アメリカのジオサーマルの記憶Ⅱ

今日は特に真新しいネタもないので、昨日の続きを^^;

地中熱ヒートポンプの配管穴

 

 

 

 

 

これ、何だと思いますか?

地中の採熱パイプ用に、ボーリングし終わったあとの穴です^^;
この細い穴が100m以上、地中に入り込んでいるんです。
途中でよくふさがらないものだと感心しましたね。

ここまでのボーリング工事だけでも、日本に比べて速いのに、
ここからのスピードが雲泥の差。

日本のボーリング業者にアメリカの話をしても、プライドからか
自分たちのやり方を曲げたくないらしい。
なので、私もそれ以上言わなかったのも悪かったのか、

当社の住宅展示場の場合なら、この段階から採熱管を挿入するのに、
結果、トータルで三日を費やしてしまったのです。

日本の場合、この穴に半日準備して直接押し込み始める。
50~60メートルするときつくなり、入りにくくなった。
人手を増やして何回も何回も出したり引いたり大変・・

それでも何とか入り込んでいくものの・・・ それでも数メートル。
結局3日目。最後は目標の100mに届かず、85メートル程で断念。
地中熱の配管に長けた会社と言われていてもこんな感じ。

それじゃあ、アメリカはどうだったか。

ここで採熱管を直接差し込むことはしない。
まず、先っちょに鉄の重しを付けて白く細いパイプを継ぎながら落とし込む。
その脇では、袋詰めの灰色の砂利みたいなものを水と一緒に
攪拌器の中でジェリー状にする。

そのジェリー状のものを先に挿入した細い管を通じて、
穴の底へと送り始める。
ジェリーを送り込みながらゆっくりとパイプを引き抜いていく。

引き抜いている間、ジェリー状のものは穴から溢れるが、
その状態を見ながら引き抜き速度を加減していた。
それで引き抜き終わると、すぐさま採熱管の挿入にかかりだす。

挿入もある程度までスルスル入り込み、
途中から多少きつそうになるが、なんだかんだで、
ズルッ、ズルッ、と入り込み、見事目標深度に達してしまう。

ジェリーは送管の潤滑剤と熱効率を高める役割があるらしい。

アメリカの場合、この作業で工程数が一工程多い。
なのに・・・
この作業に費やされた時間は2時間もない。
日本の場合の挿入前の段取り時間内に余裕で終ってしまう早さで、
まったく無駄がない。

そう、アメリカのやり方には段取りタイムがないのだ。
実作業のみが作業時間と言っていい。
段取りがないわけではない。
段取りなど不要なように、車輛が、部材が、ツールが、
すべて仕組まれていて、段取りタイムが要らない仕組みになっている。

アメリカのツーバイフォー現場でもそうだったのですが、
実生産以外の作業時間を極限まで無くす工夫・アイデアを凝らすのは当り前。
うちの社員大工たちとアメリカの工事現場回りをした時など、
彼らはそれらの現場で、
工夫された手作りの小道具を発見しては歓声を上げ、

  すんげえよお!! 
  これだば、たすかに早えーし便利だべ。
  オラだづもつぐっぺ。

と、作業効率を上げるのは機械だけではない、
自分たちのアイデアとつくりだすツールが生み出すことを学んだ。

アメリカでの無駄な時間に対する考え方の典型的な例が、
フレーマー(ツーバイフォーの大工)さんたちの休憩のとり方。

作業場所から離れず、その場で休憩をとる。
いっぷくのコーラも下の人間が上の作業者に投げあげるほどだ。
作業場所と休憩場所への行って来いの往復時間を
それくらいムダと考えている。

そういう意識がこの地中熱の現場では
ツーバイフォーの日米差以上、はるかにかけ離れていた。

この作業効率の差は当然コストにはね返り、
アメリカの地中熱のボーリング&配管コストは、実に日本の7分の1。
おかげで私も、作業内容もさることながら、
意識が仕事を変えるんだっていうことを学ばせてもらったわけです。

とりあえず、アメリカから学んだ話はここまでにして^^
今日の最後に、当社のジオサーマル第1号の配管方法を紹介しますね。

今お話したように、余りに日本の地中工事コストがかかり過ぎるので、
迷った挙句、ボーリングによる配管を断念したのです。
そこで、アメリカでいろいろ見た回った中の地中採熱方法から、
次の写真のような配管方法を採ることとしたんです。

地中熱ヒートポンプの採熱管

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真、分かり難くてすみません・・)

写真のように、水平にループ配管する方法です。

これだと、
普段使われている重機で穴が掘れる。
且つ、ループすることで採熱する管の長さもとれますからね。

 よっしゃあ!

と始めたこの方法。

実は・・ 

結果は・・・ 

     そう、、、、  大失敗。。

配管したすべてが無駄に(笑)

今だから笑い話になりますけど、
当時は奈落の底だったんですから・・・ ほんと^^;

そして、別な方法はないかと悩む日々となったわけですが、
つまらん悲しい過去(笑)の話はここまで。
ということにしておきますね。

岩手で地中熱利用の省エネ住宅なら。

2 件のコメント

  • お久しぶりです。
    私の家の穴を掘ってくれた業者は、50m×2本(採熱井戸)+20m×1本(水井戸)を、3日で掘ってました。
    別の現場では、固い層に当って100mを5日も掛かった事も有るそうですが、我が家は運が良かったんでしょうね。
    井戸掘りがもっと安くなれば、地中熱ももっと普及しやすくなるんでしょうね~。

  • なべやんさんのお家は、地中熱利用されてるんですね。
    先進的じゃないですか。
    日本のボーリング機械って優れたものもあるんですけど、
    問題は機械以外のところでコストの違いが大きいと思います。人件費も変わりなかったですから。
    地中工事コストが安くなれば・・・ 
    ほんと同感です^^

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