高断熱住宅の窓周囲ヒートブリッジ対策を現場から

窓周囲ヒートブリッジ対策の現場の画像

現在進行中の、当社最高断熱スペック”無暖房の家”シリーズの現場から。

岩手の高断熱住宅に欠かせない窓周囲の断熱強化

超高断熱の家「無暖房の家」シリーズは三層の断熱層を持っています。。
構造壁厚内に収まる充填断熱に、二層の外張り断熱層が加わり計三層の断熱構成です。

高断熱住宅になればなるほど窓周囲熱橋は高断熱住宅の泣き所

二層ある外張り断熱層のうち、一層目の断熱層が三層ある断熱層の中で一番断熱性能が高く、且つ重要な役割を担っています。窓周囲には線状のヒートブリッジ(熱橋)というものがあり、断熱性能が低い住宅が一般的だったこれまでの状況ではそれほど問題にはならないことでした。それがHEAT20G2、G3(断熱等級6、7)が登場したでこれから顕在化してくる問題なのです。

一層目の外張り断熱層が重要!

窓周囲ヒートブリッジ対策の現場の画像
進行中の現場に立ち寄った際、外張り断熱2層のうち、一層目の断熱層を施工中で、その時偶然ヒートブリッジ対策施工済み部と未施工部の窓の両方を見つけることができたのでその二つを一つの画像に並べてみましたのでそれを観てください。

サッシ枠まで覆う外張り断熱層がポイント

左側写真窓上部は外張り断熱がまだ未施工。右側写真は上部も外張り断熱が施工された状態です。
一層目の外張り断熱層がサッシ枠見付け幅の一部まで覆って施工されているのがわかりますでしょうか。これが断熱性の劣る窓周囲熱橋を断熱で覆ってしまうことで熱橋を解消しています。

サッシ枠の断熱性能までも向上させる一石二鳥の熱橋対策

トリプルガラス(2Low-E アルゴンガス入り)レベルになると、サッシ樹脂枠よガラスの方が断熱性能が優れているのが一般的です。とすればできるだけ樹脂枠の断熱性能が上げられたらそれに越したことはありませんよね。サッシの樹脂枠を外張り断熱層で覆うことは、同時に樹脂枠の断熱性能を上げる効果もあるわけです。

ヒートブリッジ対策は窓の断熱性向上幅を調整可能にする

サッシ枠の断熱性能を左右する外張り断熱層の要素は三つあります。

①サッシ枠を覆う断熱材の性能

②サッシ枠を覆う断熱材の厚さ

③サッシ枠を覆う割合(見付け幅)

ここで一番おもしろいのが③です。

写真のようにサッシ枠見付け幅の半分程覆ってもいいし、サッシ枠全部を覆ってサッシ枠の断熱性能を最大限まで上げることも可能です。但し写真のサッシのようにカラーサッシを採用しながら枠全部を覆ってしまうのは本末転倒なので標準的に半分まで覆っているのが今の当社の現状です。

当然に、①+②+③を組み合わせでバランスをとることも可能なわけです。

外壁より奥まった位置に付いている窓は美しい

先日、大共ホームさんの建てる家は窓が内側に下がっていますよね。との言葉を頂いたのですが、そこに気付いてもらえただけで私としては嬉しくなりました。

外張り断熱層で覆うから窓面は外壁より内側になる

ヨーロッパからサッシを輸入するようになった頃から、サッシは外壁面より内側に取付されていました。ただそれは窓周囲のヒートブリッジなるものの存在を知らなかった頃の話です。単なるサッシの内付けという取付方法ですが、取付位置は任意に設定できるのですが、外張り断熱層で覆う熱橋対策では覆う外張り断熱層の厚さにサッシの取付位置は決定されることになります。

窓周囲ヒートブリッジ対策のまとめ

日本ではまだ問題視されていない窓周囲のヒートブリッジですが、ドイツでは当然に問題視されるのが当たり前になっています。ドイツではガラスのヒートブリッジとなるスペーサーの問題もかなり高いレベルで解決するための選択肢が容易されていますしね。日本で議論されないから問題ではない、ということにはなりません。きっと熱損失のことに限らず、家の耐久性に影響を持つようになるのももしかするとここからなのかもしれません。