岩手県盛岡市西松園で先週末開催した完成住宅見学会を終了。
悩むから始まる、のも家づくりかもしれません
家を何とかしたいと考え始めて、その過程で何も悩まず決めたという人に出会ったことがありません。
土地から購入する人は、先ずどこに土地を求めるのかで悩む。
・子育ての利便性:保育所は、幼稚園は、小中学校は? 学童は?
通学距離は子ども足でどのくらい時間がかかるか。通学路に交通量の多い道路を横断するしないなど。
・通勤の利便性:勤務先への公共交通機関のアクセス。車通勤なら道路の混み具合や通勤時間など。
・親元から利便性:実家から近い場所、あるいは親が立ち寄りやすい場所をと考えるケースも。
・土地の予算:地域差による価格帯、求める土地の広さをどのようにするか。
・土地建物の予算配分:どちらに重きを置くか。
持ち家の人は、リフォームか建て替えかで悩む。
毎年訪れる寒さ厳しい岩手の冬、冷え込みを感じ始める10月、本格的な冬の訪れを感じる11月、
もう冬が来てしまうのかあ、、
冬の寒さを何とかしないとと、毎冬思うのに何もしないままにまた冬が来る。
と憂鬱な気分になるのだと言います。
そこで冬の寒さを何とするための改善手段として浮かび上がるのが、リフォームか建て替えかです。
寒い家を自分でできることには限界がある
ホームセンターでは様々な冬対策グッズが売られている。窓の隙間埋めテープとか、結露防止テープ。窓下ヒーターだってある。以前、ホームセンターのプチプチ売り場で店員さんに、これを窓に張ったら暖かくなるかと訊いている年配の方がいた。訊かれた店員さんも困った様子で、「これで家が暖かくなるほどの効果はありませんが、窓際で感じる冷えを減らす効果はあると思います」と。この返事を聴いたお客さんはがっかりした様子で結局プチプチを買わなかった。個人でできるのは一般的にこの程度までのことなのです。
リフォームで家は暖かくなるか
築30年以上ともなれば、断熱だけでなく水回りその他改善したくなるわけです。以前ある方がまるで新築のような全面リフォームの見積依頼し、小さな家の新築並みの見積額を受け取った際、
この工事をしたら家は暖かくなるのか?
と訊くと、
普通です。
との回答が返ってきたそう。
普通ってなんだ?
と困惑してしまったのだとか。当たり前ですよね、どの基準での普通なのかがわからないわけですから。
暖かい高断熱住宅目的ならリフォームでは困難
リフォームでいいと考える動機は、工事費が安く済むと思ってのことのようですが、新築並みの高断熱化となればそう簡単ではありません。その辺のところを詳しくお話します。
30年も住み慣れた2階建ての夫婦二人で暮らす家
30年も暮らした家の場合、ほとんどは子育ても終え、子どもたちは自立しているのが一般的です。断熱を除いて考えたとしても老後の生活には2階は不要なので、一階だけでの生活を考えたリフォームになるのが一般的です。
普段使わなくなる2階までも高断熱化工事をかけるムダ
人のいない2階まで断熱工事をするとなると、使わない2階に工事費をかけるのはもったいないと誰しも考えるはずです。そこで2階だけを撤去する減築をして一階に必要なスペース分を増築し、そのうえで断熱すれば良いと考えがちです。ところが、経験で言うならこの方が断熱レベルを同じにと考えるなら、新築より工事費は高くなるはずです。そして工期も新築より長くなるでしょう。
岩手で夫婦二人住まいなら平屋への新築建替えの方が確実
岩手県より温暖な地域ならまだしも、少なくとも岩手で既存住宅を断熱化するためには、まず気密化をどこで施すか、在来の場合だと壁と床・天井の気流止めの手間暇は新築の数倍かかります。外壁を剥がし外張り断熱施工する場合でも、壁で屋内外を貫通している機器を一旦すべて取り外し、それから外壁を躯体を傷めないように剥がしていくことを考えるとこの施工費も新築よりずっとかかりますからね。
以上のような事情もあり、確実に暖かい家をと考えた結果、今回の見学会の家は建替えとなった次第です。
陽射しが暖房の役割を担う高気密高断熱の注文住宅
断熱されていない、もしくは低断熱の家は陽射しで室温を上げるなんて、殆どの方は考えないと思います。ですが、住宅が高断熱されればされるほど、お日様は暖房能力を増すことになります。
陽射しの入る南面窓は輻射暖房機

岩手県盛岡市西松園のお天気の良い昨日リビングの様子を観て下さい。陽射しが家内部に入り込んでいるだけで暖かそうに見えませんか。実際にも暖かいのですけどね。
岩手県盛岡市で南面窓陽射しの熱エネルギー 150 W/㎡・h
(12月1日、盛岡市、快晴時、日射透過率50%で換算)
この日射だけでこの高断熱の家なら、室温を6.5℃程押し上げる力を持っています。
快適さと心地よさと健康に
最近ではやっと、高断熱住宅=省エネ住宅としても認知されるようになってきました。高断熱住宅ってそれだけではないですよね。

こちらの窓際に腰掛け、陽だまりの中でコーヒータイムでも、読書でも、趣味の時間でも過ごすことを想像してみてください。窓から入り込む陽射しの入射角はもう冬。ですが、窓越しに風景は秋。ここから見える色づいた木々を眺められる精神的余裕を感じ取れるのではないでしょうか。
調べてみると陽射しの健康面での効果は、
ビタミンD合成の促進
ガラス越しであっても、UVB波は一部透過するので、皮膚でのビタミンD合成が促進されます。ビタミンDは、以下の健康効果があります。
・骨の健康維持
・免疫システムの強化
・気分の改善(特に冬季うつの予防に効果的)
体内時計の調整
自然光を浴びることで、良質な睡眠が得られやすくなります。特に冬の短日期間において重要。
目の健康
自然光に含まれる青色光は、近視の進行を抑制する効果があるとされています。特に成長期の子どもにとって重要とか。
美肌効果
・メラニン生成の適度な促進による肌の保護
・血行促進による肌のトーンアップ
・コラーゲン生成の促進
そのほか、以下の効果も。
自然光を浴びることで、セロトニンの分泌が促進され、気分が向上する精神的効果。
室内で植物を育てる場合、南面の窓からの日光は植物の成長促進効果
大きな窓から外の景色を眺めることで、室内にいながら自然とつながる感覚が得られ、精神的なリラックス効果
過度は禁物ですが、一日30分でも陽射しと暮らせるとしたら、岩手の冬もストレスなく、楽しく過ごせそうだと思いませんか。
新旧の家への思いを繋ぐ家づくり
今回お施主様からのご要望で、今まで住んだ家の一部でも新しい家に使えないでしょうか?例えば吹き抜けにあった梁とか利用できるなら・・・

との要望から、解体時に外して置いた梁を2カ所に採用しています。こういうのも注文住宅ならではですね。
今週末にはお引越し。
今年の冬は格別なものになること請け合いです。
コメントを残す