乾燥機を配置していて、シンプルで使いやすいランドリールーム。そこに収納と作業スペースが効率的に配置されており、見た目も非常にスッキリしていますよね。
天板は無垢材風の仕上げで温もりある雰囲気。上部の収納棚とカウンター下の扉付き収納でタオルや洗剤などを整理整頓。カウンターの長さも作業性は高そうです。
高い断熱性があることで、室温が安定し洗濯物の乾燥効率も高い。照明も明るすぎず、ナチュラルな室内光で目に優しい。このような機能美は日本の住宅でも参考にしたいものです。
リビングから繋がる大きな窓とバルコニー


1階にもちょっと狭めのリビングのあるLDKはあるのですが、この広々としたこのリビングは2階に設けられています。高性能な大きな窓。バルコニーへ繋がる開口部は、断熱性・気密性の高い木製トリプルサッシで、テラスドアでも外気の侵入を最小限に抑えます。
採光性が高く、日中は照明が不要。ガラス面積が広いにも関わらず、冬場も暖かい室内をキープ。バルコニーとの一体感があり、開放的な空間演出が可能になっています。
実用性と心地よさを兼ね備えた北欧インテリア

ベットルームにある書斎コーナーのシンプルな設計
大きく配置された窓下にデスクを置くだけ。だから良いのかもしれませんね。この写真の窓サイズを開いている窓サイズを一つだけ壁真ん中に配置された場合をイメージしてみてください。この窓サイズが与える解放感がわかるのではないでしょうか。
小さな部屋でも広く見えるようにデザインされたデスクスペースに設けられた窓の開閉は内開き。先ほどのテラスドアは外開きでしたから、うまく使い分けられるしくみがあるってのは羨ましい限りです。
自然光を取り入れつつ、作業に集中できるレイアウト。インテリアは白を基調とし、視覚的な広がりを演出してるのがいい。
北欧らしいミニマルデザインのキッチン


アングルを変えての2枚の写真から、窓との関係性とかチェックしてみてください。
北欧の家ではキッチンも暮らしの中心。壁付けのシステムキッチンは収納力が高いのが魅力。扉や取手のデザインもスッキリした統一感も良いですね。
収納力抜群天井まである吊戸棚。黒のバックパネルが高級感と清潔感を演出。照明は手元を優しく照らす間接照明。キッチンからダイニングへの動線が短く、家事効率が高そう。
暮らしを豊かにする空間演出

モダンで落ち着きのある1階リビングスペース
暖炉のあるリビングは北欧住宅らしさを象徴する空間。ほんの小さな炎の揺らぎを眺めながら、それでも冬を暖かくできるのは断熱性能の高さ故のこと。
白を基調としながらソファの配置と照明により空間にリズムを作りだしている。壁面アートや観葉植物がアクセント。暖炉は輻射熱で部屋全体をじんわりと暖めるってのが魅力かと。
ダイニングと屋外デッキの一体感

開口部を大きく取ったダイニングスペース。
左奥がキッチンです。室内と屋外がシームレスにつながっており、このようなアウトドアリビングの発想は日本でも採り入れたいものです。
北欧住宅に欠かせないサウナルーム
最後に紹介するのは、北欧文化の象徴ともいえるフィンランドと言えばサウナではないでしょうか。
どこの家もサウナルームは家族が一緒のくつろぐ空間になっています。
ヒノキやレッドシダーなど木材をふんだんに使用し木の香りと感触に包まれる時間が魅力。高断熱仕様ですから室温を一定に保てるわけです。健康志向の高いライフスタイルを好む方にお勧めかと。
北欧住宅では欠かせない屋外で過ごす時間
フィンランドなど北欧諸国では、家の中だけでなく外の空間も暮らしの一部と捉えているようです。日本では外で過ごす時間というと、特別な時間というイメージがありますが、北欧の人たちは、もっと気軽に、そして積極的に屋外を活用しています。
ここからは、北欧フィンランドの屋外に対する考え方の日本との違いなどを拾ってみたいと思います。
ガーデンスペースは「眺める」より「過ごす」ための場所

この写真は室内LDKからテラスドアを開けてデッキから見た庭の景色です。この広いプライベートガーデンにはきれいに芝生が敷き詰められています。私が芝刈りしている裏庭に芝生よりきれいです。北欧の人々は短い夏を大切にし、天気の良い日はできるだけ外で過ごしているのが窺えます。
日本での小さな庭でも、整えた芝生とテーブルセットがあれば、家族や友人との交流の場になりますし、デッキを通して屋内との一体感をつくれば、屋外空間の使用頻度が格段に高まりそうです。
次は視線を左に向けると、
バルコニーやポーチは、第二のファミリーカフェ

こちらは屋根付きのデッキスペースで、庭に向けクッションのあるガーデンソファが置かれています。日陰のソファでくつろぐ時間を想像できるのではないでしょうか。
写真奥に見えるグリルの向こう側に歩を進めると、
家族で楽しむアウトドアグリル文化

屋根付きウッドデッキの右側には、アウトダイニングコーナー。北欧は家庭ではグリル文化が日常に根付いていますから、休日は家族や友人たちと外に集まって食事を楽しむ風景は当たり前に見られます。
家族と屋外で過ごす、その時間のためのスペース、日本も見習いたいところです。
北欧住宅の家の配置と庭づくりに学ぶ
フィンランドをはじめとする北欧では、住宅の設計や庭の使い方において”プライバシーの確保”と”心地よく過ごせる屋外空間”が重視されます。以下の写真は、住宅展示場の様子ですが、その配置計画や庭の工夫は、日本での一般的な考え方とは違います。
家を“盾”にして庭を守る

庭の奥から見た家の外観。
家・庭・敷地との関係がわかってきましたでしょうか。

木枠で家庭菜園も。新鮮な野菜を収穫し、そのまま屋外で皆と食べられたら、それだけで話が弾みそうです。
北欧に学ぶ“多機能ガレージ”の考え方
ここで最後の北欧のガレージです。フィンランドなど北欧では、ガレージは単に車を駐める場所ではなく、”屋内外をつなぐ多目的スペース”として活用目的な点が特徴です。日本で一般化しているアルミのカーポートを欧米では一度も観たことがありませんので参考にしていただけたらと思います。
ガレージは“半屋外の部屋”という発想

フィンランドでは典型的なガレージの外観です。ガレージの左側は庭に向けて開放されています。
ガレージの奥は作業場兼倉庫?みたいな部屋があり出入口用のドアが付いていました。
内部は“作業場・収納庫”としての多用途空間

ガレージの内部は、素材やインテリアのサンプルを並べたミニショールームとして使われていますが、オーバースライダーのガレージシャッターのしくみがわかるので撮ったものです。
日本での応用:ガレージを「しまう」から「使う」空間へ
日本のガレージは「車庫」としての役割にとどまりがちですが、北欧のように“多目的スペース”として設計すれば、生活の幅を大きく広げることができるはずです。
〇家庭菜園の道具置き場+作業台
〇子どもの自転車やスポーツ用品のメンテスペース
〇リモートワークや趣味用の“セカンド書斎”
〇雨天時の物干しや簡易な作業スペース
周囲の普通に惑わされず、ガレージのある暮らしを今一度イメージし直してみるのも良いかもしれません。
北欧住宅のような家づくりは日本でも実現可能
北欧の家、日本とは違う海外の家という凝り固まった視点に囚われず、北欧の住宅展示場の実例を新たな視点で観ていただけたらうれしいですね。日本でもこのような快適性・デザイン性・断熱性能と三拍子揃った住宅建築は今や実現可能なのですから。
特に、岩手県をはじめとする東北や北海道のような寒冷地域では、高断熱・高気密・トリプルガラス・自然素材の考え方を取り入れたら四季を通して快適で心地よい時間を手に入れることができるはずです。
これまで私が海外の住宅を観てきたなかで、北欧フィンランドの家が、規模感・素材の質感・色彩など、私たち日本人の目にも肌にも一番馴染みやすいと感じます。これらから何か一つでもヒントを見付けてもらえたらうれしいです。
もし関心がありましら以下も。
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