最近は少なくなりましたけど、たまにあるご質問に、
外壁の塗り壁って割れないの?
外壁がひび割れしているのよく見ますよね。
というのがあります。
昔の施工方法(今でもあるかも)は、柱にラス板という木板を横に透かし張りしてその上にラス網という金網を張りそこにモルタルを塗っできた下地に仕上げをしていて、この施工方法のものは地震時などで割れるケースは多かったようです。これを湿式工法と言っていたと思います。
ですが、外壁の割れ以上にこの施工法で問題が起きたのが壁体内結露でした。この施工法は外壁内に侵入した湿気を排出する機能が低くその湿気が冬に外部から冷やされ外壁内で結露してしまうというものでした。
それを解決すべく登場した施工法が湿気を排出する層を設けた外壁通気構法と言われるもので、ここからサイディングと言われる窯業系の外壁材の全盛となったような気がしますね。水を使うモルタルという下地がサイディングに置き換わり尚且つ張っただけで仕上がってしまうものが主流となり乾式工法と言われるようになります。
その流れで当社でも仕上げ済みのサイディングを採用していましたが、そのサイディングとも決別しなければならない事例が・・・
外壁を漆喰仕上げにするまでの詳しい経緯は下記記事に。
https://www.daikyo-home.jp/oyakatablog/2020/04/23/%e4%bd%8f%e5%ae%85%e3%81%ae%e5%a4%96%e5%a3%81%e3%81%8c%e3%80%81%e3%81%aa%e3%81%9c%e6%bc%86%e5%96%b0%e3%81%aa%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%80%82/
塗り壁である外壁の漆喰仕上げを割れ難くするために
漆喰外壁の耐震性を高めるのは下地で。
住宅自体の耐震性は耐力壁、住宅外周にあっては構造用合板によって保たれています。
その外側に当社の場合は外張り断熱として断熱性の高いフェノールフォームを張りその外側に透湿防水シート、そのまた外側に通気層を確保して塗り壁下地板として塗り壁専用のサイディングを張ります。ここまでは大工さんの作業となります。
その後、コーキング処理を終えるといよいよ漆喰塗りの左官工程となります。
窓回りをシート養生し、グラスファイバーメッシュを連続するようにジョイントは重ね合わせ配置するのですが、

その時の様子が上の写真のようになります。
ファイバーメッシュの下に見えるサイディング下地板は通気層の胴縁に取り付けされているのでこれ自体も耐力は持っていますが家自体の耐震性にはさほど影響力は持ちません。下地板自体に強度はあってもジョイントなどへの振動耐性には不安はあるわけです。
その解決策が、写真のファイバーメッシュなのです。
漆喰仕上げの外壁が強固になる理由
グラスファイバーメッシュを固定するのが樹脂モルタルと言われるもので、

樹脂モルタルにファイバーメッシュを伏せ込むと写真のようになります。
この写真は当社の入り口看板の裏側の写真でして、私の下手くそな手作業ですのでイメージとして捉えてください(笑
このファイバーメッシュも漆喰と同じくスペインから直輸入しているもので国産のファイバーメッシュよりも強度は高いものを使用していて、これがしっかり固定されると外壁面全体が強固なものになるわけです。東日本震災の際、一関に建築した家を含め外壁に一軒も被害もなかったのはこの工程のグラスファイバーメッシュのお陰ではなかったかと。
ここから漆喰の下塗り。そして仕上げ塗りとなります。
漆喰日和の今日、現場では最終仕上げ作業が行われていたので今日はその作業動画もぺっこ紹介。
仕上げは横に引きずり跡を付けて、少しして凸部分を鏝でなでて仕上げ表情を和らかく見せる当社ではスタンダードな仕上げビシャンです。
当社標準のドイツのドレーキップ窓はが壁面から奥まった位置に取り付けられていますので、外壁仕上げに加え折り返し面も仕上げがあり、そこがまた国産サッシの場合と比べて多少作業はかかるわけです。ですがこれもサッシの耐久性や防水機能を向上させることに繋がることだと思えばこの作業の持つ意味は十分にあるといえるかもしれません。
外壁の漆喰仕上げは普段の標準は白ベースとなります。ですがこちらの住宅では施主さんの要望により自然鉱石から採れる黒粉をほんの少しだけ入れてるので僅かにほんのりとグレーがかっています。
写真とか動画ではわかり難いですけどね。
漆喰は何年もかけ薄い石に戻っていきます。単なる薄い石だったら振動等で割れるでしょうけど、漆喰が密着するその下地が強靭であれば漆喰は割れることはありません。
でももし割れることがあるとすれば、経験がないから想像でしか言えないけど・・・
その時はグラスファイバーが切れ下地板も割れるような状況、ということは構造躯体の構造用合板も割ける状況ではないかと。
100年200年の住宅寿命が当たり前なヨーロッパで、日本のような仕上がり済みの外壁材を見かけたことはないし、ヨーロッパの展示会でも見たこともありません。
それって、なぜなんだろう?
ずっと自問してきました。
誰のための家か?を。
そう問いた結果が現在となっています。
世界には自然素材をもっとスマートに先進的に使われている施工法があるかもしれませんのでこれがベストであるかはわかりません。
でもこれが今の私たちにできるベストです。
万一、もっと良い施工法が見つかったら・・・できるならすぐ変えます(笑
ヨーロッパの住宅で現在まで千年以上使い続けられ、メンテナンスもし続けやすい素材としての漆喰仕上げは簡単に変わることはないでしょうけど、施工法はね、いつだって良い方法があったら変えたいものです。
メンテナンスし、塗り重ねられた100年200年先のあのヨーロッパの住宅に見た経年美のある姿を当社の住宅に重ね合わせ・・・・
今夜も一杯♪かな(笑
う~ん!凄い!
恐縮です。