バラック小屋から始まった「一日上棟」の軌跡

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今日の現場も、無事に一日フレーミング(建て方)が終了。

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2階の外周壁を立てる際は強風にあおられ、スタッフたちが苦労した場面もあったようですが、午後4時にはすっかり片付けまで終え、屋根までしっかりシートで養生された現場の写真を眺めながら、私は今、心地よい安堵感と、どうしようもないほどの郷愁に浸ってしまいます。

今では当たり前のように行っている「一日フレーミング(一日上棟)」。 しかし、この形にたどり着くまでには、決して平坦ではない見守り続けてきた30年以上の月日があります。

「困った!」が、私を突き動かした

創業間もない37年前。運よく数件のご注文をいただけたものの、当時の私には「自前の大工」がいませんでした。以前勤めていた会社で付き合いのあった大工さんを拝み倒し、何とか引き受けてもらう。そんな綱渡りの毎日でした。

しかし、創業したての若造の仕事は、どうしても後回しにされます。

あっちの現場が忙しいから

今日は人が出せない

そう言われるたびに、私は施主様に頭を下げ続けました。工期は半年、あるいはそれ以上に延び、現場はいつ入るかわからない大工さんを待って、静まり返っている日が続く。

 このままではいいわけがない。。施主さんが嫌な思いをするような仕事はしたくない

その思いで、私は大工を「社員」として採用する決断をしました。それが、今の私たちの強みである自社大工による施工の第一歩でした。

忘れられない、あの雨の日の「無言」

社員大工が増えても、まだ解決できない問題がありました。それが「雨」です。 通常の建て方は2~3週間かかります。その間に雨が降れば、せっかくの構造材が濡れてしまう。

ある雨上がりの夕方、私は現場に向かいました。 そこで目にした光景を、私は一生忘れません。

施主さんご夫婦が、床に溜まった雨水を、合板の切れ端で必死に外へかき出していたのです。 私は怒られることを覚悟しました。しかし、奥様は潤んだ目で私を見つめ、ただ一言、

 自分たちの家だから……

とだけ仰って、また作業に戻られたのです。隣に立つご主人は、こわばった表情で、私に一言も発しません。

その無言は、どんな怒号よりも重く、私の胸に突き刺さります。アルミサッシだって、雨に濡れていたら施主さんは辛いんだ。ましてや家そのものだもの……。

この以前までなら、

 スタッフからどうして濡らしてしまうのですか?

と聞かれれば、

  業界では当たり前だよ。

さすがに、現場でのできごとをスタッフに話すと、

  もうそろそろ、その業界の当たり前というのを止めませんか?

この一言で、気持ちは固まったのです。

金がないことを忘れ、

 何としてでも家を濡らさない仕組みを作らなければならない!

この時の、申し訳なさと情けなさが、パネル工場を造るという無謀な挑戦への原動力になりました。

バラック小屋から始まった精鋭部隊の反乱

パネル工場といっても、当時は機械代を融資してもらうのが精一杯で、立派な建屋を建てる余裕なんてありません。

 パネルにすることが目的で、立派な建物が目的ではない

そう自分に言い聞かせ、近所の牧場主であるIさんに相談し、使っていない干草小屋を借りました。外から見れば、ただのバラック小屋です。

しかし、機械を入れても、現場のスタッフたちはパネル製作しようとしません。

 現場が忙しくて時間がねえすよ!

 パネルにしたって手間(人工)は変わんねえべえ!

彼らには彼らの誇りがあり、経験がありました。それを否定されたように感じたのでしょう。

3ヶ月経っても進展がない、ここまでは許せました。ところが、半年経っても動きがない。 ついに「仏のヒデちゃん」と呼ばれた?私も、堪忍袋の緒が切れます。

責任はすべて俺がとる!だから、言い訳せずに一度だけでいいがらやってみでけろ!

真っ赤な顔で怒鳴ったあの日。
それから数ヶ月後、工場でパネルを作る大工のEが、照れくさそうに私に言った言葉を今でも覚えています。

 いやあ、やってみだら大すた体が楽だぁす。
 早えす。こんなに楽だったら、もっど早ぐやってれば良がったす(笑)

私は心の中で「どの口が言うんだ!」と突っ込みながらも、ようやく胸を撫で下ろしました。 彼らは職人だからこそ、自分の経験を大事にする。けれど、一度良いと体感してしまうと、そこからの彼らの進化は目覚ましいものでした。

共に歩んでくれたすべての人へ
その後、北海道での視察を経て、

 あの人たずにでぎんだもの、俺だずにできねえわげがねえべ!

と目の色を変えたスタッフたちは、ついに一日上棟を成し遂げたのです。

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今日、強風に煽られながら屋根の上で作業をしていたスタッフたち。 みんながいるから、大共ホームの家は雨の日を避け、高い性能を維持できている。 不器用な私の我儘に付き合い、ここまでの技術を磨き続けてくれたことに、心から感謝したい。

困ったこと、苦しかったこと、そのすべてが、今の私たちの技術とやりがいになっているのだから。

一日上棟は、一日にして成らず

これを経験した、私たちだからできることがあるはず。

  今日も一日、

       お疲れ様でした!