粘っこい基礎断熱の昔話を。

えらい昔、28年前の話を紹介します(笑

基礎断熱型枠
これ当時使っていた基礎断熱用型枠。

アメリカの見本市で見かけたのでカナダからコンテナ単位で輸入して使っていたものです。

本来はカナダのコンクリート型枠がそのまま躯体の断熱も兼ねる、として紹介されていました。
この実物サンプルを観て、当時基礎断熱への移行を考えていた時なのでこれだ!と。

基礎コンクリート打設には通常メタルパネルと言われる金枠が使われています。
この場合、型枠を現場に持ち込んで型枠を組んでコンクリート打設、打設後養生期間を経て型枠解体し型枠の掃除、撤去運搬、と、基礎型枠はこの繰り返しなわけです。

この断熱型枠にすると何が良いかって、

①型枠の解体作業が不要になる。

②解体後の型枠掃除が無くなる。

③型枠撤去運搬不要。

④コンクリート養生期間を待つ必要がなくなる。どんどん基礎工事ができる。

⑤何より軽いので女性でも簡単に扱える

今では日本でも似たようなものは出ていますけどね、当時はそれほど画期的だったわけです。

この断熱型枠を使っている時に、北海道住宅新聞で

基礎断熱することで水抜き栓は不要に。

みたいな記事を読み、

そんなことできるんだ?
北海道でできるなら岩手だったら楽勝だべ。
だってうちのは断熱片側55mm両面110mmだもの!

そこでこの基礎断熱だったら床下は凍らないというデータが必要だとなり、冬期間の床下温度と外気温を測ることにわけ。

未入居無人もちろん暖房なしの状態で計測、それで結果はというと、

概ね 外気温が‐6℃だろうと0℃だろうと床下温度は概ね6℃キープ。ぶれても1℃くらい。

これだったら年末年始に1週間くらい暖房OFFにして出かけたって大丈夫だってわかるでしょ。

と思いで役所に相談に向かいましたよ。
北海道で水抜き栓無しでやっていることの記事のコピーと計測データを持って。

すると・・

周辺町村は、それは良いことですね、と認めてくれたのですが、本丸の市は・・・

 一冬だけのデータではちょっと、そう簡単ではない。

とのことで受け入れてもらえず。心折れそうになるも、

 じゃあ、来冬のデータも測って持ってきたらいいんですね。

その時は退散。

翌春もデータを持って行くも、

 この冬は温かかったですからそのデータではちょっと・・

そして翌春も同じで、
じゃあ、どんな寒い冬のデータがあればOKになるのかを訊くと、

 基準はないですけど・・
(早く諦めてくれないかなあ、、)

その翌春には・・

 前例がないので。とか。

前例が無いことなのでこうして計測データを毎冬持って来てるのですが・・

そしてやっと念願叶う幸運がやってきます。

 そうかあ、俺だったら基礎断熱水抜き不要にしたいけどなあ、

と言ってくれていた翌春に建て替え予定だった施主さんが、なんと担当部署〇長に移動。

 担当に言っておいたから。

これで5年越しの悲願達成!!

諦めなければ叶うことってあるものなんですよ。それもあっさりと(笑

当時は今のようなデータロガーなんかなかったですからね、ロールにインクで点打ちするタイプ。ロール紙は数日で切れるのでデータ回収とロール紙交換は結構しんどかったはずなのに、あの瞬間すべてが報われた感じだったかな、と。

今は良き思い出ですね。

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