今日は窓フェチな話をぺっこ^^
住宅の省エネと言えば、震災前は太陽光発電ブームでした。たくさんの暖房エネルギーを消費し、それによって生じる高い暖房費負担も、太陽光発電で賄えば大丈夫よ、みたいな風潮だったように当時感じていました。
それが震災を経験してか、住宅をより高断熱化へと方向転換したかのように、国内サッシメーカーが相次いでサッシ枠・建具枠の構造を改良したトリプルガラスサッシを発売し始めました。
その改良レベルはともかく、省エネの意識が断熱性に向いたのは一歩前進。
サッシのトータルな断熱性能は、次の三つの要素で決まります。
サッシの断熱性能を決める三つの要素
①ガラス ②サッシ枠とガスケット ③ガラススペーサー
この大事な三つそれぞれの性能値を日本のサッシメーカーは教えてくれないのですが、私たちはサッシの輸入をきっかけに、ヨーロッパでは当たり前の情報としてヨーロッパでは簡単に教わることができたのは私たちにとっては幸運かもしれません。
サッシの断熱性能に違いをもたらす違い
それを知らずにそれまでは選択基準はトータルな性能値のみ。それでサッシ選びをしていた時代があったのですから、これまでLow-Eガラスの存在を初めて教えてくれたアメリカ始め、ヨーロッパのサッシメーカーには感謝しなければなりません。
そして、
サッシの性能はあくまでサッシの性能であり、窓の持つ断熱性能ではない、
ということもドイツで教わることになりました。
先日の造園屋さんの話で
「家に庭があって、家庭になる」じゃないけれど、
サッシは住宅に据え付けられて初めて窓になるのです。
窓になった時の仕上がり性能が、窓の真の断熱性能
ということになるのですが、日本では一般にそのようなデータなど存在していないし扱われることもない。もしかしたら私が知らないだけで、一部の研究でならある程度はあるかもしれませんが、一般の建築業者が入手できる話は聞いたことがありません。
そうなると、
それなら、海外にあるデータを参考にするしかない!と考えるわけです。
その参考にしたデータから、
サッシを住宅の躯体のどの位置に、どのように据え付けるか、
サッシの据付方法の違いで窓性能を30%低下する
というようなことを知ってしまったがために、
これまでドイツなどを参考にしながら、同じサイズ、同じ断熱性能のサッシを、
据付方法を違えたりしながら実験棟で検証したりするようになってしまいました。

その積み重ねの上での今回の住宅展示場の断熱リノベです。
現在の住宅展示場は断熱関連の工程を既に終え、仕上げ工程となっています。
そんな処に、またまたアイデアマンの二人のスタッフが
予告もなく突然試作サンプルを持ち込んで来たのです。
スタッフは何の説明もなく、
これならどうでしょう?
と試作サンプルを差し出してきます。
そのサンプルを私が手に取り、ひっくり返したりじっと眺め考えたりしている最中、
スタッフは私の表情を伺いながら固唾をのんで私の反応を見守っているのです(笑
こういう時間は中々楽しいものです^^
おお~、これは!?
これ、いいべ!ナイスアイデアだべよ♪
と言った瞬間、スタッフはやったー!と満面の笑顔でガッツポーズ。
そこには展示場で試して問題となった点の断熱補強改良案と取付方法の新たなアイデアの二つが盛り込まれていたのです。
そのアイデアは、ドイツの施工方法にかなり近づけているような気がして、取り急ぎ新たな取付方法だけでも試したいよね、ということに決め、断熱リノベの現場で施主の了解を得て試すことにしたのでした。
ここで、作業性、コスト、リスク、この3つを検証することになります。
こういうアイデアや技術って、住宅が仕上がってしまえば目に触れることはありませんので、決して褒められることもありません。なので、発案者や施工者の自己満足でしかないのかもしれません。
私は自己満足でいいんじゃない?と思っています。
そこはスタッフたちも同じではないかと。
私たちのアイデアや技術が、そこに暮らす家族の快適さや安心を支えている、
その自己満足が私たちの励みですから。
一般に、一軒の住宅に使われる部材は少なくても5万点とも6万点とも言われ、その部材を施工という技術や技能によって家は形造られて行きます。
私たちには、完全な家も完璧な家も未だ見えていません。
今より、より良くするには?と彷徨ってばかりです。
今回のようにほんのぺっこの新たな隠し味が見えない場所に仕込まれ、空気や暖かさの質をこれまでよりほんの少しでも良くすることができるとしたら・・・
暮らす家族がその先に、
なぜか空気が美味しい、
なぜか心地いい、
なぜか楽しい、
理由はわからなくても、なぜかと感じて貰えたらそれでいいんです。
そんな風に暮らして貰えているシーンを想像し、自己満足にふける、
これが楽しいのですから、ある意味変態です(笑
私たちはただの妄想集団?かもしれません。
いや、私たちではなくて、私はです^^;
変態の行き着いた先は以下です。
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