冬の室内は乾燥して当たり前?温湿度環境共有サイトを公開

温熱環境のリアルの画像

20年ほど前の私なら、冬の室内は乾燥するのが当たり前だと思っていました。
実は20年前にお世話になった施主さんから、

 うちの家の湿度は50%、同時期に家を新築した友人の家は30%以下なそうで、
 加湿器を5台も6台も稼働させても40%に届かないとか。何が違うの?って聞かれたのですが、

 うちの家はなぜ乾燥しないの?

との質問メールでした。その後何軒か同じような話を耳にするようになったのです。片や当たり前に過乾燥で悩むお宅がある現実。これが冬の湿度への疑問の始まりでした。

同じ住宅規模、同じ断熱レベル、似たような家族構成なのに、なぜこれだけ湿度が違ってしまうのだろう?

高断熱住宅に、浴室換気は1年中不要かも?・・

スタッフの自宅で、30%切る湿度が45%程までに改善したという再現性を確認できたことから、それなら施主の皆さんに光熱費データと合わせて暮らし方調査を、と実施したのが2020年です。

ご協力いただいた40軒を超える、そのアンケート集計結果から導かれたもの、

それは、

同じ高断熱住宅でも暮らし方で温度湿度も光熱費も変わる

というものでした。

このことは、その後口頭でお伝えするようにしていますし、GWイベントの際に遊びにいらしてくれた施主さんにもお伝えしたりもしていますが、

ぜひ、お風呂の換気扇を回さずに一度試してみてくださいね。

と、さすがに提案レベルでしか言えません。伝わらないもどかしさを持ちながら過ごして数年。

インスタのようにリアルな温度湿度環境を共有できたらいいですよね。

とのスタッフの一言から始まったのが今回の企画です。

私たちは、

実際に10軒以上の施主様の協力により温度・湿度データを共有するサイトを公開!

温熱環境のリアルの画像

当社HPトップページにあるリアル計測の欄の下のリンクから見ることができます。
この実例を通じて「高断熱住宅」だからこそ実現できる良質な温湿度環境をリアルを知っていただけたらと思うのです。

冬の乾燥は本当に避けられないのか?

当社の住宅展示場で一冬加湿方法などいろいろ試してみたこともあるのですが、良好な結果は得られませんでした。でも、今なら言えるような気がします。

「冬は乾燥するもの」その常識を一旦リセット!

以前の私と同じように、多くの方が「冬の乾燥は仕方がない」と諦めていないでしょうか。
でも、それは本当でしょうか?

そもそも乾燥の原因をゼロベースで考えてみると、
・外の冷たい空気が暖房で温められる際に相対湿度が下がる
 だから湿度を保つために室温さげたりしていないでしょうか
・換気によって屋外の乾燥した空気が入ってくる
・家の断熱性能と気密性が低く、室内の湿気も逃げやすい

という3つの要素に行き着きます。
つまり、「乾燥は当たり前」ではなく、「住宅の性能と生活スタイルでコントロールできる」問題だったのです。

高気密・高断熱住宅なら乾燥を抑えられる理由

高断熱住宅は、温度と湿度を逃がしにくいため、乾燥を軽減できます。
さらに、適切な換気と不要な換気を組み合わせることで、理想の湿度環境を作れるのです。

実際、私たちが公開した10軒のデータでは加湿無しで湿度40%~50%以上を維持できている家が数軒あります。「冬は加湿器をつけても追いつかない…」と悩んでいる方こそ、ぜひチェックしてみてください。

「乾燥する」ではなく「適湿を保つ」ための住まい方

ここで逆転の発想をしてみます。
「冬の乾燥をどう防ぐか?」ではなく、「どうすれば快適な湿度を維持できるか?」に視点を変えます。

もし「加湿器なし」で快適な湿度が保てる家があったら?

普通の家では、冬になると加湿器が欠かせません。
でも、高気密高断熱住宅では「そもそも乾燥しにくい家づくり」なのですから、あとは住まい方です

・断熱性能を上げ、調湿性素材を仕上げ材に採用し室内の水蒸気を逃がさない
・換気を必要最小限にし、過剰な乾燥空気を取り入れないようにする
家内にある湿度発生源特に浴室、炊事洗濯物、観葉植物・調湿機能など)を活用

こうした工夫をすることで、加湿器に頼らず快適な湿度を維持する暮らしが実現できるのです

温湿度のバランスを考える

「室温」と「湿度」は切り離せない関係にあります。
厳しい岩手の冬だけでなく、四季を通じた住まいの快適性を考えてみましょう。

温度と湿度の相互作用

たとえば、冬に暖房を強くすればするほど、湿度は下がる傾向にあります。
しかし、高断熱住宅は少ないエネルギーで家全体を暖めるため、過剰に温度を上げる必要がなく、湿度を適切に保ちやすいはずです。

また、調湿機能のある素材(無垢材・珪藻土・漆喰など)を活用すると、家全体で湿度を調整することになります。

長期的な健康への影響

快適な温湿度環境は、健康にも大きな影響を与えます。
・乾燥しすぎると…ウイルスが活性化し、風邪やインフルエンザのリスクが上がる
・湿度が適正なら…呼吸器や肌に優しい、健康的な生活ができる

つまり、高断熱住宅は「エネルギー効率がいいだけでなく、健康にも良い」というメリットがあります。

適正な温度湿度は四季によって違ってもいい

私が個人的に感じていることですが、一般に理想的な湿度は60%と言われています。風邪の家庭内感染予防策としても湿度50%以上60%あれば良しとのことのようですが、内外の温度差があると人間の体はそのギャップに追い付いていけないように、湿度もまた同じなのではないかと思います。特に岩手の冬は40%~50%位が丁度良いのでは?と思うようになっています。

湿度を楽しむ家づくり

最後に、乾燥を防ぐだけでなく、湿度を活かしたライフスタイルを考えてみても良いのではないかと思います。

暮らし方で変わる湿度と遊んでみる

お風呂の換気扇を使わずにお風呂に入ってみる。その後、浴室ドアは開け放しに。台所換気扇を最小限の使用にしてみて、漆喰の消臭効果を確認してみるのも楽しくなるかもしれません。

洗濯ものに頼ってみる

便利な乾燥機ですが、冬は乾燥機を控えてみて、乾燥気味な冬にどれだけ時間で洗濯物が乾くか試してみると…意外な結果になるかもしれませんしね。

これで湿度何%確保!これをやったら湿度何%確保!ここまでやったら・・・計何%上がった!

ていう風に、暮らしの中で湿度を楽しむ発想を取り入れることも、より豊かな住環境を実現するためのコツなのかもしてませんよ。

まとめ:思い込みの生活スタイルを疑ってみる

私たちは育った環境で身に付いた固定観念に囚われてしまっていることが意外に多いのではないでしょうか。それは私たち家のつくり手にも言えることですが。冒頭にお伝えしたように、施主さんから疑問を投げかけられたり、暮らし方を教えてもらえることで気付くことばかりです。

最初は、なぜ?から始まります。窓周囲のヒートブリッジもそうでした。ψinstallの知識もなく発見した時にはパニックです。

例えば、今朝の当社住宅展示場の温度。

室温より内壁表面の温度が高くなってしまう現象が・・
2025年2月17日午前9時の室温と内壁温度の逆転現象の画像
この逆転現象を4日ぶりに確認。

なぜ、こうなるのかわけがわかりません。

私たちはより効果的な家づくりを模索し、施主さんたちはより効果的な暮らし方を見つけたいものです。

今回公開したリアルな温湿度共有サイトが暮らし方改善の一助になれたら・・・と思っています。

2件のコメント

より良い生活様式を取り入れるきっかけになりそうですね。私も投稿・参加について妻と検討します。
我が家は1Fで加湿器を常時使用しないと乾燥傾向になります。(暖房は1FのみでAC24h稼動)
・1Fリビングのここ1週間の平均室温は24.3℃、相対湿度の平均は45%(最高56%、最低41%)。
 一方で温風が強制対流しない2F階段室の相対湿度は平均53%(最高58%、最低47%)
・1、2Fとも室温はほぼ同値なので、相対湿度差8ポイントのカギ・原因は温風が強制対流するかどうか、また、暖気は自然上昇しますから湿気とともに2Fに溜まるのが原因ではと予想しています。
・乾燥傾向になることは24h換気が働いている証拠でもある中で、あとは親方推奨の浴室内の湯気を利用する様式を取り入れて、できるだけ加湿器に頼らない生活を目指してみます。(長文失礼しました)

いつも貴重な情報をありがとうございます!
これまで私たちは施主さんたちからお聴きした内容を纏めたりした上でお伝えしたりしておりましたが、先ずは簡単にリアルな温湿度を共有できることが大事ではないかと考えた結果が今回公開したサイトでした。
公開ページでは3日間の表示でしかありませんが、投稿ページからは過去すべての投稿を観ることが可能です。
また暮らし方なども共有できるように工夫したいと思っていますので、ご参加いただけるようでしたらいつでもご連絡ください。

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