この歳で、今さら新築なんて…
古くなって傷んだりしているところを新しくリフォームすればいい
そう思うのが一般的かもしれません。
しかし岩手のような寒冷地では、60代・70代からの新築は珍しい話ではなくなっています。
実際、多くのご夫婦が“寒さ”を理由に決断しているのです。
今回は、リフォームではなく新築を選んだ70代ご夫婦の事例を2つ紹介します。
60代・70代で新築を選ぶ理由は「寒さ」
一般的な高齢者住宅向けのリフォームでは、
バリアフリー化
手すり設置
廊下拡幅
浴室暖房
といった提案が中心なのではないでしょうか。
しかし実際の相談で、最も多い解決したいこととは、
岩手の冬は、とにかく家が寒い!
という声です。
【家を建てる前のリビング温度分布】
ソファ上は20℃以上あるのに、足元は10℃前後

【廊下温度】
廊下に出た途端、10℃以下
岩手の家は、これが普通なのかもしれない。
このような寒い家では、
ヒートショックのリスク増大
夜間トイレが苦痛
血圧上昇
睡眠の質低下
など、健康面への影響が大きくなりますが、
問題は、
これから先も、この寒さに耐え続けなければならないのか
この1点であり「家が古くなったから」ではないのです。
70代で家を建てるということ。
10数年前のこと
「すごいもんだ!」から始まった決断
岩手県北。
冬は、北海道と変わらない。
朝は氷点下‐20℃超える日もある。
窓は白く凍る。
廊下では息が白い。
そんな土地で暮らしてきた70代のご夫婦。
長い間、冬は耐えるものだった。
こたつに足を突っ込み、
その横にストーブを置き、
背中には綿入れをもう一枚羽織る。
灯油代は月に7万、8万。
そこに電気代も足せば、軽く10万円を超える。
暖房していないリビング隣りの部屋
氷点下に近いのに、
寒いのは当たり前のこと
そう思いながら、
何十年も冬を越してきた。
最初に家を建てたのは、息子さん家族。
完成した家で迎えた真冬。
外は凍える空気なのに…
孫たちが、半袖一枚で走り回っている。
床に寝転がり、笑いながら遊んでいる。
それを見て、お父さんは思ったと言います。
今の家って、すげえもんだなあ…
と。
ある日、息子さんが切り出したそう。
灯油代だけで7万8万だろ?
電気代も入れたら10万超えるでしょ。
それならさ、家建ててもローン払えるんじゃない?
理屈は、単純だったけれど、心が動いたのは、
理屈よりも、孫の姿だったのかもしれない。
70代での新築。勇気がいる。
今さら…
あと何年…
もったいない…
いろんな声が頭をよぎる。
でも、お父さんは決めた。
寒さを我慢する人生を、終わらせると。
住み始めて、最初の冬にお邪魔した時のこと。
廊下も、トイレも、脱衣室も、
どこにいても、同じ温度。
珍しくお父さんが、笑いながらずっと話している。
私は、正直驚いた。無口な方だと思っていたから。
思わず聞いてみた。
どうしてそんなに楽しそうなんですか?
お父さんは、笑いながら言う。
こたつがなくてもさ、
そばにストーブ置かなくてもさ、
厚着しなくてもさ、
家中どごさ居てもあったげえんだ!
こんなに楽しいことはないすべ。
その顔は、本当に嬉しそうだった。
暖かい家は、
ただ温度が高いだけではない。
人を変える。
寒さは、人を黙らせる。
肩をすくめさせる。動きを鈍くする。会話を減らす。
暖かさは、人をほどく。
声が大きくなる。笑いが増える。体が軽くなる。
あの日のお父さんは、別人のようだった。
岩手の冬は厳しい。
でも、家の中まで、厳しくする必要はない。
70代からの新築は、遅い決断ではない。
むしろ、
これからの時間を、どう過ごすかという選択。
灯油代10万円の冬を、何年続けるのか。
それとも、
家中どこにいても暖かい冬を、笑いながら過ごすのか。
あのお父さんの言葉が、今も耳に残っている。
こんなに楽しいことはないすべ。
暖かい家は、贅沢ではない。
これからの人生をどう楽しむか、その選択なのかもしれない。
なぜリフォームではなく新築なのか?
ある70代のご夫婦は、2,000万円弱の全面リフォーム見積りを受け取ったと言います。
そこで質問したそう。
これで、家は暖かくなるのすか?
しかし返ってきた言葉は、
普通です。
え、2000万円もかけるのに、普通って、何?
暖かくないってこと?
寒さの本質は、
➀外皮断熱性能の低さ
➁窓性能の低さ
③気密性能の低さ
になります。
設備更新だけでは、家全体の温度差は解消されません。
寒冷地では、断熱・気密を根本から見直す必要があるのです。
ある日、奥様が話を切り出したそうです。
おとうさん、
私たちって、世界旅行したいわけじゃないよね、
週1回、日帰りで温泉行けたらそれで十分だよね、
それならわたし…
元気なうちに、一度でいいから暖かい家に住んでみたい
この言葉でご主人の覚悟は決まったのだそうです。
奥様が最初に動き、ご主人が決断する
多くのケースで、
最初に暖かい暮らしを求め、新築を考えるのは奥様
リフォームでいいと考えるのはご主人
という傾向があります。
暮らしを中心に考える女性は、
キッチンの寒さ
脱衣室の冷え
床の冷たさ
を日々体感しているからではないでしょうか。
特に、冬はお風呂の寒さが耐えられないので、毎日温泉に行く
という話を複数のご夫婦から耳にしたことがあります。
中には、水回り設備も外壁・サッシも内装も全部新しくしたのに、
結局寒さは変わらず、冬の毎日の温泉通いは変わらないまま。
というご夫婦もいらっしゃいました。
毎日、温泉に行きたいから行くのではない。
暖かい家で、寒さを気にせず、お風呂にはいりたい。
ただ、それだけなのです。
その願いを叶えるため、最後にご主人が覚悟を決める。
死ぬまでに一度でいいから暖かい家に住みたい
その言葉が、新築という選択につながるのです。
60代・70代からの新築は遅くない
60代・70代からの家づくりは、贅沢ではありません。
寒さを終わらせるための決断。
リフォームか、新築か。
判断基準は一つ。
家全体が本当に暖かくなるかどうか。
それだけです。










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