今回の完成住宅見学会場は、準防火地域に指定されている場所になります。準防火地域は様々な防火対策が求められます。特に、開口部となる窓サッシは防火設備として認められたものを使用しなければなりません。この防火用サッシの価格が高いので資金計画に盛り込んでおく必要があります。せっかくなので、今日はその準防火地域に家を建てる場合での窓選びのポイントについて簡単にお伝えしようかと。
防火サッシの断熱性能が低下する
準防火用サッシは一般的に断熱性能が落ちてしまうことをご存じでしょうか。その主な理由は構造と使用材料にあります。
まず、準防火サッシでは一般の樹脂サッシにはない防火性能を確保するため樹脂枠に金属の芯材が入ることや金具で金属同士を固定すなどの加工が施されることが多くなります。金属は熱伝導率が高いため、外部の熱や冷気を室内に伝えやすくなるのでサッシ枠の断熱性能は低下します。
また、せっかくのトリプルガラスですが、防火ガラスにすることで複層ガラス間のアルゴンガス層が狭くなる、断熱性能の低いアルミスペーサーを使用しなければならなかったりで、一般的のトリプルガラス樹脂サッシよりも断熱性能が低くなるのです。
上記のことから、熱的に弱点となる熱橋(ヒートブリッジ)が生じやすくなります。これにより、窓周りからの熱損失が増大し、住宅全体の断熱性能を低下させる原因となってしまうわけです。
特に超高断熱レベルの住宅を目指す場合、この準防火サッシによる断熱性能の低下は私的には無視できない問題です。住宅の省エネ性能において、窓は最も熱損失の大きい部分の一つであり、せっかく高断熱の壁や屋根を採用しても、窓の性能が低ければ全体の断熱効果は大幅に損なわれてしまう可能性だってあります。
防火地域で窓を検討する前の設計上の考慮点
先ずは、建築地に対する家の配置を検討する必要があります。隣地境界線から、1階で3m、2階で5mの範囲内に入る窓は準防火地域では防火対応の窓にしなければなりません。そこで、先ずは間取りの配置上での配慮が最初になります。
間取りと敷地配置上での配慮
・外壁線の配置に配慮
・道路面の窓配置に配慮
・袖壁などで対応できそうな窓を検討
これらで可能な限り準防火地域での防火規制のコストアップにならないようにします。
その上で規制範囲内に入ってしまった窓をどのように対応するか、になります。
準防火地域対応の窓の選択肢
一般には、準防火規制範囲内に入った窓は大方準防火認定されたサッシを採用していると思います。でもここで、断熱性能を重視する私のような人間は、選択肢が断熱性能を低下させる一択のような状況は受け入れ難いものを感じるわけです。
・準防火サッシで対応:一般的
断熱性能低下させたくない方向け
・二重建具方式で対応:内付け(3層ガラス)+準防火対応サッシ(ペアガラス)
これは逆に断熱性能を上げてしまう発想です。
過去、3層ガラス+防火一枚ガラスも試してみたけど上記組み合わせが一番良い。
・防火シャッターで対応:日射遮蔽で夏の省エネに
というわけですが、今日はこの防火シャッターで対応している家なので、その事例について説明します。
防火シャッターと当社のドイツサッシを組み合わせることで、防火性能と断熱性能の両立が可能になります。
断熱窓と防火シャッターの組み合わせ効果
防火シャッターと高断熱のドイツサッシのドレーキップ窓を組み合わせることで得られる効果は、単に防火性能を確保するだけではありません。この組み合わせによって、準防火地域でも高い断熱性能を実現できるだけでなく、それ以外の効果を生み出すことができます。
窓の強風対策
断熱性能を確保するための、せっかくのトリプルガラスです。強風時に物が飛んできた場合にガラスを保護する役目を果たします。トリプルガラスの場合、外側のガラス一枚が割れたとしても三枚のガラス共すべて交換となります。
防犯
防火シャッターは火災時の安全確保だけでなく、防犯面でも効果を発揮します。窓は住宅の中でも侵入されやすい場所の一つですが、防火シャッターを設置することで、窓からの侵入を物理的に防ぐことができます。特に就寝時や長期不在時にシャッターを閉めておくことで、安心感が生まれます。
このように、防火シャッターと高断熱窓の組み合わせは、防火性能と断熱性能を両立させるだけでなく、防犯性も高めることができるのです。
夏の日射遮蔽効果:省エネにつながる防火シャッター
防火シャッターの魅力は、防火性能だけではありません。特に注目したいのが、夏季の日射遮蔽としての利用です、日本の夏は高温多湿であり、窓からの日射熱は室内温度上昇の大きな要因となります。防火シャッターを日よけとして活用することで、この問題を効果的に解決することができます。
次の動画を見ていただけたら、そのことが伝わるでしょうか。
日射取得に遮蔽、近隣からの視界、明るさ、通気など…立地により窓に求められる要素は多くもなる。
日除けとしての防火シャッターとドレーキップ窓、専用スクリーンとの相性は環境や季節に合わせ調整できるのがいい。 pic.twitter.com/lkv0VcOdy3— oyakata (@ooyakata11) April 29, 2025
防火シャッターを窓の外側に設置することで、日射が窓ガラスに到達する前に熱を遮断できます。これにより、室内に入り込む熱を大幅に削減することができ、エアコンの使用頻度や設定温度を抑えることができる筈です。特に西日が強く差し込む窓では、その効果は顕著です。夏は朝早い時間での東側からの日差しも侮れないものがあると感じています。
さらに、最近では日射を完全に遮断するタイプだけでなく、スラットタイプのシャッターも増えています。これにより、完全に閉じなくても日差しを調整することができ、自然光を取り入れながらも直射日光を避けることができます。
過去記事も参考にしてください。
このように防火シャッターを日よけとして活用することで、夏の冷房コストを削減できるだけでなく、室内の温度ムラを減らし、より快適な居住環境を実現することができます。地球温暖化による猛暑が続く中、この日射遮蔽効果は今後ますます重要性を増していくのではないでしょうか。
最後に、
完成住宅見学会場から
当社のドレーキップ窓用スクリーンとウィンドウガーデニングの見え方など紹介します。
ヨーロッパでは当たり前のように見かける窓辺の花々。これだけでも心が和む。ですが、当社スクリーンと掛け合わせたらもっと暮らしが豊かになるかもしれません。
北欧の家でよく見かける花々で彩られた窓辺
今回の見学会場の家は当社で自社製作しているドレーキップ窓スクリーンをフル採用頂いてるので、ウィンドウガーデニングとの相性を動画①で。 pic.twitter.com/9xKnqsxNB4— oyakata (@ooyakata11) April 27, 2025
そして、水やりのしやすさも動画で。
🇩🇪のドレーキップ両開き窓とウィンドウガーデニングとの相性編②
内開き&内倒し共に花と干渉しないのがいいよね。 pic.twitter.com/uM9e0FYuM3— oyakata (@ooyakata11) April 28, 2025
ちなみに、このプランターを防火シャッターのある高窓に移してみると・・・
窓の半分が埋まってしまいました。ダメだこりゃ!とは思ったものの、念のため室内からもチェックしてみると、
水槽の中に咲いている花のように見えてしまうのは私だけでしょうか。
これは、新しい発見♪かな。
現在の社内は、GWイベントに向けて着々と準備が進められています。
低い枝葉は私がコツコツと落としてたのですが、さすがにね、それ以上高い場所は私では無理なので協力要請してしまいましたよ。
これで枝葉をすり抜けた心地よい風を感じていただけるのではないかと。
もうすぐです。皆さん、遊びに着てくださいね^^
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