岩手県は夏が過ぎると着々と厳しい冬を迎える心構えが出来てきます。陽が落ちる時間で思い知らされる日がこれから続くのです。ドキドキしますよ(笑
現在「なぜ、連窓デザインなのか?」を説明するプレゼン資料をデザインごとに違いがわかるように製作したいと思い、とりあえずテンプレ用に叩き台を作ってみることにしたのでそれについて紹介します。
岩手の冬を快適に過ごすためには、高気密高断熱住宅の設計が欠かせませんよね。その中でも、窓の選択は特に重要になります。当社で建築する家は窓が大きいし、窓が多いとよく言われます。その中でも連窓デザインの窓が多いのも特徴となっています。

そこで今回は、連窓デザインに焦点を当て、そのメリットや性能についてお伝えできたらと思います。
※ここで言う高断熱サッシとは、トリプルガラス樹脂サッシを前提にしています。
1. 連窓一体デザインと単体窓の断熱性能の違い
連窓一体デザインと単体窓を比較すると、断熱性能に明確な差が出ます。

– 連窓一体デザイン(3枚連続): Uw = 0.84 W/(m²K)
– 単体窓(3枚別々): Uw = 0.81 W/(m²K)
一見、単体窓の方が性能が良いように見えますが、実際の取り付け(一般的な半外付け)後の窓周囲熱橋を加味した窓全体の断熱性能(Uwinstalled)を見ると、
– 連窓一体デザイン: Uwinstalled ≒ 1.33 W/(m²K)
– 単体窓(3枚別々): Uwinstalled ≒ 1.65 W/(m²K)
連窓一体デザインの方が約20%も断熱性能が優れていることがわかります。これは、窓と壁との間の熱橋(熱が逃げやすい部分)比率が減少するためです。
2. FIX窓と開閉可能な建具付き窓の連窓デザインでの断熱性能の違い
FIX窓(固定窓)と開閉可能な窓の断熱性能を比較してみると、

– 開閉可能な窓: Uw = 0.97 W/(m²K)
– FIX窓: Uw = 0.93 W/(m²K)
FIX窓の方が若干断熱性能が高いことがわかります。これは、開閉機構がないため、熱橋となる建具部分が少ないからです。ただし、吹き抜け2階部なら良いですが、通風や非常時の避難経路確保のため、すべての窓をFIX窓にすることは適切ではありません。
3. 連窓デザインと大型単窓のメリット・デメリット
連窓デザインと同じサイズの大型単窓を比較すると、以下のような特徴があります。
連窓デザインのメリット:
-熱橋含めた窓の断熱性能が高い(前述の通り)
– 部分的な開閉が可能で、通風調整がしやすい
– 万が一の破損時、一部分のガラス交換で済む
– 分割ラインの寸法等デザインの自由度が高い
連窓デザインのデメリット:
– サッシの枠が増えるため、視界が若干遮られてしまう
– 大型単窓に比べてコストが高くなる可能性がある
大型単窓のメリット:
– 開放感のある眺めが楽しめる
– シンプルなデザイン
– 南面窓なら日射取得量が増える
大型単窓のデメリット:
– 断熱性能が連窓より高い
– 開閉時の操作が重くなる
– 破損時の交換コストが高い
結論として、岩手県の高気密高断熱住宅では、連窓デザインを採用し、且つ窓周囲熱橋(ヒートブリッジ)対策された施工を行えばねマイナス熱橋をプラスにすることも可能となり、優れた断熱性能と使い勝手の良さを両立できます。ただし、眺望を重視する場合は、一部に大型窓を取り入れるなど、バランスの取れた窓デザインを心がけることが求められます。
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