気温だけが暖かさ寒さの指標じゃない、気温を超えるものもある

年末年始のお遊び試験は昨日で終了。再度遊ぶとしても準備が整えば・・・なんだけど、キットしないと思う(笑 それと同時に進めていた遮熱関連の検証も機能で終了です。その終了ついでに片付け前にもう一遊びしてみることにしたのが塗り壁材の比較テスト。短い時間でしたが、それなりの違いが観えたので紹介しようかと。

仕上げ材としての有機材料と無機材料の熱反射と輻射熱比較

当社では外壁の仕上げ材として塗り壁を主にお勧めするようにしています。それは外部で一番弱いコーキング施工を避けるためと、仕上げ済み外壁材はいつ廃番になるかわからないリスクがあることを体験してしまったことが動機となっています。

当社では、有機材料と無機材料の2種類の塗り壁材を扱っています。
それぞれの特性を知らない若いスタッフも増えたので体験させる意味でもプチっと検証してみることにしました。

塗り壁材としての、有機素材と無機素材比較

赤外線ランプを備えた二つのBOXがあります。下の面が壁という想定で観てください。外壁材の上に塗り壁で仕上げられていて、左が有機系塗り壁材、右が無機系塗り壁材となっています。外壁材の下の空洞スペースが外壁通気層ですね。

有機系、無機系共、色は同色の白。この状態にして40分後が下の温度になります。

遮熱と輻射熱比較テストの画像

有機系塗り壁材の仕上げ面温度 37.9℃

無機系塗り壁材の仕上げ面温度 35.0℃

結果、無機系の方が2.9℃低く、赤外線の反射率は高そうです。

ここまでは良いとして、反射した熱の行方は・・ということで、側面上部温度を比較して観ると、

有機系塗り壁BOX側面温度     36.5℃

無機系塗り壁BOX側面温度  38.9℃

結果、先ほどとは逆で有機系の側面の方が2.4℃低い結果になっています。
有機系塗り壁仕上げが照射される赤外線の反射率が低くその分熱吸収が多いために、側面への輻射熱は小さくなっている。無機系塗り壁材の方が反射率が高い分、側面への輻射熱も多くなるということになります。

放射冷却と住宅展示場からの気付き

そんな熱の反射とか放射とか眺めていると、ふと主に放射冷却によって起こるトリプルガラスの外側結露や今時期に起こる氷結について、なんか不思議だよなあ、と思えてきたのです。

1月11日の放射冷却時の鬼越が池 アイスフロントの家と岩手山1

ウォーターフロントの家もこうなるとアイスフロントです(笑
でも、幻想的で惹かれるものがあります。

放射冷却な朝の南部赤富士的岩手山 (1)の画像

AM7:00 この撮影時点でのこの場所の外気温 -7℃

AM7:16 最低外気温は一気に -8.4℃ を記録

せっかくなので、ほか3枚ほども紹介。

放射冷却な朝の南部赤富士的岩手山 (2)の画像 放射冷却な朝の南部赤富士的岩手山 (3)の画像 放射冷却な朝の南部赤富士的岩手山 (4)の画像

4枚のうちでどれが一番好みでしょうか。1枚だけ紹介する時なんか、

 どれにすべ?

といつも迷ってしまいます(笑

1月11日住宅展示場トリプルガラス外側氷結

この朝、住宅展示場のトリプルガラス外には放射冷却による?氷結が。

放射冷却によるトリプルガラス外側氷結2の画像

この時点で午前8時過ぎ。
ここは結露や氷結しやすい定番の南面窓です。

ところがいつも氷結具合で言えばそれほどしっかりと出ることのない西側の窓も・・

放射冷却によるトリプルガラス外側氷結1の画像

このように、しっかりと外側が氷結して、まるで曇りガラスです。

住宅展示場の場所での最低外気温 AM7:00 -3.6℃

-3℃レベルなんてよくある外気温です。それで窓ガラスこんなに氷結するのですから・・不思議です。

前日の方がずっと寒かったはず。

岩手県滝沢市鵜飼1月10日最低気温の画像

1月10日 AM4:54  最低外気温 -6.5℃

なのにトリプルガラスに氷結はなかったわけ。

放射は外気温に勝る?

1月11日最低気温 -3.6℃なのに、ここまで窓ガラス外側が見事に氷結したということは放射冷却を受ける面て、‐10℃前後になっていた可能性があったのではないかと。

放射冷却の影響でどのくらい温度が違う?

放射を受ける面(地表や屋根、外壁面)の温度は、外気温より5~10℃程度低くなることが一般的
ただし、以下の条件によってその差は変動する。

雲の有無で冷却温度は変わる

晴天時は放射冷却が強まり表面温度が外気温より大きく低くなる傾向にあります。曇天時は雲が地表からの赤外線を反射・吸収するため、放射冷却度合は抑制されます。

風の有無の影響

風があると空気が循環し、表面温度が外気温に近づきやすくなります。風が弱いほど無風であるほど放射冷却の影響で表面温度が下がりやすくなります。

湿度によっても冷却温度は変わる

空気中の水蒸気は放射を吸収します。湿度が高いと放射冷却の効果が弱まり表面温度の低下は小さくなります。一方、乾燥した空気では放射冷却が強まり、温度差が大きくなる傾向にあります。

障害物の有無

空との間に、樹木や建物など障害物があると放射冷却は弱まります。放射面の天空に開かれた広さが影響します。

というような影響があるわけですが、ここで気になるのが、
晴天時は放射冷却が強まり表面温度が外気温より大きく低くなる傾向にあります。曇天時は雲が地表からの赤外線を反射・吸収するため、放射冷却度合は抑制されるってこと

曇天時は雲が地表からの赤外線を反射・吸収するということは・・

地表から雲までの距離ってどれほどの距離ですか。地表から雲まで赤外線が届くって・・冒頭の比較BOXどころの話ではありません。電磁波的には距離2乗分の一だったような・・

でもね、熱源を点で考えればそうかもしれないけど、線となり面となれば・・それも半球的な方位からとなればどうなんだろ?

などと考えたら・・・ おもしろい!

放射をもっと知りたくなってしまったかもしれません(笑

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