少し前から、
断熱材、特にグラスウール・ロックウールが極めて品薄の状態が続いている。
当社でも確保に四苦八苦。何とか年内分については先月時点で確保。
とは言うものの、その後については見えていない。
このことは先日の出張でも話題となった。
グラスウール系の不足からくる工事遅れを防ぐため、
代替品となる他の断熱材へ触手が移っているとか。
そして今度は、その代替品としての断熱材が不足ぎみになりかけてるとか・・
全国的にみれば、
例年と比較して大きく需要が増えたわけでもない、のに・・・なぜ?
原因は大きく二つらしい。
①エコポイントに因る断熱材の需要増。
②将来需要の縮小見込みからメーカーが生産ラインを減じていた。
ここで、①について私はよく理解できないでいた。
だって、エコポイントなんて、
その地域の省エネ基準をクリアしていればいいだけのこと。
そんな最低限のこと、どこの業者でもやってることだべ。
なのに、なぜ?断熱需要が急激に増えるのか・・・
断熱改修リフォームが増えたわけ?
・・・・ わからん。。
ところが、今回の出張でその疑問は解けた。
それは九州のある住宅会社の現場技術者との会話、
御社の会社で建てられた家の暖房費って、
どのくらいかかっているのですか?
そんな挨拶程度の質問に、返ってきた答えは、
30坪ちょっとの家で、3万円ちょっとくらいですかね。
それって、年間ですか?
いえ、月々ですよ。
えっ、それって30坪程度で、しかも九州で、、、
ちょっと高く過ぎないですか?
〇〇式暖房のオール電化って結構かかるものですね。
それにしても・・・その暖房費だと、
お客様から苦情なんて来ないものですか?
どこの会社も同じようなものですから、
そういうこと言われたことはありませんね。
そんなもんですか・・
(家を新築して岩手より高い暖房費を払い続けるのか・・)
よくわかりませんが、そういう土地柄なんですね。
エコポイントだって、社内で標準で対応するか、
問題になったくらいですからね。
省エネ基準なんてコストが高くなるだけで、
見た目がよくなるわけじゃないですから、
だから、どうしても後回しになるんですよ。
特に、見た目重視で雑貨が似合うお洒落なテイストを好む女性は、
感性が合うかどうかですからね。
省エネはどうか、構造はどうか、光熱費はどうか、
そんなこと気にされる方はいませんよ。
それじゃ、エコポイントがなければ省エネ基準Ⅳ地域を、
普段はクリアしているわけじゃないんですか!?
ええ、省エネ基準クリアはしてないですね。
お洒落な家、女性の好むテイストであれば、
そういう家の方が売れてますからね。
それはそれでととっても大事なことだけど。
だけどさ、技術屋の仕事ってさあ、
そのお洒落な暮らしを支え続けるためにも、
技術ってあるとボクなんか思うんだよね。
決して目に触れることはないことかもしれないけど。
光熱費がかかり過ぎたら、懐寒いべな。
お洒落な家も、健康であればこそ嬉しいものだしさ。
それを影から支え続ける技術っての、
それを無くしたら、大事な裏方の技術者もいらない、
デザイナーさんだけでいいってことじゃん。
〇〇さんは技術屋ですよね。
私もそうは思うんですけど、
お洒落なテイストだけで、現に注文は増え続けていますからねえ。
技術的なものが求められることってこれからもないと思いますね。
・・・ う・・・ん、なんかなあ、でもなあ、
客受けする技術に、暮らしを守り続ける技術。
どっちというより、やはり両方欲しいんだよなあ、、
とモヤモヤしたものの、最後は、
これは、業界の中にある一つジャンルだ。
違うエリア、ましてや他の会社。
一つの住宅屋のあり方のジャンル、そう割り切った。
そう、全国的に観ればこれが省エネ基準の実態。
日本の人口の8割が九州と同じ、Ⅳ地域に集中している。
もしかすると、その8割の半分でも断熱や省エネに興味がなく、
デザインテイストのみで売る業者、
デザインテイストのみでも買ってしまう市場なのかもしれない。
だとしたら・・・
人口の1割にも満たない寒冷地域に住まう人たち。
全国を市場とする大手メーカーが、
その一部の求めに応じて商品開発するはずもない。
これじゃあ、メーカーの開発待ってたら日が暮れる・・
本気で走り出すしかなさそうだべ。
家がゴージャスなディナーなら、
盛り付けはもちろん味には関係ない食器もまた大切な要素。
それだけでも気分は高揚する。
だけど、本当のおいしさはそれ以前にかけた手間暇、
知恵と技術が支えている。
家が毎日の食事なら、
大好きなカレーを出しながら、
しっかり煮込んだルーには、気付かれないよう
こっそり苦手な人参が忍ばせてある。
それも家族が健やかに暮らし続けるための母の技術。
やはりこういう見えない技術って、大事にしていたいと思うんだけどなあ、、、
コメントを残す