盛岡に転勤して、会社が用意してくれた借り上げ社宅の賃貸マンションで一冬過ごした。
朝、布団から出るのに気合いが要る。窓は毎朝結露でびっしょり。灯油代と電気代の明細を見て、ため息が出る。家賃は会社が持ってくれているから文句は言いにくいけれど、
正直、寒い。辛い。
今日は、そういう方に向けて書いています。盛岡で30年以上高断熱住宅をつくってきた工務店として、先に結論を言います。その寒さは、岩手のせいでも盛岡のせいでもありません。建物のせいです。そして借り上げ社宅は、多くの場合、思っているより動かせます。
なぜ借り上げ社宅は、寒い部屋に当たりやすいのか
会社が社宅物件を選ぶとき、基準になるのはたいてい家賃の上限と、通勤の便ではないでしょうか。住居の暖かさの基準である断熱性能は、選定基準にまず入っていないはずです。入っていないというより、比べる物差しが今までなかったのです。
一方で盛岡の1月は、平均気温がマイナス3〜5℃前後。断熱の弱い建物では、暖房を止めた瞬間から室温は外気に引きずられてしまいます。会社は家賃を払い、あなたは暖房費と我慢を払う。借り上げ社宅の寒さは、そういう分担構造になりがちです。
Q. RC造の賃貸マンションなら、暖かいのではないですか
「木造アパートは寒いから、コンクリートのマンションにすれば大丈夫」は、物件探しでよく聞く判断基準ですが、半分は思い込みです。
コンクリートという材料は、実は熱をよく通します。熱の通しやすさは木材の10倍以上。つまりコンクリートの壁は、断熱材が別にしっかり入っていなければ、冬の冷たさを室内側までよく伝えます。しかも一度冷え切ったコンクリートは暖まるのに時間がかかるので、帰宅して暖房を入れても、壁からの冷気をしばらく感じ続けることになります。築年数の経った賃貸マンションで「暖房を入れても壁際が寒い」のは、これが原因です。
暖かさを決めるのは、RC造か木造かという構造種別ではなく、断熱材の量と窓の性能、つまり断熱等級です。賃貸マンションの検索条件に「築浅」「RC造」はあっても「断熱等級」「Ua値」はまだありません。だから私たちは、この建物の断熱等級と壁の中身を、記事で全部公開することにしたのです。
Q. 社宅の物件は、変更できるのです
会社の規定によります。ただ、確認する価値は十分にあります。
借り上げ社宅の制度には、家賃上限の範囲内なら社員が物件を選べる「自己選定型」を採る会社が少なくありません。前任者から引き継いだ物件に住み続けているだけで、実は選び直せた、というケースもあります。契約更新のタイミングや、家族の帯同・転居など生活の変化は、相談の自然な機会になります。
まずは総務や人事に、こう聞いてみてください。「家賃が同等の範囲で、物件の変更は可能ですか」。ここから先は、その答えが返ってきてからの話になります。
Q. 会社を説得する材料はありますか
あります。ポイントは、会社の負担が変わらないことと、変わるのは社員の側だという整理です。
家賃上限が同じなら、会社の支出は同じです。変わるのは、あなたが払う光熱費と、毎朝の生活の質。そしてもうひとつ、会社側にもメリットがあります。寒冷地への転勤で住まいがつらいと、「冬の寒さが辛いあそこだけはもう行きたくない」なんて、赴任そのものがつらい記憶になります。私たちはそんな思い出にしてほしくはないのです。社員が冬を快適に過ごせる社宅は、それ自体が福利厚生になります。
「断熱等級6の物件に、同じ家賃条件で入居できます」という一文は、総務に伝わる言葉だと思います。数字の根拠は、この後の項目をそのまま見せてください。
この高断熱賃貸の中身
当社が盛岡市内に建てた賃貸メゾネットです。仕様は、注文住宅の標準をそのまま持ち込みました。

UA値0.24、断熱等級6。窓はドイツ製の樹脂サッシにトリプルガラスで、結露が発生しにくい構造です。外張り断熱と充填断熱のダブル断熱、壁の中の施工は工事中の記事ですべて公開しています(→盛岡市の高断熱賃貸住宅第2弾)。
間取りはメゾネットの3LDK。1住戸に1階と2階があり、上下に他人が住まないため、足音の気兼ねと騒音の心配が構造的に小さい造りです。単身赴任なら寝室と書斎とオンライン会議部屋を分けられ、ご家族の帯同にも対応できる広さです。ペット可(猫)、シェア入居可。4世帯のうち2世帯には、居室から廊下・脱衣室・トイレまで温水床暖房が入っています(→盛岡市の高断熱賃貸住宅第3弾)。
法人契約にも対応します。社宅としてのご契約は、会社のご担当者からのお問い合わせも承ります。
Q. 結露とカビにも悩んでいます
寒さと並ぶ社宅の悩みが、これです。窓の結露、サッシまわりの黒カビ、そしてクローゼットの中。気づいたらスーツの肩にカビ、革靴が白い、という経験をした転勤族の方は少なくないはずです。
結露の主因は、窓の内側表面が外気で冷やされることにあります。この建物の窓はドイツ製樹脂サッシのトリプルガラスで、室内側のガラス面が冷えにくく、一番冷えやすい窓周囲も外張り断熱層で窓枠まで覆う施工(当社特許)で、結露が発生しにくい構造です。壁の中には湿気をコントロールする調湿気密シートも施工しています。仕事道具を湿気から守れる部屋かどうかは、働く人の社宅選びで、家賃の次に見ていい項目だと思います。
Q. 暖房費はどれくらい変わりますか
この建物自体は、初めての冬をこれから迎えます。実測値はこの冬に測り、このブログで公開する予定です。
そこで目安として、同じ断熱仕様で当社が建てた戸建ての実測を紹介します。床面積80㎡の平屋、オール電化、全フロアに温水床暖房が入った家です。
・8月の電気代 9,297円
・1月の電気代 21,438円
オール電化なので、灯油代もガス代もありません。1月の21,438円が、暖房も給湯も全部回した真冬の光熱費のすべてです。夏との差は約12,000円。全館床暖房を効かせ、家じゅうを24時間快適な室温に保つ盛岡の真冬の上乗せ分が、このくらいに収まるということです。
この賃貸の1住戸は約60㎡と、この戸建てより一回り小さい。しかも住戸が連なるメゾネットは外気に触れる面が減るぶん、1住戸あたりの断熱条件はこの戸建てより有利になります。暮らし方で変わるので断定はしませんが、目安にはなるはずです。いま住んでいる社宅の、今年1月の明細と見比べてみてください。
動くなら、冬が来る前に
社宅の相談は、寒くなってからでは間に合いません。総務への確認、物件の内見、法人契約の手続き。逆算すると、動き始めるのは秋のいまが適期です。
盛岡の冬は、あと2カ月ほどでやってきます。今年の冬を、去年と同じ我慢で越すか。建物を替えて越すか。
内見・空き状況・法人契約のご相談は【盛岡市の高断熱賃貸住宅物件ページ】からどうぞ。

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