寒い窓は内側に結露、暖かい窓は外側に結露を証明してくれる放射冷却

2階3層ガラス外側結露の画像

自宅で今朝、カーテンを開けるとトリプルガラス面に広がった外側結露を確認。

 おお、久しぶりにしっかりした結露だよ♪

となれば、当然当社住宅展示場も結露しているわけで、早めの出勤となるわけです。

冬の朝、高性能窓が見せる意外な現象

今朝の最低外気温は-3℃。サーモカメラで外壁温度をチェックした時点では外気温-1℃まで上がっていました。この時、室内温度は17.9℃。床暖房の輻射熱により、天井の梁面温度は室温より0.6℃高い18.5℃を示してくれています。

1階リビングフォールディングドア外側結露の画像

リビングのフォールディングドアのカーテンを開けて見ると、ガラス外側一面に水滴がびっしり。

2階の窓も同じく外側が結露で曇っています。さらに、凍っていた結露が外気温上昇で溶け始め、水滴となって流れ落ちる様子も確認できました。

 あれ?窓の結露って内側にできるものじゃないの?

そう思われる方も多いでしょうね。実は、この「外側結露」こそが、高性能トリプルガラス窓の証なのです。

放射冷却が引き起こす外側結露のメカニズム

私が初めて自宅の窓に結露を確認した時は、

  えっ!? どうして? 結露?

ガラスに触れてみると、内側ではありません。でも、どうして外側結露するの?
トリプルガラスなのに・・・〇×▽×××動揺したものです。

これが、放射冷却×高性能なトリプルガラスのコラボだったわけ。

放射冷却とは何か

放射冷却とは、物体が赤外線を放射することで熱を失い、温度が下がる現象です。特に冬の晴れた夜間、雲がない状態では、地表や建物の表面が宇宙空間に向けて熱を放射し続けます。この熱の逃げ場がない状態が続くと、表面温度は外気温よりも低くなります。

放射冷却で冷えた外壁‐6℃の画像

今回サーモカメラで撮影した外壁面は、まさにこの放射冷却の影響を受けている状態です。この時の外気温-1℃に対して、外壁表面温度は-6.0℃まで下がっています。これは外壁が夜間を通して宇宙空間に向けて熱を放射し続けた結果です。

なぜトリプルガラスの外側が結露するのか

従来の単板ガラスや古いペアガラスでは、室内の暖かい空気の熱が窓を通して外へ逃げていくため、窓の外側表面温度は外気温より高くなります。そのため、外側に結露することはほとんどありません。逆に、熱が逃げることで窓の内側表面温度が下がり、内側で結露が発生するのです。

しかし、高性能なトリプルガラスは断熱性能が極めて高いため、室内の熱がほとんど外に逃げません。その結果、一番外側の窓ガラス表面温度は外気温に近い、あるいはそれよりも低い温度になります。

放射冷却が加わると、ガラス表面は外気温以下まで冷え込むのです。
このトリプルガラス外側結露の理由がわかってしまうと、不思議なことに、結露は楽しみに変わります。

サーモグラフィーが証明する断熱性能の違い

それからサーモカメラ持ち出したついでに、室内の温度もサーモチェックします。

輻射熱で暖かい天井梁

床からの輻射熱で暖かい天井の梁+0.7℃の画像

サーモカメラの画像を見ると、室内の天井梁が18.6℃を示しています。室温が17.9℃なのに、梁の表面温度が0.7℃高いのは、床暖房からの輻射熱が天井まで到達している証拠です。

この状態は、室内の熱が上下方向に均一に分布していることを意味します。足元が冷えず、頭上も過度に暖かくならない理想的な温熱環境が実現できている証です。

屋外デッキの手すりガラスに見る結露の正体

屋外デッキの手すり部分のガラスを見ると、ガラス表面がびっしりと凍っています。これも放射冷却の典型的な影響です。

手すりのガラスは両面が外気にさらされており、室内からの熱供給は一切ありません。夜間を通して放射冷却で冷やされ続けた結果、表面温度は外気温を大きく下回ります。朝方の湿った空気がこの冷えた表面に触れると、水蒸気が凝結して霜となり、ガラス全体を覆っているのです。

この現象は、住宅の窓ガラスの外側結露と本質的に同じメカニズムです。違いは、住宅の窓には室内側からの熱があるため、ガラスの温度勾配が存在することです。しかし、高性能トリプルガラスの場合、3枚のうち一番外側のガラスはこの熱の伝わりが極めて少ないため、手すりガラスに近い状態になるというわけです。

結露パターンから読み解く窓性能

1階リビングフォールディングドアの外側結露

1階リビングフォールディングドア外側結露の画像

フォールディングドアのガラス全面に水滴が付着しています。この均一な結露パターンは、ガラス面全体の温度が均一であることを示しています。もし断熱性能にムラがあれば、部分的に結露が強い場所や全く結露していない場所が生まれるはずです。

また、注目すべきは窓枠やサッシ部分の結露状況です。ガラス面ほどではないものの、枠部分に近いところまで結露しているから、窓システム全体として高い断熱性能を実現していることが分かります。

2階窓の3層ガラス外側結露

2階3層ガラス外側結露の画像

2階の窓も同様に外側結露が発生しています。縦長の窓が3枚並んでいますが、すべてのガラス面で均等に結露しています。これは、各窓の断熱性能が安定していることを意味します。

特に下段の小窓部分も同じように結露していることから、窓のサイズや取り付け位置に関わらず、一貫した性能が確保されていることになります。

凍りから結露への変化

3層ガラス外側が氷から結露に?の画像

ちょっと興味深いのは、凍っていた状態から液体の結露に変化する過程を捉えたことです。太陽光は当たっていないのに氷の結晶が溶けて水滴となり、流れ落ちています。

この現象は、外気温‐1℃であってもガラス外側表面温度が0℃以下から0℃以上へと上昇したことを示しています。夜間の放射冷却で氷点下まで冷やされたガラスが、気温上昇+室内温影響により、徐々に暖められていく様子がわかります。

外側結露は窓の断熱性能の証明

窓の進化を物語る現象

かつて、窓の結露といえば内側結露のことでした。冬の朝、窓ガラスがびっしょり濡れて、カーテンまで湿ってしまう。サッシの下にはカビが生え、結露受けに溜まった水を捨てる日課がある。そんな光景は、日本の冬の住宅では当たり前だったのではないでしょうか。

これは窓の断熱性能が低く、室内の熱が窓を通して大量に逃げていたことが原因。熱が逃げることで窓の内側表面温度が下がり、室内の水蒸気が凝結していたからです。

しかし、高性能樹脂トリプルガラスの登場により、状況は変わったのです。熱がほとんど逃げないため、内側表面温度は室温に近い状態を保ちます。その結果、内側結露は発生せず、逆に外側が結露するという、従来とは真逆の現象が起こるようになったのです。

お施主様への説明ポイント

 外側が結露していますが、大丈夫ですか?

というお問い合わせをいただくことがあります。これは当然の疑問です。私もそうだったように、長年、結露=悪いものという認識があるからです。

しかし、外側結露は窓の高性能を証明する現象です。

以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 内側と外側の違い
内側結露は室内の水蒸気が原因で、カビや腐食、建材の劣化につながります。一方、外側結露は外気中の水蒸気が原因で、室内環境には一切影響しません。

2. 発生条件の違い
外側結露は、放射冷却が起こる年中晴れた朝に限定的に発生する可能性があります。外気温が上昇するか、太陽が高く昇れば自然に乾きます。殆どが朝方だけで、一日中発生し続けるものではありません。

3. 性能の証
外側結露が発生するということは、室内の熱が外に逃げていない証拠です。暖房エネルギーのロスが極めて少なく、省エネ性能が高いことを意味しています。

住宅価格の現状を業界紙から

ずっと上昇ばかりで止まらぬ建築費。全国平均凄いことになっています。
こんな金額みてしまうと、うちの会社は遅れてる?みたいな気分になってしまいます。

戸建て注文住宅の建築費用が4,760万円に

まだ高騰する住宅価格の画像

住宅産業団体連合会が12月3日に公表した「2024年度戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、2024年度の建築費は平均で4,760万円となりました。土地を含む住宅取得費は平均7,006万円に達しています。

建築費のみを見ると、土地を購入しての新築の検知日が4,406万円、土地代がほぼかからない建て替え(古家解体・新築)は5,268万円でした。相対的に建築費のグレードを高めている傾向が見られます。

この価格上昇の背景には、以下の要因としてあります。

1. 建築資材の高騰
木材、鋼材、断熱材など、あらゆる建築資材が値上がりしています。特に輸入資材は為替の影響も受け、大幅な価格上昇となっています。

2. 人件費の上昇
建築業界の人手不足は深刻です。職人の高齢化が進み、若手の育成も追いついていません。需要に対して供給が不足しているため、人件費は上昇傾向にあります。

3. 性能基準の向上
省エネ基準の義務化、耐震性能の向上、長期優良住宅の普及など、住宅に求められる性能水準が年々高くなっています。高性能化には相応のコストがかかります。

高性能窓への投資価値

建築費が上昇する中、どこにコストをかけるべきか。この判断が重要になります。

窓の性能向上は、初期コストは確かに高くなります。一般的なペアガラス樹脂サッシと高性能トリプルガラス樹脂サッシでは、窓1箇所あたり数万円から十数万円の差が生じます。住宅全体では数十万円から百万円以上の差になることもあります。これはより高性能な当社で扱うトリプルがrスドイツ樹脂サッシでも同じことが言えます。

しかし、長期的な視点で見ると、この投資は確実にリターンをもたらします。

1. 暖冷房費の削減
熱損失が少ないため、暖冷房のエネルギー消費が大幅に削減されます。年間数万円の光熱費削減は、10年、20年と積み重なれば大きな金額になります。

2. 快適性の向上
窓際の冷気感がなくなり、室内温度が均一になります。結露が発生しないため、カビやダニの発生も抑制されます。この快適性は金額に換算できない価値があります。

3. 資産価値の維持
高性能住宅は中古市場でも評価されます。将来的な売却や賃貸を考えた場合、性能の高さは大きなアドバンテージになります。

4. 健康への投資
室温が安定し、結露によるカビが発生しないことは、住む人の健康に直結します。アレルギーや呼吸器疾患のリスクを減らせることは、医療費削減にもつながります。

まとめ:放射冷却が教えてくれる窓性能の真実

朝の外側結露は、放射冷却という自然現象が、窓の性能を可視化してくれた貴重な機会なのです。

サーモグラフィーで見た輻射熱で暖かい天井梁(18.6℃)と、放射冷却で冷えた外壁(-6.0℃)。この温度差は、断熱性能の重要性を物語っています。外気温-1℃の環境下で、室内を17.9℃に保ちながら、外壁表面を-6℃まで冷やせるということは、熱の移動が極めて少ないことを意味します。

 寒い窓は内側に結露し、暖かい窓は外側に結露する

この言葉は一見矛盾しているように聞こえますが、窓の断熱性能を理解する上で本質を突いているのではないでしょうか。内側に結露する窓は、室内の熱を外に逃がしている「寒い窓」。外側に結露する窓は、室内の熱を守っている「暖かい窓」なのです。

建築費が上昇する時代だからこそ、本当に価値のある投資を見極める必要があります。高性能窓は、初期コストは高くても、長期的には確実にリターンをもたらします。+快適性、健康性、経済性、そして環境性能。これらすべてを実現できるのが、高断熱窓です。

朝、窓の外側に結露を見つけたら、私のように、

 我が家の窓は、高性能だ!

という証として、見つけるのを楽しみとして、誇りに思っていただけたらうれしいですね。

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