高断熱領域ではサッシ性能が窓の結露を防ぐとは言えない理由

今日日中の湿度60%超え。
気温25℃程度でこれだと暑くないのに汗でべたべた感が抜けないのは私だけでしょうか。

そんなことから、大丈夫かよ。

てことで気になってしまったものをチェックしてみました。

チェックしたのは窓の断熱試験ボックスの結露。

やはり・・
結露吸い取りホイホイ用に敷いてある単なる手ぬぐいタオルを取り洗面で絞り再度敷きなおしました。

日本製高断熱樹脂サッシの結露

日本製高断熱樹脂サッシの結露 ガラス・樹脂枠・躯体枠まで

サッシの断熱性能は同じでも窓の結露性能には大きな差

・・・ これ、結構きついべ。

トリプルガラス、サッシ樹脂枠、そしてサッシ以外の躯体側窓枠まで結露しています。

ここで注意して見て欲しいのは、
通常の窓はガラス面積割合は何倍も大きくなるのですが、これはあくまで実験ボックスなのでサッシサイズが小くなりガラス面積割合が極端に小さくなっていること。

通常の樹脂枠でトリプルガラスの高断熱サッシを用いたFIX窓の場合、窓の各部位の断熱性能の高い順で、
①「トリプルガラス」⇒ ②「樹脂枠」 ⇒ ③「ガラススペーサー」⇒ ④「窓周囲の取り付け部」
となるはずです。

なのにです。窓の各部位の中でガラスがしっかり結露しているのは、ガラススペーサーのヒートブリッジによる冷えの影響がガラスに伝わっていると考える方が正しいと思われます。

ガラススペーサーのヒートブリッジがガラスに結露を招く

高断熱窓ガラスのクリプトンガスv.sプサイ

この記事の中での結露試験写真からもわかるように結露はガラス周辺から拡がっていても窓ガラス中心部は結露していません。

ガラススペーサーの線上熱損失量の影響はそれだけ大きいことがわかります。
記事の中でもお伝えしていますが、サッシの各部位の組み合わせのシュミレーションしてみると、
アルゴンガスをクリプトンガスにすることよりガラススペーサーを断熱性能の高いものに変えた方が効果が高いわけですから、ガラス面と線であるガラススペーサーと対比して考えてもその冷えの大きを推し量れるのではないでしょうか。

ガラススペーサーと同じく窓の中には線状の熱損失(ヒートブリッジ)部位があります。

高断熱な窓の最大の結露要因になり得る窓のヒートブリッジψinstall

窓性能ψinstalled

冒頭の写真で、サッシ以外の周囲木部が結露しているのは上の記事中の図で④で示している線状熱損失部位ψinstallと言われるヒートブリッジの影響になります。

断熱性能向上でも窓に取り残される窓周囲のヒートブリッジ

高断熱サッシの性能値をガラス部のような面の断熱を上げることでサッシ全体の断熱性能Uwを上げたとしても線状のヒートブリッジ部の性能が置き去りにされるとそこへの結露量は変わらないどころか、断熱性能ギャップでより結露量が多くなることもあり得るかもしれません。

窓周囲のヒートブリッジ対策は住宅施工者の役目

このように窓にあるヒートブリッジは侮れないのです。
サッシ内にあるヒートブリッジ①②③はサッシ自体の持つヒートブリッジなのでサッシメーカーが左右するものですが、④のヒートブリッジは住宅メーカーや私たち工務店、住宅の施工者側に委ねられるヒートブリッジになります。

樹脂枠に断熱性能の高いものを、且つ窓周囲のヒートブリッジ対策施工をしっかり行うことはサッシ取付後の窓の断熱性能Uwintalledを向上させることはもちろん窓にある結露リスクを最小にすることが可能となります。

国産サッシと同じ条件下で
当社の窓周囲にヒートブリッジ対策施工がされたものは、

ドイツ性高断熱サッシの結露ドイツ性高断熱サッシの結露 ガラス部のみ

ガラススペーサーの影響でガラス面だけ結露していますが、樹脂枠も躯体も結露はしていません。
結露しないと言っているわけではありませんよ。もっと過酷な条件になれば当然結露はするでしょうね。

断熱先進国の北欧やドイツはヒートブリッジ対策の必要性に早くから気付いていた

ドイツや北欧では現在当たり前のように窓周囲のヒートブリッジ対策がされています。それは日本よりずっと早く高いレベルの断熱性能を実現してきた中でこのヒートブリッジに気付き、対策の必要性が生じたのではないでしょうか。

私も20年以上前の断熱レベルだったらこの問題に気付かなかったのではないかと。より高い断熱性能を求めて日本にはないレベルの高断熱サッシを輸入し施工し、入居後の住宅内の温熱状況をサーモカメラでチェックしたら、窓周囲にある異常な冷えを発見してしまった。そして輸入していたからこそ断熱先進国では対策されていることに気付けたのだと今思います。

気付けなければ調べようもないし調べなければヒントさえない。ヒントもなければ対策しようもなかったのではないかなあと。

窓のヒートブリッジって聞きなれないけど、それ何?という方は、
時系列にした関連記事から一つだけを。
でないと同じテーマでぼやいているのでお腹壊しますので(笑

高断熱住宅の盲点

窓周囲の躯体側の方が窓より冷えていることについて

窓性能ψinstalled

窓にあるいくつかのヒートブリッジについて

高断熱住宅:高断熱窓の弱点対策

高断熱住宅の窓周囲にあるヒートブリッジへの気付きから無暖房家シリーズでの対策までの経緯など

岩手の高断熱住宅のために、窓のψ値を知りたい。

窓周囲のh-トブリッジ熱損失量測定の可能性を探り始めることに。

窓のψinstallテストやエアコンの霜取り運転頻度など

21年1月8日 ヒートブリッジ測定試行初期

高断熱サッシに、窓のinstallヒートブリッジ対策を。

ヒートブリッジ測定から窓周囲の損失量は予想以上に大きそうという気づき。

岩手の暖かい家での暮らしを支えるもの

記事中に国産トリプルガラス樹脂窓と当社標準ドイツ樹脂窓の熱画像比較あり。

サッシの性能は良くても・・・窓にある弱点。

記事中に窓周囲のヒートブリッジが如何に冷えているかの説明画像

サッシの断熱性能Uwより窓の据付け断熱性能Uwinstalledが重要

窓周囲のヒートブリッジの熱損失量が窓の断熱性能をどの程度低下させるか簡単に数値化。

窓周囲にある熱の隙間を埋める準備へ

窓周囲のヒートブリッジ熱損失測定はヒートブリッジ対策施工実験棟へ移行

窓性能検証は足踏みだから面白くなるかも。

窓周囲のヒートブリッジ測定のばデータの安定化へ。

トリプルガラスの高断熱サッシがペアガラス並みの性能に?

窓周囲にあるヒートブリッジの熱損失量を考慮するとトリプルガラスでもぺガラス並みの断熱性能に。

家づくりな視界

窓周囲のヒートブリッジ測定データのバラツキ対策が見えてきた。

住宅の断熱性能に、対流のいたずら。

窓周囲の測定データから室内空気の対流は熱損失量を高めることがわかる。

岩手の住宅は、そよ風がここちいい季節に。

窓周囲のヒートブリッジ対策施工試験と効果測定を終了。

住宅の気密性能C値より重要な窓周囲のヒートブリッジ対策

窓周囲のヒートブリッジ対策の有無で熱損失量はC値1.0に相当

サッシの栄養分を損なわないための、窓の調理法

窓周囲のヒートブリッジ対策施工の特許査定通知

岩手の高断熱住宅に欠かせない、窓のヒートブリッジ対策

岩手のこれまでの断熱向上経緯と窓周囲のヒートブリッジ対策までのまとめ

断熱住宅:窓のコールドドラフト速度って。

高断熱住宅の窓周囲にあるヒートブリッジをコールドドラフト速度差で観る

サッシ施工後の窓の断熱性能ランキングがあっても・・

結露して困る窓周囲のヒートブリッジ対策無しと有りの比較ボックス

 

 

2 件のコメント

  • みみたこ:
    マニアックな内容でいつも感心を持って読んでいます。ロマンを感じます。
    ①外壁開口部(熱伝導が大きく変化する箇所)の「窓」をどう納めるべか
    ②躯体とサッシの建付け防水・気密・断熱はいいべ  ←ココ大事
    ③サッシとガラスの品質性能を発揮する窓になってるべか ←浪漫①
    ④高い断熱(遮熱)と結露が発生し難い窓になってるべか ←浪漫②

    • ロマンだなんて恐れ多い、ただの妄想オヤジです。
      スタッフにはマニアック過ぎてわからない。もっと解りやすくシンプルに!
      とは言われているのですが、なかなかね、その能力が乏しいのが悲しいところです。

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