そろそろ暖かくなってきたこともありこの辺で一旦、年始から始まった温度への疑問を、まとめておこうかと思います。
事の発端は年末年始を使って複数のお運び試験をしていた時のことです。
先に言い訳しておきますが、家に居場所がないのでも仕事が溜まってる訳でもないです。これが昭和な私の休日の過ごし方なだけですので(笑
室温より外周壁室内表面温度が高い
1月1日午後4時過ぎ、
何気に、住宅展示場の断熱層内温度を眺めていて、

外気温 1.5℃ 外張り断熱層外側 4.6℃、外張り断熱層内側 9.8℃、充填断熱層内側 19.2℃、室温19.8℃です。順当な温度分布です、何の疑問もありません。
ふとここで、室内側ボード裏温度19.2℃、室温19.7℃かあ、
壁表面はこの温度の間なんだろうけど、19.4~19.5℃くらいなんだろうか・・
今まで気にもしたことなかったけど、今確認してみよう!
てことで確認してみると、

室温と外周面温度が逆転する
!? 20.5℃って・・
ボード裏より温度高いのはわかるけど、なんで室温より高くなるの?
単なる確認だけのつもりが・・・想定外の温度です。
頭の良い方なら疑問にもならないことかもしれませんが、何事も体験型の私のお頭ではどうも理解できないことだったのです。
高断熱住宅の体感温度を上げるヒントに
体感温度=室温/2 + 室内壁面(窓含む6面)の平均温度/2
と言われています。(対流や湿度などもあるでしょうけど、それは置いといて)
となれば、室温より居住空間の壁面温度が高いということは、体感温度を上げられるってことなるわけだから、この逆転現象の要因が分ったら・・面白いかも?と。
温水床暖房に因る輻射熱
室温と壁面温度の逆転していることを確認した時、最初に想定したのが床暖房からの輻射熱です。床面から放射された熱が空気を透過し壁の温度を上げているのかも?と考えてはみたものの、その後測って観ていると、常時温度が逆転するのではなく逆転するのは珍しいので、そう単純ではなさそうなのです。
温度をずっと観続けたら・・・何かわかるだろう
窓周囲に存在するヒートブリッジψinstall(線状熱損失)もそうだったように、あれやこれや測り続けていたら、何か分かってくるものもあるだろうってことで毎朝のように放射温度計でチェックするようになります。
2月2日住宅展示場の朝の室温と内壁表面の逆転現象

この時の室温17.9℃に対し、外周壁室内表面温度 19.1℃、室温より壁表面は2℃も高い
2月9日の温度状況

AM9:00 室温18.3℃に対し、外周壁室内表面温度 18.5℃、室温より壁表面はほんの少しだけ高い
ところがです、

それが、2月2日 PM1:00になると、
室温20.6℃に対し、外周壁室内表面温度 19.7℃、室温と壁表面温度は朝とは逆転しています。
2月15日の温度状況

2月15日 AM9:00
室温19.5℃に対し、外周壁室内表面温度 18.4℃、室温より壁表面は0.9℃ほど低く通常です。

この日の最低外気温 -0.1℃ 最高外気温 7℃
2月17日の温度状況

この時の室温19.5℃に対し、外周壁室内表面温度 21.2℃、室温より壁表面は1.7℃も高い
3月3日温度状況

この日、AM9:00時点 室温21.5℃に対し、外周壁室内表面温度 21.8℃、室温より壁表面は0.3℃高い
それが、

やはり、
AM12:00 室温21.8℃に対し、外周壁室内表面温度 21.5℃、室温より壁表面は0.3℃ほど低く、朝とは逆転する結果に。
ここでこの日の

3月12日の温度状況
AM9:00 室温 22.2℃ 壁表面 22.0℃
通常と思うも、もし想定通りなら夜の温度もチェックしないと・・
てことで確認してみると・・

同温になっています。

要因として考えたのが、室温と壁表面の逆転現象が起きるのは、
- 床面から輻射影響
- 漆喰壁の蓄熱作用で温度低下を抑制するので逆転する時間帯がある
- 日中の日射取得影響
- 放射冷却
等々想定するのですが・・・
その都度期待に反する結果になるのです。上の温度推移を観てください。
緑:外気温推移 水色:外張り断熱層外側温度推移
このように外気温の高低差が激しい時は、外気温に遅れて外周壁内温度は変化するので温度が逆転する場面があります。このような状況は温度計測しているとよくあることなので、この逆転した部分を切り取りしているのかとも想定しましたが、どうやらこれとも違うようなのです。
高断熱住宅の不思議な温度のまとめ
私はずっと、壁を中心に観ていました。輻射で壁面温度が高くなるのも、梁面の温度が高くなることを確認できたのでそれもゼロではない。温度逆転現象が朝方に多いことから放射冷却による室温低下の影響もゼロではないし、日中の外気温上昇や日射熱を蓄熱性が表面温度低下を抑制することで温度が逆転する時間帯がある、ということもゼロではないように思います。
ここからは、あくまで現時点で感じている私見です。
3月12日の温度推移をもう一度観てください。
紫:室温 赤:内壁裏 グラフは0時~24時までの推移を示します。
グラフ真ん中ら辺の日中に温度差があり、夜間に温度差は小さくなりほぼ同温の状態になっています。これは外周壁から冷やされ室温が下がったのではなさそうで、先に室温が冷やされているように観えます。それでは壁でないとしたら・・そうです、考えられるのは、
室温は窓から先に冷やされている
のではないかと、考えるようになります。
トリプルガラス樹脂レベルでも冷えは窓から室内に回り込む
この10年、窓がトリプルガラス樹脂になり、ある程度は窓の断熱は満たされたような気分になっていました。あわよくばクワトロガラスも視野に入れてはいたものの、私の中ではそれほどまだ重要な位置は占めておらず、既にヨーロッパにはあるのだから選択肢としてあるべきだと。その程度だったかもしれません。
窓を現状レベルのままで断熱を厚く施工して断熱等級のUa値をクリアすることの意味が、正直わからなくなってきます。だからと言ってないものねだりをしてもしょうがありません。自分たちでできること、窓周囲のヒートブリッジ対策と合わせてトリプルガラスより断熱性能の低いサッシ枠の性能強化を本気で考えないと、と新たに気合を入れ直したところです。
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